バンドル販売の仕組みと活用法:小売で利益を最大化する実践戦略
「バンドル販売」とは複数の商品やサービスを一つのセットとしてまとめ、単品で購入するよりも割安な価格で提供する販売手法です。
消費者にとっては「必要なものが一度に揃う」「個別に買うよりお得」といったメリットがあり、企業側は客単価や利益率の向上といった効果が期待できます。この手法は飲食業界や小売業界で広く活用されており、飲食店のセットメニューやアパレルショップのコーディネート一式販売、家電量販店の新生活応援セットといった形で展開されています。
バンドル販売は「まとめて売る」というシンプルな発想に見えるものの、その背景には戦略的要素が絡んでおり、売上と顧客満足度を同時に伸ばすための有効なアプローチと言えます。
目次
バンドル販売の定義と種類
バンドル販売(英:Bundling)は「まとめ売り」「セット販売」とも言われるマーケティング手法です。関連性のある複数の商品を一つのパッケージとしてまとめ、個別購入よりお得な価格に設定することで購買意欲を高めます。
顧客にとっては手軽かつコストを抑えられ、企業側は在庫削減や売上拡大といったメリットがあるため、双方向に価値をもたらす手法といえます。また、バンドル販売は単品の価格競争から抜け出せるだけでなく、セット販売による新たな価値訴求を打ち出せるため利益確保や在庫回転率の向上にもつながります。
パターン① 同一商品のまとめ売り
例:ミネラルウォーター24本パック、靴下3足セット、洗剤やティッシュペーパーのケース販売
同一商品を複数個まとめて販売する形態です。食品や日用品など日常的に消費される定期購入型の消耗品で広く活用されています。大量購入を希望する顧客にとっては一度の購入で必要な量を確保でき、かつリーズナブルに手に入れられるという利便性があります。
企業側も取引回数を抑えつつ一度の取引額を増やせるため効率的に売上を確保できます。
パターン② 異なる商品の組み合わせ
例:ハンバーガー+ポテト+ドリンクのセットメニュー、スーツ+シャツ+ネクタイのビジネスセット
用途やテーマに沿って複数の異なる商品を一つのセットとして販売します。構成商品の単品販売も可能ですが、セット購入することで価格や特典の面でメリットを得られます。
顧客は必要なものを一度に揃えられるため、購買の手間を省けます。企業側も関連商品の同時購入を促すことで客単価を向上させると同時に、在庫の効率的な消化や新商品の認知向上といった効果も期待できます。
パターン③ 異業種・異ブランドによるクロスカテゴリー型
例:映画館の鑑賞券+施設レストランの割引チケット、電車の往復チケット+観光施設入場券、飛行機チケット+レンタカー割引クーポン
異業種や異なるサービスが連携して行うバンドルも存在します。単体では購入動機が異なる商品同士を結びつけることで新たな購買層を取り込みやすくなります。
協業企業との相互送客や販路拡大にもつながり、販売戦略の幅を大きく広げる効果が期待できます。
バンドル販売のメリット

客単価・顧客満足度の向上
単品購入よりもセット購入を促すことで客単価を上げられます。特にECやD2Cブランドにおいて、広告費(CPA)の採算が取りやすいことから広く採用されています。
具体的には「スキンケアセット」「詰合せギフト」などニーズを先回りした提案は、リピート購入や顧客ロイヤルティの向上にもつながります。また、セット品として複数商品をあわせて提案することで顧客に商品選定の手間を減らしつつ、商品に対する満足度を高めることができます。
在庫の有効活用
滞留在庫を人気商品と組み合わせれば、全体の在庫回転率を向上できます。単品では売れ残りやすい季節商品や型落ち商品も、主力商品とセット販売することで在庫を最適化できます。在庫の偏りは保管コストや陳列スペースの問題、キャッシュフローの圧迫といった経営上の課題にも直結するため、バンドル販売は在庫管理の改善に大きく寄与します。
価格競争からの脱却
競争が激しい市場では、単純な値下げだけでは利益を圧迫します。バンドル販売は「単品価格の比較」ではなく「セットとしての総合的な価値」を訴求できるため、単純な値下げ合戦から抜け出す手段として有効です。
「必要なものが一度で揃う利便性」「相性や機能面が保証された組み合わせ」「限定感」など、価格以外の要素を前面に出すことで購買動機の幅を広げることが可能です。
新商品のプロモーション活用
バンドル販売は「新商品」や「新ブランド」を市場にスムーズに浸透させる手段としても有効です。単品で展開すると購入ハードルが高くなるような商品も、人気商品とセットにすることで認知から利用までの導線を自然に構築できます。
こうしたセット提案は新商品の初期在庫の消化を促しつつ、既存顧客に新しい選択肢を提示できるといった利点もあります。
バンドル販売の代表的な事例
飲食業界:ファストフードやレストランの場合
バンドル販売の代表例が「セットメニュー」です。ハンバーガー・ポテト・ドリンクなどを組み合わせたセットメニューは、ファストフードやレストランにおいて定番の手法です。
バンドルの目的と効果
- 注文の簡略化によるオペレーション負荷の軽減
- 客席回転率や利益率の向上
- 定番メニューと組み合わせた季節限定商品の販促強化
- セット内容の定型化による業務効率の向上
小売業界:ホームファニシングやアパレルの場合
ライフスタイルや季節に合わせたバンドルが効果的です。新生活向けに寝具やキッチン用品をまとめた「新生活応援セット」や、夏場に向けた「クールビズセット」などシーズンや用途に応じた商品をパッケージ化して販売します。
バンドルの目的と効果
- 季節需要、イベント需要の取り込み
- 顧客の「選ぶ手間」を省いた提案型販売
- まとめ買いによる客単価の引き上げ
- 期間限定、数量限定などの希少性を訴求
小売業界:家電量販店の場合
利便性や購入後の満足感を高めるバンドルが効果的です。例えば、大画面テレビをメインとした「ホームシアターセット」や、冷蔵庫・洗濯機・電子レンジをまとめた「一人暮らし家電セット」などが挙げられます。
バンドルの目的と効果
- 目的に合わせた最適な組み合わせを訴求
- 機器同士の相性や接続面における不安を解消
- 関連商品のセット購入による客単価の最大化
- 配送や設置を一括で行える効率的な提案
バンドル販売の課題やデメリット
バンドル販売には多くのメリットがある一方で、適切な設計や運用がなされていない場合、逆効果になるリスクもあります。以下に代表的な課題とその背景を解説します。
単品商品の売上が減少する可能性がある
バンドル販売を優先的に打ち出すことで、単品商品の需要が減少する恐れがあります。特に主力商品を含むセットでは、その影響が顕著に表れます。例えば「ハンバーガーセット」が主力商品になることで、本来は単品で頼まれることの多いナゲットやシェイクといった商品の売上が伸びにくくなる傾向があります。
利益率が低下するリスクがある
過度な割引は客単価が上がっても利益率を下げるリスクがあります。例えば、家電量販店で「プリンター+純正インク+用紙セット」を20%割引で販売する場合、もともと利益率の高い純正インクの利益が目減りし、結果として単品販売の方が利益率が上回るという逆転現象が起こります。
原価や在庫の管理が複雑化しやすい
複数の商品を一つのセットとして扱うバンドル販売では、在庫引当や消込、発注管理が複雑になりやすく、原価管理や在庫管理もシステム精度に左右されやすい傾向があります。
またセット構成を頻繁に変更する場合は、商品マスタの更新作業が煩雑化するため、在庫誤差や販売実績との乖離が生じる恐れがあります。こうした商品管理の負担は業務効率を低下させるだけでなく、顧客対応にも悪影響を及ぼす可能性があります。
顧客に“押し付け販売”と感じさせてしまう
バンドル販売の設計が売り手本位になりすぎると、顧客に「欲しくない商品まで買わされている」という、いわゆる“押し付け販売”の印象を与えてしまう可能性があります。特に単品購入の選択肢がない販売方法では不満や離反につながるリスクが非常に高いです。
バンドル販売を加速させるシステム活用術

バンドル販売を戦略的に運用するには感覚や経験則ではなく、リアルな販売データに基づく意思決定が欠かせません。その基盤となるのがPOSシステムやECの活用です。
POSシステム
POSシステムは販売時に「いつ・どこで・何が・いくつ売れたか」という情報を自動収集します。この蓄積されたデータを活用すれば、売れ筋商品の組み合わせや時間帯・曜日別の販売傾向、店舗ごとの販売数の違いを分析できるだけでなく、より高い成果を生むバンドル構成の条件を抽出して、商品構成や価格調整を含めたPDCAサイクルを効率よく回せます。
ECプラットフォーム / カートシステム
価格だけで比較されやすいEC業界では、単品では埋もれやすい商品でも関連アイテムを組み合わせることで独自の価値を訴求できます。また購買履歴や閲覧履歴を分析して、顧客ごとに最適化したセット商品を提案することも可能です。これにより既存顧客へのクロスセル率が高まり、LTV(顧客生涯価値)の向上やリピート購入の促進につながります。
クラウドERP「キャムマックス」ならセット商品の組立が簡単にできる!バンドル販売におすすめ!

複数の商品を組み合わせて販売する「バンドル販売」は、在庫管理や受注処理が複雑になりやすく、特にリソースが限られ、システムで管理していない中小企業では大きな負担となるケースがあります。
そこで、クラウドERP「キャムマックス」のセット商品機能を活用すれば、こうした課題をシンプルに解決できます。あらかじめ登録した組立方法をもとに、入荷時でも出荷時でも自由に組立・解体が可能です。さらに必要な部品の在庫数や不足分、発注数まで自動計算し、発注データの作成までワンストップで行えるため、人的ミスを防ぎながら効率的な業務を実現します。
また、セット商品の受注と同時に子商品の在庫を確保する仕組みを備えており、セット商品と単品商品の在庫を一元管理できる点も大きな特長です。これにより売越や欠品を未然に防止し、スムーズな出荷体制を維持できます。
バンドル販売を強化したい小売業や、部品と完成品を同時に取り扱う製造業にとって、「キャムマックス」のセット商品機能はまさに最適なソリューションといえるでしょう。
セット商品機能の特徴
- 複雑な組立・解体管理に対応
- 部品が入れ子構造になっていたり、組立前の商品も単品で販売している場合でも対応可能。
- あらかじめ登録された組立方法をもとに、自由に組立・解体が行える。
- 在庫・発注を自動計算
- 組立に必要な部品・商品の在庫数や不足数を自動的に算出。
- 不足分は発注データまで自動で作成できるため、人的ミスを削減し効率的な仕入れが可能。
- 運用の柔軟性
- 入荷時に組立てて在庫化する運用と、出荷時に注文を受けてから組立てる運用の両方に対応。
- 企業のビジネスモデルや業務フローに合わせて柔軟に運用できる。
- 在庫の一元管理で売越・欠品を防止
- セット商品の受注と同時に、構成部品(子商品)の在庫を確保。
- セット商品と単品販売の在庫を同一で管理できるため、二重計上や売越・欠品のリスクを低減。
オムニチャネル対応だから複数店舗の在庫管理も楽々!
また、バンドル販売を本格的に運用する企業にとって、最大の障壁となるのがチャネル間のデータ分断です。店舗とECを別々に管理している場合、セット商品の在庫数や利益率を即座に把握できず、結果として欠品や過剰在庫のリスクが高まります。
「キャムマックス」は、店舗・ECなど複数チャネルを横断したオムニチャネル運用を実現する基幹システムなので、どのチャネルから販売されても在庫情報が即時に同期され、セット商品の欠品を防ぎます。在庫管理・販売管理・購買管理・生産管理・財務会計を一元管理できるため、店舗と本部の業務をスムーズに連携させ、全体の業務効率を高めることが可能です。
主な特徴と導入メリット
機能 / 特徴 | 詳細 |
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複数チャネルの受注を一元管理 | 店舗・ECからの受注をキャムマックス上でまとめて処理。見積〜入金まで自動化され、処理ミスを削減できる。 |
在庫の統合管理 | 複数店舗・委託倉庫・EC在庫をリアルタイムで共有して、欠品や過剰在庫を防止。 |
豊富なAPI連携 | POSシステムやECカート、WMS(倉庫管理システム)と連携可能。必要に応じて既存システムと柔軟につながり、導入の柔軟性が高い。 |
業務効率とコストパフォーマンス | ノンカスタマイズ導入が可能で、低価格(月額9万円〜)ながら本格ERPを提供。中小企業でも導入しやすい。 |
API連携を活用することで、POSシステムや主要ECモール / カートシステムとスムーズにデータ連携を行います。これによりリアルタイムでの販売状況の把握、在庫の最適な配置、さらには受注・請求・会計の一元管理が可能です。
また、外部委託倉庫や複数拠点の在庫情報とも連携できるため、欠品や過剰在庫のリスクも最小限に抑えることができます。
オムニチャネル運用を支える仕組み
- 販売データの一元管理
店舗・ECの販売データが一元化されるためヒューマンエラーを防ぎ、業務の正確性とスピードが向上します。
- 最新の在庫情報を自動更新
外部システムとリアルタイムで連携し、どの販売チャネルからの注文でも在庫情報を即時に更新・統一します。
- 販売管理の最適化
受注〜出荷〜請求〜入金までを効率的に処理できるため、バックオフィス業務の工数削減と属人化を抑制します。
- 店舗と本部の情報連携
POSシステムで収集した店舗のデータがERPにリアルタイム反映されることで、本部との情報連携が強化されます。
クラウドERP「キャムマックス」は、POSシステムと組み合わせることで、店舗・ECを含む複数チャネルの販売を一元管理して、オムニチャネル運用を強力にサポートします。連携対象:POSシステム「スマレジ」「Square」「Shopify POS」「BCPOS」「TenpoVisor」その他、各種ECカート、WMSにも対応しています。
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