中小企業向け販売管理システムとは?クラウド型の特徴や選び方を解説
販売管理システムは受注から請求・入金の確認に至るまでの業務を効率化するためのツールです。見積・受注・出荷・請求・売上管理といった業務を一元化することで、情報の整合性を保ち、ヒューマンエラーや業務の属人化を防ぎます。
特に中小企業においては、限られた人材リソースの中で正確かつ迅速な対応が求められるシステムの導入は業務効率を高める上で欠かせません。
本記事では、中小企業の販売管理を効率化するクラウド型システムの機能・特徴・選定ポイントをわかりやすく解説していきます。
目次
販売管理システムの役割
販売管理における各業務は、部門間をまたぎ複数の担当者によって行われることが多く、情報が分断されやすい構造になっています。
- 見積作成
- 受注登録
- 売上処理
- 請求書発行
- 入金消込
- 在庫管理
その結果、手作業や紙・Excelによる管理ではミスや抜け漏れ、業務の属人化が発生しやすく非効率を招く原因になります。販売管理システムは、こうした問題を解消して、業務の効率化・正確性向上・コスト削減を実現します。
※多くの業務をカバーする販売管理システムですが一部、在庫管理に非対応のものなど機能の範囲は製品によって多少異なります。
クラウド型とオンプレミス型の違い
従来の運用形態であるオンプレミス型は、自社でサーバーを設置して社内ネットワークを通じてシステムを運用します。これに対してクラウド型は、インターネットを通じてサービスが提供されるため専用のサーバー設置や設備投資、煩雑な保守管理が不要です。
初期コストを抑えられる事に加え、システムの維持管理の手間がかからず、リモートワークなど多様な働き方にも柔軟に対応可能です。中小企業においては、導入のしやすさや運用面での負担の少なさ、そして高いコストパフォーマンスからクラウド型を選択する企業が増えています。
※クラウドサービスについて詳しくは「クラウドシステムの基礎から活用まで|企業が知っておきたい導入ポイントを解説」をご覧ください。
中小企業における販売管理の課題
課題① Excel・紙ベース管理の限界
多くの中小企業では、販売に関する情報管理を未だにExcelや紙の伝票で行っている現状があります。しかし業務が拡大したり仕入先が増加することで、その運用は限界を迎えます。
例えば、Excelで売上管理を担当者ごとに複数のファイルで管理すると、部門間で整合性が取りにくくなります。これは人数が多くなればなるほど煩雑になりがちです。
紙での管理も同様で、ファイリング作業に追われたり、担当者が不在の際には必要な情報にすぐ見つけられないなど、非効率な状態に陥ってしまいます。
課題② 情報の分散による非効率性
販売管理に必要な情報が部門や担当者ごとにバラバラに管理されていては、伝達ミスなどのヒューマンエラーを招くだけでなく、属人化によって特定の社員しか業務の全体像を把握できないというリスクも生じます。
- 統一されていない業務フロー
- 口頭・紙ベースによる情報共有
- Excelでの受注管理、会計ソフトでの請求処理といった非統合な運用
これにより業務の引き継ぎに時間がかかり、スピードや精度に悪影響を及ぼします。
課題③ インボイス制度や電子帳簿保存法への対応
近年の法制度の改正により、中小企業の販売管理業務において新たな対応を迫られています。
2023年から始まったインボイス制度は、適格請求書の発行が必須となるため、今までのような自由形式の請求書や手書きの帳票では要件を満たすことができなくなります。
また、2024年の電子帳簿保存法の改正により、取引データを電子で保存する際には一定の条件を満たさなければならず、検索機能の確保や訂正・削除履歴の記録などが義務づけられています。
紙保存が前提だった企業によっては、スキャナ保存や電子取引データの管理などが急務となっています。
※詳しくは「インボイス制度とは?2023年10月からの新制度に向けて」「電子帳簿保存法とは?2022年の改正で何が変わったのかわかりやすく解説!」をご覧ください。
販売管理システムの導入メリット
販売管理システムの導入は単なる業務のデジタル化にとどまらず、業務効率や顧客対応力や法制度への対応力など、企業の経営基盤そのものを強化します。限られたリソースの中で最大限の効果を生み出すための選択肢として、販売管理システムは極めて有効なソリューションと言えるでしょう。
特にクラウド型のシステムであれば、初期投資を抑えつつも広範なメリットを享受できます。
業務の一元管理と効率化
販売管理システムの最大の価値は、これまでバラバラに管理されていた業務を一元管理できることにあります。
主な統合業務
- 見積
- 受注
- 売上
- 請求
- 入金
- 在庫
- 仕入
- 発注
それぞれの情報が一つのシステム上でつながり、スムーズに連携できる仕組みが整います。例えば、受注データから請求書作成が行えることで転記ミスやデータ重複を防止します。
特に中小企業では、一人のスタッフが複数業務を兼務していることが多いため、システムを導入することで業務負荷の軽減と人員効率の最大化を可能にします。
売上・在庫データの可視化
販売管理システムは、あらゆる業務データをリアルタイムで反映できるため、最新の売上状況や在庫数が把握できます。これにより受注データから即座に在庫引当が行えたり、適正在庫の維持やスピーディーな発注判断にもつながります。
特に多拠点で事業を展開している企業や在庫変動の大きい商材を扱う企業にとっては、リアルタイム性は大きな経営的メリットとなります。
部門や拠点を越えた情報共有
インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、オフィス外でも社内と同様の情報に基づいた業務が可能になります。これにより、部門や拠点を越えた情報共有が可能になります。
例えば本社と支店で同じ情報を見ながら打ち合わせが行えたり、出先からタブレットやスマートフォンを使った受注データの入力・在庫確認といった運用が可能です。
こうした柔軟な対応力は業務スピードを高めるとともに、突発的な事態や非常時のリスク対応にも強くなります。また、複数人が同時にデータを閲覧・編集できるため、共有ファイルを送信・上書きする手間もなくなり、スムーズな情報共有と意思決定ができます。
自動アップデートで維持される最新の業務環境
販売管理システムはソフトウェアベンダー側がシステムのアップデート(ソフトウェアの更新)を行うため、企業側の負担なく常に最新機能や法制度に対応した状態で利用できます。
インボイス制度や電子帳簿保存法などはもちろん、セキュリティや機能面においても常時アップデートされるため、本来の業務に集中できる環境が整います。
運用とBCP対策
販売管理システムはAWS(Amazon Web Services)などのクラウドサーバー上で運用されており、自社サーバーでの管理と比べて高度なセキュリティ水準が確保されています。またサーバーは複数拠点に分散して管理されているため、障害発生時にも迅速な復旧が可能です。さらに、ベンダーによる保守・管理により自動バックアップなどの体制も整備されています。
これにより、万一のトラブルが発生しても業務を止めることなく継続できるため、BCP(事業継続計画)対策としても大きな効果を発揮します。
初期投資を抑えたスモールスタートが可能
販売管理システムの多くは月額課金制で提供されており、サーバーやインフラの準備が不要なため初期投資を抑えることが可能です。まずは必要最小限の機能から導入しつつ、業務範囲の幅を徐々に広げて拡張するスモールスタートが可能です。
これにより、大規模な設備投資のリスクを負うことなく、自社の成長フェーズに合わせた柔軟な運用が可能になります。
販売管理システムの機能一覧
【販売関連】
販売管理システムの基本的かつ中核的な機能は、見積作成から受注、売上、請求、入金確認に至る一連の取引業務を一元的に管理することにあります。これまで個別に行われていたこれらの業務がシステム上でつながることで、業務の流れが明確になり情報の重複入力や転記ミスを抑制します。
見積作成
顧客からの問い合わせに対して、製品やサービスの内容・価格・納期・数量などを提示する見積書を作成します。見積内容はそのまま後続の受注処理に引き継ぐ事も可能です。
受注管理
受注日時・顧客名・商品内容・納期・出荷指示などを記録・管理します。作成した情報は在庫管理や生産管理、出荷指示と連携されるマスタデータとなります。
売上管理
出荷や納品が完了した段階で、売上として計上されます。月次・日次などでの売上集計や分析にも活用できます。また、売上情報はデータとして請求管理に引き継がれます。
請求管理
請求管理では、顧客ごとの締め日・支払条件に合わせてデータを作成します。請求書のPDF出力やメール送信、自動保存といった機能も備わっており、経理業務の負担を大幅に軽減できます。
入金管理
入金データとの自動突合や消込処理によりスピーディーに処理します。また、未入金や入金遅延についてもリアルタイムで把握できるため早期対応が可能です。
【在庫関連】
製造業・小売業・卸売業などの有形商材を扱う企業にとって、在庫管理や仕入、発注は販売管理業務と密接に関わります。販売管理システムでは、これらを統合的に管理することで業務全体を可視化・最適化します。
在庫管理
製品や原材料などの数量を把握して適正な在庫量を維持します。販売管理システムでは、受注データと連動して在庫引当が行える他、出荷・返品などのデータも即時反映します。
仕入管理
発注データに基づいた入荷処理や仕入計上、仕入先ごとの価格・納期の管理、返品対応などを行います。検品作業後、入庫することで在庫数が更新されます。
発注管理
仕入先に対して発注を行います。システムによっては予め設定した発注点に在庫数が到達した段階で発注書を作成したり、アラートで通知を行う機能が搭載されています。
【外部システムとの連携】
販売管理システムは、外部システムとの連携によってその効果を最大化させることができます。APIやCSV連携によってデータ連携を行うことで、より高度な業務統合が可能になります。
企業間電子取引:ECサイト・Web-EDIとの連携
ECサイトと連携してオンラインでの注文情報を販売管理システムに取り込むことが可能です。また企業間取引においては、Web-EDIと連携することで注文書や請求書などのデータをスムーズにやり取りできます。
※Web-EDIについて詳しくは「Web-EDIとは?システム導入のメリットや費用・機能比較などご紹介」の記事をご覧ください。
顧客管理:CRMとの連携
CRM(顧客関係管理)と連携をすることで、顧客情報の一元管理を行い、営業履歴や取引内容、問い合わせ対応履歴などを可視化できます。これにより購買履歴に基づいたキャンペーンの実施や過去の取引顧客への再アプローチが行えます。顧客対応の質が向上することで、LTV(顧客生涯価値)の最大化にもつながります。
財務会計:会計システムとの連携
請求・入金データを会計システムと連携することで、仕訳入力の作業を大幅に削減できます。また販売データと会計情報の整合性が取れることで、監査対応が必要な場合でもすぐにデータを準備することが可能です。
中小企業向け販売管理システムの選び方と選定ポイント
自社業務・業種に合致する機能の確認
販売管理システム選定において最も重要なのは、自社の業務内容や業種に合った機能が備わっているかどうかです。
見積・受注・出荷・請求といった基本的な販売管理フローだけでなく、受注残、在庫引当、売掛残など管理粒度の細かさや、既存システムとの連携といった点も重要な比較ポイントとなるため、自社の業務要件と照らし合わせながら慎重に確認することが求められます。
導入から運用までにかかるコストの算出
中小企業にとって、導入から運用までにかかるコストは非常に重要な判断材料です。特にクラウド型の場合は初期コストを抑えられる反面、月額料金が発生します。
定額料金に加えて従量課金が発生するケースや、ユーザー数やオプション機能によって料金が大きく変動することもあるため、自社の将来的な利用規模も見越して長期的なトータルコストを試算しましょう。
サポート体制の対応力
販売管理システムは導入して終わりではなく、運用中に不明点やトラブルが発生することも少なくありません。特にITに不慣れな企業では、操作方法の相談や設定変更の必要が生じる場面も多いため、迅速で丁寧なサポート体制があるかどうかは非常に重要です。
電話・チャット・メールなどの対応手段はもちろん、対応時間や対応期間についても事前に確認しておく必要があります。
外部システムとのデータ連携(CSV・API)
販売管理業務は他の業務システムと密接に関わるため、ECサイトや顧客管理、会計システムとのスムーズな連携が重要です。CSVでのデータ連携は最低限の機能として、より高度な運用にはAPIによるリアルタイム連携に対応しているかもポイントです。
クラウドサービスが普及している現在、異なるクラウドサービス同士のスムーズな連携が求められる場面も増えており、連携機能の充実度は業務全体の効率性を左右します。
※APIはリアルタイム連携が可能ですが、CSVは手動処理が必要なためタイムラグが発生しやすくなります。
販売管理機能が充実!クラウドERP『キャムマックス』

クラウドERP「キャムマックス」は販売管理を中心に、在庫管理・購買管理・生産管理・財務会計まで、バックオフィス業務を幅広くカバーする基幹システムです。
オムニチャネル対応やAPI連携による柔軟な拡張性を備えながらも、導入のハードルを抑えた設計が多くの中小企業に支持されています。
見積から受注、入金までを一元化
販売管理では、見積・受注・出荷・請求・入金といった一連の業務をまとめて管理することができます。さらに、POSシステムや各種ECモールとは、APIやCSVを通じて連携が可能です。
そのため、BtoB(卸売)・BtoC(ECサイト)・実店舗といった複数の販売チャネルがあっても、情報を一元化することができます。それにより、販売ルートごとの管理が不要となり煩雑な業務を大幅に効率化できるようになります。
詳しくは以下ページをご確認ください
https://www.cammacs.jp/function/sales-management/
在庫管理・購買管理との連動でバックオフィス業務をまるごとカバー
キャムマックスでは在庫管理機能や購買管理機能も搭載しているため、部門間をまたいだスムーズな業務運用を実現します。受注データから自動的に在庫引当を行うのはもちろん、外部委託倉庫や多拠点における在庫もシステム上で管理することが可能です。
また購買管理では発注データの作成はもちろん、仕入先ごとのマスタ管理や支払管理までバックオフィス業務を幅広く支援します。
詳しくは以下ページをご確認ください
https://www.cammacs.jp/function/inventory-management/
https://www.cammacs.jp/function/purchasing-management/
財務会計・仕訳とも連動して経理処理も効率化
キャムマックスには財務会計機能も標準で搭載されており、販売データから自動仕訳を行うことで大幅に業務コストを削減します。重複入力や集計ミスのリスクを減らし、正確性が飛躍的に向上します。販売・購買・会計の各業務が統合されることで月次損益やキャッシュフローをリアルタイムで把握することが可能です。
詳しくは以下ページをご確認ください
https://www.cammacs.jp/function/financial-accounting/
柔軟なAPI連携で拡張性も抜群
キャムマックスはAPIやCSV形式での外部連携に対応しており、CRM、SFA、BIツール、ECカート、決済システムなど、さまざまな外部アプリケーションと連携が可能です。これにより販売情報をもとにしたマーケティング施策や、営業活動とのデータ共有など業務全体の最適化を図ることができます。
詳しくは以下ページをご確認ください
https://www.cammacs.jp/function/coordination/
中小企業のための次世代ERP
キャムマックスは、月額9万円(税抜)からというリーズナブルな価格設定でありながら、初期コストを抑えつつスタートできる中小企業のためのERPです。
複雑な業務フローを一元化して、人材リソースの不足や法制度対応など、現代の中小企業が直面する課題に真正面から向き合える設計になっています。販売管理機能の強化をきっかけに、業務全体のDX化・最適化を進めたいと考えている企業にとって、ぜひご検討いただきたいサービスです。