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購買管理業務における内部統制のポイント
購買管理

購買管理業務における内部統制のポイント

購買業務は「価格交渉」「発注」「検収」「支払処理」など、資金や契約に直結する重要な業務であり常に慎重な対応が求められます。

一方で、業務の属人化や不正、情報の不透明化といったリスクが潜みやすく、企業全体の信頼性やガバナンスにも影響を及ぼしかねません。こうしたリスクを抑え、健全な業務運営を支えるために欠かせないのが内部統制の確立です。

本記事では購買業務における内部統制の重要性と、その具体的な整備ポイントについて解説します。

購買業務とは

製品を「生産 = 作る」ために必要な原材料・部品・商品などを外部から調達する業務です。

製造業では生産管理部門、建設業では施工管理部門が購買業務を担うことが多いですが、企業によっては専門の購買部門や調達部門を設置している場合もあります。購買対象は製造業であれば鉄鋼材や電子部品、建設業では木材や配管部材などの直接材はもちろん、パソコンや事務用品、業務委託といった間接材も含まれます。

購買業務に潜むリスク

業務の属人化

購買業務が特定の担当者に依存してしまうと、業務の透明性や客観性が著しく損なわれます。取引先の選定基準や価格交渉の経緯、発注の根拠などが曖昧で個人の裁量に任せている状態では妥当性を証明することはできません。このような業務の属人化は不正を生む温床になりやすいです。

取引先との癒着・キックバック

取引先との接点が多い購買業務では、担当者が私的な関係を築くことで癒着が生じたり、発注の見返りとして金品や接待を受け取るキックバックのリスクがあります。こうした不適切な関係により取引先の選定が公平な基準に基づかなくなれば、優良な取引先との契約機会を逸してしまう可能性があります。

水増し請求・架空発注

水増し請求や架空発注といった金銭的な不正は、購買業務における最も深刻なリスクの一つです。こうした不正は帳簿上の処理だけで完結してしまうことが多く、不正が長期に渡り見逃される恐れがあります。
発注から検収、支払までを特定の担当者に一任していたり、関係書類を紙ベースで管理・保管していると不正が表面化しにくいため改善が必要です。

購買業務における内部統制のポイント

購買業務に内在するさまざまなリスクを抑え、業務の信頼性や効率性を高めるためには「ルールを定める」だけでは不十分です。そのルールを「誰が・いつ・どのように運用して、確認・記録するのか」といった実務レベルの運用設計が重要です。

そこで、内部統制を購買業務に定着させるために欠かせない6つの視点から具体的な改善ポイントを解説します。

購買管理規程の策定や見直し

内部統制の起点となるのが「購買管理規程」の整備です。これは購買業務における方針や手順、責任範囲、禁止事項などを明文化した社内ルールであり、業務の標準化と不正防止の基盤となります。規程が曖昧だったり業務運用と乖離していたりすると、担当者の判断に頼る場面が増えてしまい不正や属人化に繋がるため、実態に即した内容であることが重要です。

また、規程は一度作って終わりではなく事業環境や法令、業務内容の変化に応じた定期的な見直しも必要です。実務とルールの整合性を保つことが内部統制を実効性あるものにします。

※購買管理規程の構成例(テンプレート)については後ほどご説明します。

購買基準や取引先の選定基準の整備

購買業務では「何をどの業者から、どのような条件で購入するのか」という判断が日常的に求められます。こうした判断を各担当者の裁量に委ねてしまうと仕入価格や品質にばらつきが生じたり、公正な取引が損なわれる可能性があります。

こうしたリスクを回避するためにも、明確な購買基準と取引先の選定基準を整備しておく必要があります。

例:整備すべき基準

  • 購入判断の金額基準 (例:10万円超は複数見積必須)
  • 取引先の評価指標 (信用度、納期遵守率、品質スコア)
  • 業者登録・契約締結の要件

職務分掌:購買業務における役割を分担する

購買業務は「発注」「検収」「支払」という3つの工程に大きく分けられます。これら全てを特定の担当者(または同一部門)が行っていては、不正が発生するリスクが高まります。こうした事態を回避するため、職務分掌の考え方に基づき業務を適切に分離する必要があります。

それぞれの工程を異なる担当者や部門が担うことで、相互に監視・補完し合う関係が生まれ、結果として組織全体の透明性と信頼性が向上します。

※人員に制約がある場合も、発注と支払の分離は必須です。

例:工程別に担当を分離

  • 発注 → 担当A (購買部門)
  • 検収 → 担当B (生産管理部門)
  • 支払処理 → 担当C (経理部門)

承認フローの明確化と多層化

発注や取引において、金額や規模に応じた上長承認や経理部門への事前確認など、複数段階でチェックが入るように承認フローを多層化することが重要です。不正を防ぐことはもちろん、判断の客観性と慎重性を担保することで過剰在庫のリスクを最小限に抑えます。

承認フローを単なる形式的なものにとどめず、組織の規模や業種に応じた設計と運用がなされているかどうかが内部統制の質に大きく影響します。

買掛金残高の徹底管理

不正目的での帳票の書き換えや二重計上、重複支払といった事態を防ぐためには、買掛金残高を正確に管理することが不可欠です。発注書・納品書・請求書の内容を照らし合わせる3点照合の徹底に加えて、支払処理にあたっては取引ごとの消込作業を適時行いましょう。

管理システムの導入:業務フローの可視化

システムを導入することで「発注・承認・納品・検収・支払」までの一連の業務を一元的に管理できます。各工程がシステム上で可視化されることにより、誰が・いつ・どの処理を行ったかが明確になり、業務の透明性が向上します。

さらに、通常とは異なる処理の流れや不適切な承認操作などもシステム上で把握しやすくなり、早期の検知と是正が可能になります。

購買管理規程の構成例:テンプレート

基本的な構成と内容を示した「購買管理規程:ひな形(テンプレート)」です。

自社の業種・規模・組織体制・業務フローに応じて、項目の追加・削除・修正を加えながら、貴社の実情に即した形でご活用ください。

購買管理規程

第1章 総則

第1条 (目的)

本規程は、当社における購買業務の手続きを標準化し、適正かつ透明性のある調達を実現するとともに、不正の防止および内部統制の強化を図ることを目的とする。

第2条 (適用範囲)

本規程は、当社が行うすべての原材料・部品・商品・役務の購入に適用する。

第2章 購買業務の基本方針

第3条 (基本原則)

購買は公正・透明かつ経済性に基づいて行うものとし、品質・価格・納期・供給安定性を総合的に評価して実施する。

第4条 (分離とチェック)

発注、検収、支払の各業務は相互に牽制が働くよう分離し、同一人物による重複処理を避ける。

第3章 購買手続き

第5条 (購買依頼)

購買部門は、各部門からの購買依頼に基づき、内容・予算・必要性を確認のうえ手続きを開始する。

第6条 (承認手続き)

購買金額に応じて社内の承認を受けなければならない。承認権限は別途定める稟議規程に従う。

第7条 (発注手続き)

正式な発注は、購買管理システム上で承認された内容に基づき、発注書をもって行う。

第8条 (納品・検収)

納品された物品または提供されたサービスについては、所定の検収手続きを経て確認する。

第9条 (支払処理)

請求書の内容と発注書・納品記録が一致していることを確認したうえで、経理部門が支払処理を行う。

第4章 取引先管理

第10条 (取引先登録)

新規取引先とは取引開始前に審査を行い、取引先マスタに登録する

第11条 (契約締結)

取引にあたっては、必要に応じて契約書を締結し、契約内容を文書で明確化する。

第5章 帳票および記録管理

第12条 (帳票の管理)

発注書、納品書、請求書、契約書等の関連帳票は、種別に応じて、所管部門が所定の期間保存・管理する。

第13条 (記録の改ざん禁止)

業務記録の改ざん・削除・隠蔽を禁止し、違反があった場合は社内規程に基づき厳正に対処する。

第6章 附則

第14条 (規程の改廃)

本規程の改廃は、代表取締役の承認を経てこれを行う


第15条 (施行期日)

本規程は、〇〇年〇月〇日より施行する。

まとめ

購買業務は企業活動に欠かせない重要な業務領域であると同時に、不正やミスが発生しやすい領域でもあります。本記事では、そうしたリスクにどう向き合い、どのように内部統制を実効性のある形で組み込んでいくべきかについて、制度面と運用面の両面から解説しました。ルールを整備するだけでなく、日々の業務の中で「仕組みとして機能させること」が内部統制の本質です。

企業ごとに業務の規模や体制は異なりますが、自社の実態に即した形で取り入れ、継続的に見直していくことが、実効性のある内部統制を構築・維持するための第一歩となります。

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発注から支払までを一元管理して、内部統制を強化

購買業務に関わる一連の流れをすべてシステム上で一元的に管理できます。

発注登録 → 承認 → 発注書発行 → 入荷処理(仕入消込)→ 支払データ作成 → 買掛金処理

これにより、業務フロー全体が可視化され、誰がどの処理をいつ実行したかを明確に把握できるようになります。

詳しくはYoutubeでもご覧いただけます。

不正・ミスを防ぐワークフロー設計

キャムマックスでは、承認されていない発注はシステム上で処理できない仕組みとなっており、属人化した判断に頼らず、ルールに基づいたチェック体制をシステム上に確実に組み込むことで内部統制の仕組みが現場で着実に機能します。

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