不定貫商品の在庫管理を簡単にする方法は?食品業界に必須の機能
不定貫商品は、一つひとつの重量やサイズが異なるため、在庫管理や販売管理において特有の課題を抱えやすい商品です。精肉や鮮魚など食品業界では特に多く取り扱われており、正確な重量管理やロット管理、賞味期限管理を同時に行う必要があります。しかし現場では、エクセルや手書きの伝票を使ったアナログな管理方法が多く、在庫誤差や業務の属人化が避けられないのが実情です。こうした状況は、販売機会の損失や顧客満足度の低下にも直結するため、早急な改善が求められます。
本記事では、不定貫商品の基本的な概念から、小売・食品業界が直面する在庫管理の課題、さらに効率化を実現する最新のシステム活用方法までを解説します。実際の管理成功事例や、クラウドERP「キャムマックス」による解決策についても紹介しますので、日々の業務改善やシステム導入の参考にしていただけます。
目次
不定貫商品とは?定貫商品との違いを解説
在庫管理や販売管理においてよく耳にする「不定貫商品」と「定貫商品」。特に食品業界では、この区別を理解していないと、仕入や販売の段階で在庫差異や価格計算の誤りが発生しやすくなります。ここでは、不定貫商品の定義と定貫商品との違いを、初心者にもわかりやすく解説します。
不定貫商品の定義
不定貫商品とは、一つひとつの重量やサイズが異なる商品を指します。代表的な例としては精肉や鮮魚、青果などが挙げられます。たとえば同じ牛肉の部位でも、500gの商品もあれば520gの商品もあり、すべての個体で重量が揃うことはありません。このように個体差がある商品は「数量」だけではなく「重量」を基準にした在庫管理や販売価格の設定が必要になります。不定貫商品は、消費者にとっては鮮度や品質を保ちながら購入できるメリットがある一方で、事業者にとっては管理が複雑になる特徴があります。従来は人手で重量を測定し、その都度伝票に記載する方法が取られていましたが、在庫差異や人的ミスを招きやすい点が課題とされています。
定貫商品との違いと具体例
一方で定貫商品とは、すべての単位が同じ重量やサイズで統一されている商品を指します。たとえば「1本=500mlのペットボトル飲料」や「1袋=200gの冷凍食品」など、重量や容量があらかじめ固定されているケースです。定貫商品は数量単位で管理できるため、在庫管理も比較的容易で、価格設定も安定します。これに対して不定貫商品は、1個ごとに重量を計測しなければならないため、在庫計上や出荷時の処理に手間がかかります。特に食品業界では、不定貫商品と定貫商品を同時に扱うことが一般的であるため、両者を混在させた在庫管理の仕組みが求められます。近年ではクラウドERPや在庫管理システムの進化により、不定貫商品の重量データをリアルタイムで反映できる仕組みが整いつつあり、従来の手作業による誤差や効率低下の解消につながっています。
小売・食品業界における不定貫商品の在庫管理の実態
不定貫や定貫に限らず、食品業界には在庫管理に大きな影響を与える、以下のような特有ルールが存在します。
消費・賞味期限管理
食品は、賞味期限や消費期限があるため、時間的な制約があります。期限が切れたものは販売できない決まりになっているため、期限前に売り切ることが必須です。
基本的に、消費期限は生鮮食品に使用される期限で、この期限内に消費しなければ安全性が保たれないことを表します。
賞味期限は主に加工食品に使用され、あくまで美味しさを保つことができる期限となります。
納品期限
賞味期限がついた加工食品には、法律とは関係なく業界特有の「3分の1ルール」に基づいた対応が必要です。
この「3分の1ルール」は、納品と販売の場面でそれぞれ存在します。
まず納品時のルールでは、たとえば賞味期限が6か月先に設定されていたとすると、その3分の1にあたる2か月をすぎると業者が納品をすることはできないというルールです。
販売時のルールは、賞味期限が当初の残り3分の1の2か月を過ぎると、撤去もしくは見切り品として販売しなければならないというルールです。
預け・預かり管理
食品の預け・預かり管理とは、食品メーカーや卸売業者などが、販売先の小売店や飲食店などにあらかじめ商品を預け、在庫管理を任せることを意味します。
商品の所有権はメーカーや卸売業者が保有しますが、商品の在庫管理は販売先が行います。
商品が売れた分だけ代金を仕入先に支払う方法で、所有権の所在が異なる商品を管理するため在庫管理が複雑になります。不定貫商品を預かる場合にはさらに複雑となるでしょう。
欠品ペナルティ
食品の欠品ペナルティとは、メーカーが小売からなどの受注に対して、商品を納品できなかった場合に課せられる罰金のことを指します。
納品期限内に商品を届けられない場合や、注文数に対して納品数が不足している場合に、ペナルティが課せられます。
荷姿別管理
不定貫商品に限らず、バラ売り、セット売り、ケース売り、ロット売りなど様々な販売単位が存在するのが食品の特徴です。
荷姿によって割引率が異なることも多いため、それぞれ別の管理が必要となります。
トレーサビリティ管理
食品のトレーサビリティとは、食品の生産・流通過程を一元的に管理し、どこで生産され、どこを経由して、どこで消費されたかを明確にすることです。
食品が問題を引き起こした場合、問題が発生した場所を迅速に特定し、被害を最小限にとどめることができます。
生鮮食品が多い不定貫商品には特に必要な管理となります。
不定貫商品の在庫管理でよくある課題
重量と数量のズレによる在庫誤差
不定貫商品は、同じ「1パック」でも重量が異なるため、単純に数量で管理すると誤差が生まれやすい特徴があります。たとえば10パック仕入れても、総重量が正確に把握できていなければ、売上計算や原価管理で実態とのズレが発生します。結果として帳簿在庫と実在庫に乖離が生じ、棚卸のたびに差異調整を行わなければならない状況が起こります。これが積み重なると、利益計算や仕入戦略にまで影響を及ぼします。
出荷・伝票処理の非効率化
出荷の際には、商品の重量を確定させたうえで伝票を発行する必要があります。しかし手作業で重量を計測し、伝票やシステムに入力している場合、処理に時間がかかり出荷作業が遅れる要因となります。また、入力ミスが発生すれば販売データや在庫情報に誤りが残り、業務全体の効率を下げてしまいます。特に繁忙期や大量出荷時には、この処理の遅れが大きな負担となり、現場担当者のストレスを増やす原因になります。
賞味期限やロット管理の難しさ
食品業界では、不定貫商品であっても賞味期限やロットを正確に管理することが求められます。しかし重量を基準とした管理と、賞味期限・ロット管理を同時に行うことは容易ではありません。特にエクセルや紙台帳での管理では、複数の情報を突き合わせる作業が煩雑になり、期限切れ商品が見落とされるリスクがあります。結果として返品や廃棄が発生し、コスト増加につながるケースも少なくありません。食品業界にとって信頼性を損なう問題であり、事業継続に直結する課題といえます。
不定貫商品の管理を効率化できるシステムとは?
現状の課題 | システム導入後 | |
---|---|---|
在庫管理の正確性 | 重量や数量が一定でないため、アナログでの管理が多く、在庫数の把握にミスが生じやすい。 | 自動計算機能により、重量ベースでも数量ベースでも正確な在庫管理が可能。 |
賞味期限・消費期限の管理 | 賞味期限切れや消費期限切れの商品が発生しやすく、在庫ロスが増える。手動管理では限界がある。 | 賞味期限や消費期限を自動追跡。期限が近づくと通知アラートなどでお知らせして在庫ロスを最小化。 |
業務効率 | 手作業での在庫入力や棚卸が多く、入力ミスや確認作業に時間がかかる。 | リアルタイムでデータが更新されるため、手間のかかる作業が大幅に削減され、業務効率が向上。 |
トレーサビリティ管理 | 商品のロット情報や追跡情報が不十分で、トラブル発生時に迅速な対応が難しい。 | トレーサビリティ機能により、仕入れ先や出荷先の情報を詳細に記録。問題発生時にも迅速な対応が可能。 |
導入コスト | 手動管理やエクセル管理により、一見コストは抑えられるが、在庫ロスやミスによる損失が大きい。 | 初期・月額コストはかかるが、業務効率化や在庫ロス削減により中長期的にコスト削減を実現。 |
このように難しいと言われる不定貫商品の在庫管理は、システムに任せるのがおすすめです。不定貫商品の在庫管理にはどのようなシステムを活用すればよいのかご紹介します。
在庫管理システム
不定貫に限らず様々な商品の在庫管理を行うことができるシステムです。
多くの在庫管理システムにバーコード管理機能がついているので、不定貫商品に独自のバーコードを使用することも可能です。
また、食品の在庫管理はタイムロスが命取りとも言えるため、在庫管理システムでリアルタイムのデータを活用できることは、大きなメリットとなります。
ERPシステム
在庫管理にERPシステム?と思われる方もいるかもしれませんが、ERPシステムの中でも販売管理や在庫管理機能がついているものがあります。
そのようなシステムは、商品の流れを最初から最後まで一貫して管理できるので、大変便利です。
発注に関しても、予測機能を元に自動で行ってくれるなど、多くの手間を省くことができます。
ただ、後述するように、ERPシステムの中でも不定貫商品の在庫管理に対応したものを選ぶことが重要です。
不定貫商品の在庫管理がうまくいっている会社はどのように管理しているのか?
不定貫商品の在庫管理は従来のエクセルや紙台帳だけでは限界があり、近年ではIT技術やDXの進展により効率化を実現する新しい仕組みが普及しています。ここでは、食品業界で注目されている最新のトレンドを紹介します。
スマホやハンディ端末を使ったモバイルピッキング
入荷や出荷の際に、スマートフォンや専用のハンディ端末を利用して重量や数量を直接入力する仕組みが広がっています。バーコードやQRコードを読み取ることで、リアルタイムに在庫へ反映でき、帳簿在庫と実在庫のズレを解消します。特に繁忙期や人員不足の現場では、入力作業の効率化とミス削減に大きな効果を発揮しています。
クラウドERPによる在庫一元管理
不定貫商品と定貫商品を同時に扱う企業では、両者を一元的に管理できるクラウドERPが注目されています。クラウド環境を活用することで、複数拠点や事業部間の在庫情報をリアルタイムで共有でき、業務全体の見える化と迅速な意思決定が可能になります。さらにクラウドERPは食品業界特有のトレーサビリティ機能や多単位管理にも対応しており、業界全体での普及が進んでいます。
AIや需要予測との連携
在庫の最適化には、単に在庫を記録するだけでなく、需要予測を組み合わせることが重要です。AIを活用した需要予測ツールと在庫管理システムを連携させることで、仕入れや発注の精度を高め、余剰在庫や欠品リスクを減らすことが可能になります。特に不定貫商品は重量変動があるため、AIの分析結果を活用することで、より現実的な在庫計画が立てられるようになります。
システム導入前に確認すべきポイント
同じ不定貫商品を管理できるシステムでも、特に選定の際しっかりと確認したい機能は以下になります。
重量管理機能
不定貫商品は一つ一つ重さが異なる商品なので、重量管理機能が必須となります。
一方で、自社が扱う商品には定貫も含まれるというケースがほとんどですから、通常通りの数量管理も合わせて可能となっている必要があります。
バーコード管理機能
在庫の入出荷に時間がかかるとその分タイムロスが大きくなるため、バーコード管理機能がついているかどうかも重要なポイントとなります。
消費期限や賞味期限を自動で取得し、管理しやすくなります。
不定貫商品であれば、自社独自の管理が必要となることも多いですが、自社管理用のバーコードを使えば効率的です。
トレーサビリティ管理機能
食品の在庫管理には期限管理はもちろんのこと、トレーサビリティ管理もなくてはならない機能です。
ロット管理により、仕入先や出荷先などの情報を活用し、問題が発生した場合にただちに対応して被害の拡大を防ぎます。
リアルタイム管理機能
同じように食品の在庫管理が可能なシステムでも、エクセルのようにオフラインの状態で記入を行ったりデータを取得したりするシステムだと、一連の流れを確認するのに時間がかかります。
タイムロスを最小限に抑えるには、オンラインで常に最新の情報を得ることができるシステムがおすすめです。
クラウドERP「キャムマックス」で不定貫商品の在庫管理を解決!
不定貫商品の在庫管理で発生する重量差や在庫誤差、伝票処理の煩雑さを解決するには、食品業界の実情に合わせたシステムが必要です。クラウドERP「キャムマックス」は、多単位管理やトレーサビリティなど不定貫商品の特性に対応した機能を備えており、業務効率化とコスト削減の両立を実現します。
多単位在庫管理で誤差を最小限に
キャムマックスは「数量」と「重量」の両方を同時に管理できる多単位管理機能を搭載しています。精肉や鮮魚など重量が一定でない商品でも、入庫から出荷までリアルタイムに正確な在庫を把握できるため、帳簿在庫と実在庫の差異を大幅に減らすことが可能です。
食品業界向けのトレーサビリティ対応
食品業界において重要なロット管理や賞味期限管理にも対応している点がキャムマックスの強みです。仕入から販売までの履歴を簡単に追跡できるため、リコール対応や品質保証に役立ちます。取引先への説明責任を果たせるだけでなく、消費者からの信頼向上にもつながります。
低コストで導入できるクラウドERP
従来のERPは高額な初期費用や長期間の導入プロジェクトが必要でしたが、キャムマックスはクラウド型のため低コストかつ短期間で導入可能です。さらに月額利用料に基づく料金体系により、中小規模の小売・食品業者でも無理なく利用できます。サーバー管理や保守も不要で、IT部門を持たない企業でも安心して運用できる点が大きなメリットです。
FAQ(よくある質問)
Q1. 不定貫商品とは何ですか?
A:不定貫商品とは、1つ1つの商品の重量や形状が一定でなく、肉や魚のように数量が不確定な状態で販売される商品を指します。不定貫商品の特徴として、一般的に「100gあたり〇円」といった形で販売されています。
Q2. 不定貫商品の在庫管理が難しい理由は何ですか?
A:不定貫商品の在庫管理が難しい理由は、その性質にあります。消費期限や賞味期限があるのはもちろん、重量が商品ごとに異なるため数量管理が複雑であったり食材を切り分けて使用したり販売することもあるため細やかな在庫管理が必要です。
Q3. キャムマックスのクラウドERPはどのような特徴がありますか?
A:キャムマックスのクラウドERPは、システムをカスタマイズしなくても不定貫商品であっても在庫管理ができる仕様になっており、食品業界の卸・小売事業者にもご利用いただけます。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。