旅館・ホテルのアメニティ管理を省人化する在庫管理システムとは?
旅館・ホテルの運営において、在庫管理はバックヤード業務の一部でありながら、サービス品質と運営効率の双方に影響する重要な領域です。特にアメニティは、客室の稼働状況に応じて日々消費される消耗品であり、需要が稼働状況に大きく左右されるという特性を持ちます。
こうした変動性の高い在庫を、限られた人員で管理する必要がある宿泊業では、業務の標準化と省力化が不可欠であり、従来のアナログ管理から脱却することが求められています。
本記事では、アメニティ管理の課題を整理した上で、在庫管理システムによる業務効率化について体系的に解説します。
現場で起きている在庫管理の問題点
多種多様なアイテムと属人化する管理
分類 | 代表アイテム |
|---|---|
客室アメニティ | 歯ブラシ、髭剃り、ヘアブラシ、綿棒など |
バスルーム備品 | シャンプー、リンス、ボディソープ、ハンドソープなど |
フロント・貸出品 | 加湿器、充電器、アイロン、毛布など |
共用部 | トイレ備品、レンタル傘、新聞・雑誌など |
アメニティ(備品含む)管理が複雑化する背景には、管理対象となる品目の多さと、消耗品・耐久品など”性質が異なるアイテム”が混在している点が挙げられます。
管理が複雑化する要因
- 多様な取り扱い品目:消耗品、回収品、長期使用備品が同時に存在している
- 設置場所の分散:客室、共用部、浴場、フロントなど多岐にわたる
- 需要の変動:稼働率や宿泊日数によって消費ペースが変動する
- 発注の複雑性:品目ごとに発注先や納期が異なる
このような条件下では、在庫の記録漏れや見落としが発生しやすくなります。
紙を使うなどのアナログな管理方法では、情報を把握できるのが一部の担当者に限られ、管理基準やノウハウが共有されないため、運用の安定性が損なわれます。
発注ミス・在庫ロスの発生
アメニティ管理における発注ミスや在庫ロスは、在庫情報が適切に整理・更新されないことに根本的な原因があります。
発注判断が不安定になる構造
・在庫把握の遅れ:最新の在庫数量をリアルタイムに確認できない
・データの不足:使用実績が蓄積されておらず、適正量を判断できない
・変動への対応不足:繁閑差を踏まえた発注基準が設定されていない
在庫記録が不正確な場合、帳簿上の在庫(理論在庫)と実在庫の乖離が広がり、適切な発注判断ができません。このような状況では、安全側に偏った判断になりやすく発注数が多くなる傾向があります。
結果的に、余剰在庫を抱え込むことで保管コストや廃棄ロスにつながります。
現場や拠点をまたいだ情報共有の難しさ
アメニティや備品は、フロント、バックヤード、総務・経理など複数の部門が関与します。一方で、情報が一元管理されておらず、異なる方法で個別に管理されているケースも少なくありません。
情報が分断されやすい要因
- 管理方法の分散:紙や表計算ソフトなど、複数の媒体で個別に管理されている
- 保管場所の点在:本館・別館・倉庫など、在庫拠点が分かれている
- 管理ルールの不統一:拠点や部門ごとに異なる基準で運用されている
- 現場単位での判断:補充・発注が各現場の裁量で行われている
データが統一されていないことで、施設全体の在庫状況を正確に把握できず、欠品や重複発注が発生しやすくなります。また、消費傾向の分析や発注量の最適化といった改善も困難になります。
在庫管理システムで変わるアメニティ管理
従来は手作業に頼っていた業務をシステムで運用することで、データが一元化され、省人化と標準化を図ることができます。以下では、在庫管理システムの代表的な機能について解説します。
在庫管理システムの基本機能
機能 | 内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
在庫登録 | アイテムをカテゴリごとに登録・分類 | 多品目なアメニティを細かく整理・管理できる |
入出庫記録 | 在庫の増減を記録し、在庫数を自動更新 | 担当者がその場でデータを更新できるため、記録漏れやミスを防げる |
棚卸管理 | 棚卸データの入力・記録を簡略化 | 棚卸表の作成や集計が自動化され、作業時間を短縮でき精度が向上する |
在庫管理システムには、在庫数・入出庫記録・消費数・発注履歴・保管場所(ローケーション)などを管理する機能が備わっています。近年は、タブレット端末やスマートフォンに対応しているものも多く、倉庫から直接操作できるため、タイムラグなく情報を更新できます。
また、転記作業が不要になることで、作業時間の短縮やヒューマンエラーを削減します。
発注・補充の自動化とアラート通知
事前に設定した下限在庫数を下回った際に通知が届くため、発注が必要なアイテムを効率的に把握し、適正在庫数を維持します。発注点や補充判断が標準化されることで、属人化を防ぎ、誰でも一定の基準で発注や補充が行なえます。
クラウド上でのリアルタイム管理
リアルタイムで同じ在庫情報を参照できることで、現場での判断や対応がスムーズになります。また、施設間での在庫移動も把握できるため、在庫の偏りを解消し、全体最適を図ることができます。
システムの選定ポイント
在庫管理システムは、現場に定着して初めて効果を発揮します。選定時は、機能や価格だけでなく、「日常業務の中で無理なく運用できるか」という視点が重要です。
導入前のトライアルやデモを通じて、現場での操作感を事前に確認することも必要です。
ポイント① 現場に適した操作性
操作性の良し悪しは現場への定着を大きく左右します。アメニティ管理は倉庫やバックヤードといった移動が多い環境で行われるため、現場に適した操作性が不可欠です。
選定時の確認ポイント
- タブレット・スマートフォン対応:モバイル端末で入力・確認ができるか?
- 直感的な操作性:少ないタップ・クリックで操作が完結するか?
- シンプルな画面設計:初めて使うスタッフでもすぐに操作ができるか?
- バーコード / QRコード対応:棚卸や入出庫時のデータ入力を効率化できるか?
ポイント② データ更新の即時性と精度
アメニティは消費スピードが速いため、リアルタイムでのデータ更新が必須です。拠点や端末が異なっても簡単に入力が行え、内容が即座に反映されることが重要です。
選定時の確認ポイント
- 最新データの即時反映:入出庫記録や棚卸結果が即座に全体へ反映されるか?
- 複数端末での同時利用:複数の部門や拠点での同時運用が可能か?
- 入力ミスの防止:プルダウン選択、発注データの自動作成、自動計算などが可能か?
ポイント③ ランニングコストと費用対効果
システム導入に伴うランニングコストと、それに見合う効果を検証することが重要です。例えば、現状の在庫確認作業にかかる時間や、余剰在庫の発生状況などを把握した上で、システム導入後にどの程度改善できるかを想定し、コストと比較する必要があります。
また、費用対効果は単純なコスト削減額だけでなく、属人化の解消や運営リスクの軽減といった中長期的な効果も含めて検討しましょう。
選定時の確認ポイント
- ランニングコストの算出:月額利用料・発行ID数・機能オプションなどの総額がいくらか?
- 作業時間の検証:棚卸作業、発注業務、在庫確認などの工数削減がどの程度見込めるか?
- 在庫ロスの削減:過剰在庫、廃棄・紛失による損失をどの程度抑えられるか?
導入メリット
作業負担の軽減と省人化
在庫情報の確認や判断が一元化されることで、確認や調整にかかる手間が削減されます。少ない人数でも安定した運用が可能になり、省人化を実現します。これにより、接客などコア業務にリソースを集中できます。
リアルタイム管理による在庫精度の向上
精度の高い在庫情報により、適切な発注判断が可能になり、余剰在庫や廃棄ロスを抑えられます。また、蓄積されたデータから消費傾向を分析できるため、発注量やアメニティ構成の最適化といった中長期的な改善も可能です。
顧客満足度の向上
アメニティが欠品なく安定して提供されることで、快適な宿泊環境を維持できます。また、スタッフの業務負担が軽減されることで接客により注力でき、サービス品質全体が高まります。こうした相乗効果により顧客満足度が向上します。
旅館・ホテル業界の在庫管理の効率化を実現するクラウドERP『キャムマックス』

「キャムマックス」は、アメニティ管理にも対応するクラウドERPです。施設や倉庫をまたいだ在庫情報を一元管理し、従来のアナログ業務を効率化します。モバイル端末から直接操作できるため、異なる部門間での情報共有もスムーズです。欠品や過剰在庫を防ぎながら、適正な在庫管理をサポートし、省人化と業務品質の向上を支援します。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。



