家具卸売向け販売管理システムとは?複雑な在庫管理と受発注業務に対応する仕組み
家具卸売業は、一般的な卸売業と比べて複雑な業務特性を持っています。小売店への卸売、法人向け販売、EC販売など、複数の販売チャネルが混在し、それぞれ異なる価格体系や納品条件への対応が必要です。また、色・サイズ・仕様の組み合わせによって管理すべきSKUは膨大になり、輸入品と国内仕入品では原価管理の方法も異なります。
本記事では、これらの複雑な業務を効率化する販売管理システムの特徴と、導入時に見落としやすい注意点について詳しく解説します。
家具卸売業の特徴
特徴① 多様な販売チャネルと業態
家具卸売業では、従来のBtoB取引に加えて、近年は小売展開やEC販売など、多様なチャネルを活用する動きが活発になっています。
主な販売チャネル
- 卸売 (BtoB):家具販売店や量販店、建築業者、内装業者などへの販売
- 小売 (直営店・ショールーム):自社ブランドを通じたエンドユーザー向け販売
- EC (オンラインショップ):楽天市場・Amazon・自社ECサイトを通じた販売
それぞれの販売経路によって、価格設定、在庫引当、納期管理、請求条件などが異なるため、チャネルごとの業務要件に柔軟に対応できる体制が必要になります。販売戦略の幅が広がる一方で、業務の複雑さも増しており、チャネル間での情報の一元化と業務連携が求められます。
特徴② 一式販売と構成商品管理の両立
家具業界では、複数商品をまとめて「一式」として販売するケースが多く見られます。しかし、この一式販売は実務面では複雑な管理が必要です。
【具体例】ダイニングセット一式の場合
- ダイニングテーブル ×1
- チェア ×4
- 照明 ×1
顧客への見積書や受注書では「ダイニングセット一式 ¥200,000(税込)」と表示する一方、社内では構成商品ごとに在庫状況を確認し、仕入手配や在庫引当、出荷準備を個別に行わなければなりません。
例えば「テーブル」と「チェア」の在庫があっても、「照明」が欠品していれば一式として出荷不可となり、全体の納期に影響を及ぼします。このように顧客向けには「一式」、社内では「構成品単位」という二重管理が求められます。
特徴③ 商品バリエーションの複雑さ
家具製品は、同一型番であっても、色やサイズ、素材、脚部や張地などの仕様によって多数のバリエーションが存在し、在庫管理や発注処理を複雑にしています。
【具体例】商品バリエーションの組み合わせ
- ダイニングテーブル:天板色4種 × 脚部仕様2種 = 8SKU
- ソファ(3人掛け):張地5種 × カラー6種 = 30SKU
- オフィスチェア:張地3種 × カラー5種 × 肘掛3種 = 45SKU
※SKU(Stock Keeping Unit):在庫管理上の最小単位。色や仕様ごとに個別の管理番号を持つ。
このように家具卸売では、ひとつの型番に対して数十から数百のSKUが存在することも珍しくありません。顧客から色や張地などの仕様を指定して在庫照会があった際、即座に正確な在庫数を回答するには、仕様(SKU)別に細分化された在庫管理が求められます。また、SKUごとの販売動向と在庫状況を把握することで、適切な在庫コントロールが可能になります。
特徴④ 複数の仕入れ形態(国内・輸入)と物流管理
家具卸売業では、国内メーカーからの仕入れだけでなく、海外メーカーとの取引による輸入調達も一般的に行われています。それぞれの仕入形態には異なる特性があり、並行して管理する必要があります。
主な仕入れ形態の違い
- 国内仕入:短納期での調達が可能、小ロット対応も柔軟、円建取引で為替リスクなし
- 輸入仕入:リードタイムが長く(2〜3ヶ月程度)、外貨建取引による為替変動リスクがある
特に輸入品の取り扱いには、国内取引にはない管理項目が多数存在します。海上運賃、保険料、関税、通関手数料といった諸掛費用を商品原価に正確に配賦する必要があり、為替レートの変動によって仕入原価も日々変動します。また、船積前、船積済、通関中、入庫済といった複数のステータスで在庫を管理します。長いリードタイムの中で、各段階の在庫状況を正確に管理しなければ、適切な受注判断や在庫補充が行えません。
家具卸売業向け販売管理システムでできること
複雑な業務に対応するため、販売管理システムには業界特有の機能が求められます。以下では、家具卸売向け販売管理システムで実現できる代表的な4つの機能について解説します。
見積~受注~出荷~請求の一元管理
家具卸売業における受発注業務は、見積依頼から受注、出荷、請求までの一連の流れが複数の部門をまたいで行われます。各工程を表計算ソフトや伝票で個別に処理している場合、情報の二重管理や転記ミス、伝達漏れといったリスクが発生しやすくなります。販売管理システムでは、見積書の発行から受注登録、在庫引当、出荷指示、納品処理、請求書の発行まで、一気通貫での管理が可能です。
具体的な機能
- 見積管理:得意先ごとの単価体系や割引条件を反映した見積書発行
- 受注処理:見積内容を引き継いだ受注登録、在庫引当、分納・納期管理
- 出荷・納品:受注データに基づく出荷指示書・納品書の発行
- 請求・入金管理:請求書の発行、入金データとの照合・消込処理
これにより、各工程で発生する情報がひとつの流れとしてつながり、部門間の連携がスムーズになります。また、情報の二重管理や転記ミス、伝達漏れといったリスクが削減できます。
SKU単位での在庫管理
家具卸売向け販売管理システムでは、SKU単位での在庫管理が可能です。品番単位ではなく、商品仕様ごとに細かく管理することで、正確な在庫把握と適切な受注判断を実現します。
具体的な機能
- SKU単位の在庫・入出庫管理
- リアルタイムでの在庫照会・引当処理
- SKU別の販売実績・在庫回転率の可視化
これらの機能により、膨大なSKU数を抱える家具卸売業でも、仕様別の在庫状況を正確に把握し、効率的な在庫運用を実現します。
在庫のリアルタイム管理
家具卸売業では、商品の在庫状況を正確に把握することが、営業対応や出荷計画の判断を支える前提条件となります。販売管理システムでは、各SKUの在庫状況をリアルタイムで確認でき、在庫のステータスを区分して管理することが可能です。
主な在庫ステータス
- 入荷予定:発注済だが未入荷の商品
- 引当済:受注分に割り当てられた在庫
- 出荷準備中:ピッキングや梱包中のステータス
これにより、実際に販売可能な在庫数を正確に把握でき、受注時の納期回答や追加発注の判断を迅速に行えるようになります。また、入荷予定数を考慮した受注判断ができるため、販売機会の最大化につながります。
オムニチャネル対応とシステム連携
従来のBtoB卸売に加えて、自社ショールームや店舗での小売販売、さらには自社ECサイトなど、複数のチャネルを並行して展開する企業が増えています。販売管理システムでは、卸売・小売・ECそれぞれのチャネルからの受注をひとつのデータベース上で管理します。これにより、チャネル横断での在庫引当や売上集計が可能です。
具体的な機能
- チャネル別の受注データ自動取込 (API / CSV連携)
- 在庫の一元化 (チャネル横断での引当・補充)
- 倉庫管理システム(WMS)との在庫連携
チャネルごとに異なる価格や取引条件を保持しながらも、在庫引当や出荷処理は統一されたルールで行えるため、業務の効率化と在庫の最適化につながります。
業界特有の機能要件
一式見積・受注における構成商品の内訳管理
法人顧客や販売店への提案では、複数商品をまとめた一式販売が多く見られます。家具卸売向け販売管理システムでは、一式商品としての見積・受注情報を保持しつつ、内部では構成商品ごとに個別で管理することが可能です。
具体的な機能
- 見積・受注は一式商品単位で管理
- 構成商品を個別(SKU単位)で管理
- セット構成をテンプレート登録・再利用
これにより、見積・受注は一式単位で行いながら、在庫引当や出荷、原価計算は構成商品単位で正確に処理できます。一部商品の欠品や分納、構成商品の差し替えが発生した場合でも、構成商品ごとの情報をもとに柔軟に対応でき、データの整合性を保持します。
セミオーダー対応
家具卸売業では、色や生地、脚形状などを選択するセミオーダー対応も行われています。家具卸売向け販売管理システムでは、セミオーダー品をSKU単位で管理できます。
具体的な機能
- 色・生地・形状などの仕様項目をシステム上で設定
- 受注時の仕様内容を発注書・納品書に自動反映
- SKU(ベースモデル×仕様)単位での在庫・納期管理
受注時に確定した仕様は、その後の在庫管理や出荷、原価管理まで一貫して扱われるため、仕様違いによる誤出荷や再手配のリスクを抑えることが可能です。セミオーダー品を例外として処理するのではなく、通常の業務フローの中で管理できる点が特徴です。
輸入管理・外貨・諸掛計算への対応
家具卸売業では、海外メーカーや海外工場からの仕入が多く、外貨建取引や諸掛を含めた原価管理が求められます。家具卸売向け販売管理システムでは、輸入取引を前提とした原価管理が可能です。これにより、原価と利益率をリアルタイムに把握します。
具体的な機能
- 外貨建仕入金額と為替レートを取引単位で保持
- 運賃・関税・保険料などの諸掛を一元管理
- 輸入ロット別の諸掛配賦と商品原価の自動算出
これにより、複数の諸掛費用を含めた正確な仕入原価を把握でき、適切な販売価格の設定や利益管理が可能です。また、外貨での仕入支払から円換算、会計システムへの連携まで一貫して処理します。
システム導入時の注意点
既存システムとの連携確認
販売管理業務に関する情報が、複数のシステムや表計算ソフトに分散して管理されているケースは少なくありません。販売管理システムを導入する際、既存システムとの連携・統合要件を曖昧にしたまま進めると、データの不整合が発生し、業務効率が低下します。検討段階でベンダーと既存システムの連携方法について協議し、具体的な接続方式を明確にしておく必要があります。
自社製造・組立がある場合の要件整理
家具卸売業の中には、自社で製品の企画・開発を行い製造委託するファブレス企業や、輸入家具の組立を行う企業も含まれます。こうしたケースでは、受注から製造・組立まで情報を一貫して管理できないと、在庫の不整合や原価計算のズレ、納期遅延の原因となります。製造・組立工程が発生する場合は、それに対応できる仕組み(システム標準機能、または外部システム連携)があるかを確認することが重要です。
将来的な拡張を見据えたシステム選定
家具卸売業では、EC対応の拡大、拠点や倉庫の増加、物流体制の見直しなど、事業規模や業務内容が段階的に変化します。他システム(ECカート、会計、倉庫管理など)との連携機能に加え、事業拡大時のライセンス体系や追加コストも含めて確認しておく必要があります。こうした拡張性を考慮し、必要最小限の機能から始めて、事業の規模に応じて段階的に拡張できるシステムを選ぶことが望ましいです。
家具卸売業をサポートするクラウドERP『キャムマックス』

色・サイズ・仕様など多様な商品バリエーション、一式販売と構成商品の管理、輸入取引における外貨・諸掛計算、得意先ごとに異なる取引条件―。家具卸売業には、こうした複雑な業務要件に対応したシステムが求められます。クラウドERP「キャムマックス」は、在庫・倉庫管理、販売管理、購買管理、生産管理、財務会計といった基幹業務を一元管理して、現場の効率化と経営判断の迅速化を支援します。
主な機能と特徴
在庫・倉庫管理
SKU(品番×色×仕様)単位での在庫管理に対応し、複雑な商品バリエーションを一元管理できます。バーコードリーダーを活用した入出荷・検品・棚卸作業にも対応し、業務の効率化とタイムラグを削減します。
さらに、セット商品機能では、事前に登録した組立方法に基づいて組立・解体を柔軟に行えるほか、必要部品の在庫数や不足数、発注数を自動算出し、発注データの作成まで対応できます。
販売管理
見積→受注→出荷→請求までを一気通貫で管理します。また、ECカートシステムやモールとの連携により、オンライン受注を自動でシステムに取り込むことができ、複数販売チャネルの一元管理を実現します。
輸入管理・外貨対応
外貨建て取引や諸掛を含めた原価管理に対応します。輸入ロットごとの諸掛費用配賦により、正確な商品原価を把握できます。
生産管理
自社製造や組立工程が発生する場合、製造指示と進捗管理に対応します。キャムマックスで在庫管理・販売管理・購買管理・財務会計まで一元管理することも可能ですし、APIによる外部システムとのデータ連携により、既存システムと組み合わせた柔軟な運用が可能です。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。



