【生産性を劇的に高める!】中小企業やスタートアップ企業が今すぐ取り組むべきポイント
中小企業やスタートアップにとって「生産性の向上」は最も重要な経営課題のひとつです。
人材不足や限られた予算のなかで成果を最大化するには、従来のやり方に頼るだけでは限界があります。近年はDXの推進やクラウドツールの活用によって、少人数でも大きな成果を上げる企業が増えてきました。しかし、何から始めれば良いのか迷う経営者も少なくありません。
本記事では、今すぐ実践できる生産性向上のポイントを具体的に紹介し、持続的な成長を実現するためのヒントをお届けします
目次
そもそも生産性とは?
生産性を向上することを考える前に、「生産性」とはそもそも何かという理解が必要です。
生産性とは主に経済学で使用されてきた言葉で、投入した資源に対してどれだけの成果物があったのかという割合を表しています。企業では、人、金、モノといった資源を有効活用することが重要です。生産性はこれらの投入資源に対する成果をはかる指標となります。
どの資源を投入したかによって評価する生産性は異なりますが、どの場合も成果物÷投入資源という式で求めることができます。
一定の資源数で成果物の割合を調べることができるほか、一定の成果物に対してどれだけの資源数が必要なのかという割合も調べることができます。
なぜ中小企業やスタートアップに生産性向上が必要なのか
生産性の向上は、中小企業やスタートアップにとって事業を存続させ、競争力を高めるための最重要課題です。特に少人数で運営するスタートアップや限られたリソースしか持たない中小企業では、一人ひとりの生産性が企業全体の成果に直結します。
日本企業全体を見ても、労働人口の減少や人材不足が深刻化しており、限られた人員で効率よく成果を上げる仕組みづくりが求められています。生産性が低いままでは、いくら努力しても労働時間だけが増え、社員のモチベーションや健康に悪影響を与えかねません。特にスタートアップでは、競合に先を越されてしまうリスクが高まり、事業の成長スピードが鈍化します。逆に、早い段階から生産性向上の仕組みを整えておけば、少人数でも大きな成果を生み出し、投資家や顧客からの信頼を得やすくなるのです。
人材不足と業務の属人化がもたらす課題
中小企業やスタートアップでは、特定の社員に業務が集中する「属人化」が生産性を下げる大きな要因になっています。属人化が進むと、担当者が休んだ際に業務が滞るだけでなく、知識やノウハウが共有されず成長が頭打ちになる可能性があります。特にバックオフィス業務や経理、受注処理などは「誰がやっても同じ成果が出せる」状態にすることが重要です。
競争力を維持するために不可欠な生産性向上
スタートアップはスピードが命、中小企業は効率性が命とも言われます。市場の変化が激しい現代において、生産性向上は競争力そのものです。限られた人員でより多くの成果を出すことで、競合との差別化を図れます。生産性向上に取り組む企業は、顧客満足度を高めるだけでなく、社員の負担軽減や働きやすさの向上にもつながり、結果として持続可能な成長基盤を築くことができるのです。
中小企業・スタートアップ企業が取り組むべき実践的な施策
DX導入などの大きな仕組みづくりとあわせて、日常的な業務の中で取り組める小さな工夫も生産性向上には欠かせません。中小企業やスタートアップは限られた人員で成果を出す必要があるため、すぐに実行できる施策を組み合わせることで大きな改善につながります。ここでは特に効果が期待できる実践的な方法を紹介します。
コミュニケーションの効率化
会議や日々の報告にかかる時間を減らすことは、生産性向上の基本です。チャットツールやオンライン会議システムを活用すれば、移動時間や会議準備の手間を省け、情報共有のスピードが格段に向上します。また、社内の情報を一元管理できるナレッジ共有ツールを導入することで、誰もが必要な情報にすぐアクセスでき、属人化の解消にもつながります。
生産性を評価する指標の設定
多くの企業では「生産性をどう測定するか」が曖昧なまま改善に取り組んでしまい、成果が見えにくくなっています。KPIやKGIを設定し、作業時間や成果物の量・質などを定量的に把握することが重要です。例えば営業部門では「一人当たりの商談数や成約率」、バックオフィス部門では「請求処理にかかる時間」などを指標化すれば、改善の効果を数値で確認できるようになります。
助成金や補助金を活用したDX推進
中小企業やスタートアップにとって、DX導入のコストは大きな課題です。しかし、日本ではIT導入補助金など、生産性向上に直結する施策を後押しする制度が整っています。これらをうまく活用すれば、初期費用の負担を抑えつつ、最新ツールやシステムを導入することが可能です。資金面で不安を抱える企業ほど、積極的に補助制度を調べ、経営戦略に取り入れるべきでしょう。
実践的な施策を積み重ねることで、組織全体の生産性を底上げできます。重要なのは「大きな改革だけでなく、小さな改善の積み重ねが成果を生む」という考え方です。
生産性を高めるためのDX活用ポイント
生産性向上を実現するために、近年特に注目されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用です。
中小企業やスタートアップでは、従来のアナログな業務フローに依存していると、どうしても作業が非効率になりがちです。DXを推進することで、業務の見える化、自動化、情報共有の効率化を図ることができ、少人数体制でも大きな成果を生み出せる仕組みを作ることができます。
業務プロセスの可視化と改善
DXの第一歩は「業務プロセスの見える化」です。どの業務にどれだけの時間やコストがかかっているのかを可視化することで、無駄な工程やボトルネックを発見できます。例えば、請求書処理や受発注業務を可視化するだけでも「紙ベースの作業が生産性を下げている」といった課題が明らかになります。課題を特定したうえでシステム化すれば、業務のスピードと正確性を同時に向上させられます。
クラウドツールで進める生産性向上
クラウド型の業務ツールは、中小企業やスタートアップにとって導入のハードルが低く、コストパフォーマンスも高いのが魅力です。例えば、クラウド会計ソフトを導入すれば経理業務の効率化が可能になり、クラウド型のプロジェクト管理ツールを使えば、リモートワーク環境でもスムーズにタスクを共有できます。これらはオンプレミスのシステムに比べて初期投資が少なく、スピーディーに運用を開始できる点で非常に有効です。
自動化による単純作業の削減
生産性向上を考える上で欠かせないのが「自動化」です。たとえば、顧客データの入力やメール配信などのルーティンワークは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やMA(マーケティングオートメーション)を導入することで大幅に削減できます。単純作業を減らすことで社員は付加価値の高い業務に集中でき、結果として組織全体の生産性が飛躍的に高まります。
DXは単なるシステム導入ではなく、企業文化や働き方そのものを変革する取り組みです。正しく活用すれば、コスト削減だけでなく社員のやりがいやモチベーション向上にもつながり、中小企業やスタートアップの成長に欠かせない武器となるでしょう。
生産性を向上させる代表的なシステムをご紹介
生産性向上を実現するためには、業務そのもののやり方を変えるだけでなく、適切なシステムの導入が効果的です。ここでは中小企業やスタートアップが導入しやすく、効率化に直結する代表的なシステムのカテゴリーをご紹介します。
ERPシステム(統合基幹業務システム)
ERPは「会計」「販売」「在庫」「人事」など企業活動に必要な情報を一元管理するシステムです。情報が部門ごとに分断されることを防ぎ、データの整合性を保ちながら業務効率を高めます。中小企業でもクラウド型ERPを活用すれば、低コストで導入でき、全社的な生産性向上につながります。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
RPAは、ルーティンワークや定型業務を自動化する仕組みです。例えば、請求書の入力や顧客データの転記といった単純作業をソフトウェアロボットが代行することで、人の作業時間を大幅に削減できます。社員はより付加価値の高い業務に集中できるため、組織全体の生産性が飛躍的に高まります。
グループウェア・コミュニケーションツール
生産性向上には「情報共有のスピード」も重要です。グループウェアやチャットツール、オンライン会議システムを活用すれば、メールに比べて迅速なコミュニケーションが可能になります。さらに、スケジュール管理やファイル共有機能を組み合わせれば、社内の情報を一元化でき、意思決定のスピードも向上します。
クラウド型プロジェクト管理ツール
タスク管理や進捗確認をクラウド上で行えるツールは、少人数のスタートアップや複数部門が関わる中小企業に特に有効です。誰がどの業務を担当しているかをリアルタイムで把握でき、進捗が遅れているタスクを早期に発見できるため、全体の効率が向上します。
システム費用が不安…そんなときに利用できる補助金をご紹介
独立行政法人中小企業基盤整備機構では、設備投資、IT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎ等の支援を行う中小企業生産性革命推進事業を実施しています。
この事業の一環として、生産性向上のための補助金も出しています。
参考:中小企業生産性革命推進事業|独立行政法人中小企業基盤整備機構
生産性を向上したいが資金が不足しているというような企業は、これらの補助金を活用するのも一つの方法です。
ものづくり補助金
中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援して生産性向上に寄与する補助金です。
くわしくはこちらをご覧ください。
持続化補助金
小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓の取組等を支援して生産性向上に寄与する補助金です。
詳しくはこちらをご覧ください。
IT導入補助金
中小企業等が行うバックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上に資するITツールを導入して生産性向上を支援する補助金です。
詳しくはこちらをご覧ください。
業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者が生産性を向上させるための設備投資や人材育成などの取り組みを行い、同時に事業場内の最低賃金を一定の額以上引き上げる場合に、その投資や取り組みにかかった費用の一部を国から助成してもらえる制度です。
中小企業・スタートアップ企業の生産性向上を加速するならクラウドERP「キャムマックス」がおすすめ
数あるシステムの中でも、生産性向上を本気で目指す中小企業やスタートアップに最適なのがクラウドERP「キャムマックス」です。
キャムマックスは、販売管理・在庫管理・購買管理・会計管理といった基幹業務を一元管理できるERPシステムで、これまで複数のシステムや手作業で対応していた業務をまとめて効率化することができます。
キャムマックスの大きな特長は、クラウド型のため低コストかつ短期間で導入できる点です。
従来のERPに比べて初期費用が抑えられるだけでなく、月額制で利用できるため、中小企業やスタートアップでも負担なく始められます。また、標準機能に加えて、ECモールやカートシステム、POS、WMS(倉庫管理システム)とのAPI連携も可能で、バックオフィスから現場までシームレスにつなげられる柔軟性があります。
さらに、リアルタイムでの在庫や売上データの把握により、経営判断のスピードが向上し、無駄な在庫や二重入力といった非効率を排除。社員は単純作業から解放され、本来注力すべき戦略的な業務に時間を割けるようになります。こうした効果は、単なる効率化にとどまらず「組織全体の成長エンジン」として機能します。
生産性向上を本気で実現したい企業にとって、キャムマックスは最も有力な選択肢のひとつといえるでしょう。
業種別・生産性向上の成功事例
具体的に生産性を向上させた事例は各所で多数ありますが、今回は内閣府で行われた「生産性向上国民運動推進協議会」の資料から一部を取り上げます。
参考:生産性向上国民運動推進協議会(平成30年2月15日当日配布PDF資料)|内閣府
運送業の生産性向上成功事例
滋賀県の貨物運送業の生産性向上事例になります。
課題:
物流センターへの納入トラック数が多く、毎日大混雑。
荷下ろし後の検品や積みなおしに時間がかかる。
解決法:
場所別の事前仕分け
電子タグ(RFID)の活用
結果:
ドライバーの労働時間を約7割短縮
飲食業の生産性向上成功事例
カット野菜を製造する企業での生産性向上事例です。
課題:
カットキャベツがこぼれるため廃棄が大量
機械に残るかき揚げ用たまねぎ廃棄が大量
解決法:
製造工程の見直し
結果:
年間約400万円以上の経費節約
従業員のムダを防ごうとするモチベーションがアップ
農業の生産性向上成功事例
一つの企業に限った事例ではなく、全体を通した取り組み例となっています。
課題:
人材不足
解決法:
IT技術で作業計画・実績の見える化
ICTブルドーザー等の技術活用
女性の農業経営参画
結果:
人材増加・生産性向上
製造業の生産性向上成功事例
福岡県の電子部品製造業の生産性向上事例になります。
課題:
部品の不良率が高く、再製造に多くの時間とコストがかかる。
解決法:
AI技術を活用した品質検査システムの導入。
従業員の技術研修を実施。
結果:
不良率を約8割削減し、生産効率を大幅に向上。
工業(工場)の生産性向上成功事例
静岡県の自動車部品工場の生産性向上事例になります。
課題:
製品の組み立てラインでのボトルネックが生産効率を低下させている。
解決法:
IoTを活用した生産ラインの最適化。
ロボットアームの導入による自動化。
結果:
生産ラインの効率を約6割向上し、納期の短縮を実現。
小売業の生産性向上成功事例
神奈川県の大型スーパーマーケットの生産性向上事例になります。
課題:
在庫の管理が難しく、売れ残りや品切れが頻発。
解決法:
ビッグデータを活用した需要予測システムの導入。
スマートシェルフの活用による在庫管理の自動化。
結果:
売上を約10%向上し、在庫のロスを大幅に削減。
建設業の生産性向上成功事例
北海道の建築会社の生産性向上事例になります。
課題:
建築現場での作業効率が低く、工期の遅延が頻発。
解決法:
ドローンを活用した現場の監視と進捗管理。
VR技術を用いた事前のシミュレーションによる作業計画の最適化。
結果:
工期を約15%短縮し、クライアントからの評価を大幅に向上。
生産性向上のための指標(種類)
生産性を測定するための指標は、その目的や分析の観点に応じてさまざまな種類が存在します。それらを把握することで、企業は生産性をアップし続けることができます。
物的労働生産性
物的労働生産性は、成果を「生産量」とする指標です。
生産量÷従業員数(もしくはx労働時間)
で求めることができ、同じ生産量なら1人よりも10人の方が一人当たりの生産量は少なくなります。
できるだけ少ない従業員数で多くの生産量にすることで、生産性を向上することができます。
価値労働生産性
価値労働生産性は、「生産額」を成果として計算するため、
生産額÷従業員数(もしくはx労働時間)
になります。従業員一人当たり生み出した金額を元にした生産性指標です。
付加価値労働生産性
付加価値労働生産性も金額をもとにしているのですが、従業員が労働して製品などに上乗せできた利益を「付加価値」として計算します。
付加価値額÷従業員数(もしくはx労働時間)
で求めることができます。
全要素生産性
全要素生産性は、分母となる投入資源が人材に限らず金やモノなども含めて考える計算式です。分子は生産量、生産額、付加価値額などその時の状況に応じて使い分けます。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。