設備工事業向け販売管理システムとは?特徴・メリット・導入に適した企業を解説
設備工事業向けに特化している販売管理システムには、汎用型と業種特化型がありますが、一般的な汎用型は主に商品を仕入れて販売する卸売業や小売業の業務フローを前提として構築されています。
一方、設備工事業では「施工・保守・物販」といった複数業務が複合的に発生するため、より複雑な業務管理が求められます。
本記事では「設備工事業向け販売管理システム」の特徴や導入メリット、また導入に適した企業について詳しく解説します。
設備工事業でよくある課題
見積・受注・工事管理が分断されている
見積作成、受注管理、工事管理といった業務がそれぞれ異なる方法やファイルで管理されているケースでは、各業務の情報連携が取りにくくなります。例えば、見積内容が工事担当者へ正確に共有されていなければ、必要な資材や作業内容の把握に支障が生じ、手戻りや工事の遅延につながるリスクがあります。
工事ごとの原価や利益が把握しづらい
工事案件ごとに材料費、外注費、労務費などのさまざまな原価が発生する設備工事業では、案件ごとの原価集計に時間がかかるだけでなく、入力ミスや計算ミスが生じやすくなります。正確な原価が把握できない状態が続くと、適切な経営判断や見積金額の設定にも影響を与えかねません。
材料の仕入・発注管理が煩雑
配管材料、電気部品、空調機器など多種多様な資材を扱う設備工事業では、工事案件ごとに必要となる資材の種類や数量が大きく異なるため、発注漏れや重複発注が生じたり、資材の納期遅延が工事の進捗を妨げることがあります。
案件ごとに異なる請求・入金管理
工事完了後の一括請求や進捗に応じた段階的な請求など、案件ごとに請求方法が異なる上、仕様変更が発生した際には見積内容や請求金額の修正も必要となります。こうした対応が重なると管理の負担が増え、請求漏れや入金遅延につながることも少なくありません。
管理の属人化・表計算ソフトや紙への依存
見積作成、原価管理、請求管理などの業務が特定の担当者に依存している場合、担当者が不在となった際に業務が滞るリスクがあります。また、表計算ソフトや紙の帳票を中心とした管理体制では、業務データが個別のファイルに分散するため、情報の把握や部門間での共有が難しく、業務の標準化も進みにくくなります。
設備工事業向け販売管理システムの特徴
特徴① 見積から請求までの一元管理
設備工事業向け販売管理システムでは、見積情報を起点として受注情報や工事案件を登録し、売上計上や請求処理へと連携させることができます。
機能 | 主な内容 |
見積管理 | 工事内容・設備機器・資材の見積作成 |
受注管理 | 見積内容をもとに工事案件を登録 |
工事管理 | 工事の進捗や作業内容の管理 |
売上管理 | 工事完了または進捗に応じた売上計上 |
請求管理 | 請求書発行および入金管理 |
見積から請求までの一元管理による主な効果
- 見積内容を起点に受注データや工事管理への正確な反映
- 業務間における重複入力の削減
- 見積変更や追加工事などの迅速な情報共有
- 請求書作成の効率化
このように、見積から請求までの業務を一元管理することで、業務効率と情報の管理精度を高めることができます。
特徴② 工事案件単位での原価・利益管理
設備工事業では、工事案件ごとに材料費、外注費、労務費など、さまざまな原価が発生します。設備工事業向け販売管理システムでは、これらの原価を工事案件単位で管理します。
原価項目 | 内容 |
材料費 | 設備機器や資材の購入費用 |
外注費 | 協力会社への工事委託費用 |
労務費 | 現場作業にかかる人件費 |
工事経費 | 運搬費や現場管理費など |
案件単位での収益・利益の状況を把握できるだけでなく、実行予算と実績原価を比較することで、原価超過を早期に把握して適切な対応につなげることができます。原価・利益管理により、案件ごとの利益状況を可視化し、経営管理や業務改善に役立てることが可能です。
特徴③ 保守・メンテナンス業務の管理
設備工事が完了した後も、定期点検や修理対応などの保守・メンテナンス業務が継続的に発生します。特に、空調設備や電気設備などでは、設備の安全性や機能を維持するために定期的な保守作業が必要となります。
設備工事業向け販売管理システムでは、保守契約の内容や設備ごとの修理履歴などの情報を一元的に管理します。
管理情報 | 内容 |
保守契約 | 契約内容や契約期間の管理 |
修理履歴 | 過去の修理対応の履歴 |
設備情報 | 設備機器の設置情報 |
これらの情報を顧客情報や工事案件情報と関連付けて管理することで、設備導入後のアフターサービスを適切に提供できます。保守業務の適切な管理は、顧客満足度の向上や安定的な利益確保にも寄与します。
特徴④ 業界特有の帳票・商慣習への対応
工事台帳や、工事案件に紐づく発注書、出来高請求書など、設備工事業では特有の帳票が多く使用されます。設備工事業向け販売管理システムでは、これらの帳票や取引形態に対応した機能を備えています。
帳票 | 内容 |
工事台帳 | 工事案件の基本情報や原価を管理する帳票 |
発注書 | 工事案件に紐づいた資材・協力会社への発注書 |
出来高請求書 | 工事の進捗に応じた請求書 |
業界特有の帳票を、システム上で作成・管理できるため、業務の標準化や効率化につながります。また、契約条件に応じた請求処理にも対応しており、柔軟な請求管理を実現します。
システム導入によるメリット
業務効率化と作業時間の削減
見積から請求までの業務データを一元管理し、部門間での重複入力や情報確認の手間を削減します。営業・工事・経理など各部門が、同一の情報をリアルタイムで共有できるため、確認作業や転記作業にかかる時間を大幅に削減することが可能です。
工事ごとの利益の可視化
システム導入により、売上と原価を工事案件単位で管理できます。これにより、各工事の収益・利益の状況を把握しやすくなり、利益率を可視化できます。工事ごとの収益性を継続的に把握することで、経営管理の精度向上にもつながります。
業務ミス・手作業の削減
手作業による転記や重複入力が削減され、入力ミスや更新漏れの発生を抑えることができます。また、データが一元化されることで、部門間の情報の齟齬による手戻りも減らすことができます。こうしたミスの削減により業務品質の向上が期待できます。
法令対応・コンプライアンス強化
取引データや帳票をシステム上で管理できるため、監査対応や内部統制の強化につながります。また、クラウド型のシステムでは定期的なアップデートを通じて法令改正に追従するため、電子帳簿保存法やインボイス制度といった制度変更にも適切に対応できます。
システム導入に適した企業
企業① 空調設備工事会社
空調設備工事会社は、エアコンや空調設備の設置工事、ダクト工事、空調設備の更新工事などを主な業務としています。建物の新築・改修工事に伴う案件が多く、工事ごとに使用する設備機器や資材が異なるため、資材管理や原価管理が重要な業務となります。また、空調設備は設置後も定期点検やメンテナンスが必要となるケースが多く、保守契約に基づく点検業務や修理対応が継続的に発生します。工事案件の管理に加え、保守契約や点検履歴の管理も求められます。
販売管理システムが適している理由
空調設備工事会社では、工事業務と保守業務が並行して発生するため、これらを一元的に管理できる仕組みが必要です。販売管理システムを導入することで、工事案件ごとの原価・利益管理と保守契約・点検履歴の管理を同一システム上で行うことができます。
企業② 電気設備工事会社
電気設備工事会社は、建物の電気配線工事、照明設備の設置工事、受変電設備の設置工事などを主な業務としています。住宅、オフィスビル、商業施設、工場など多様な建物において工事が実施されるため、複数の工事案件が同時進行するケースも少なくありません。
電気設備工事では多数の電気部品や資材を使用するため、資材の発注・仕入管理が重要となります。また、工事案件ごとに材料費や外注費などの原価が発生することから、案件単位での原価管理や収益・利益の把握が求められます。
販売管理システムが適している理由
複数の工事案件を同時に抱えることが多い電気設備工事会社では、案件ごとの進捗や収益・利益を整理して管理する仕組みが必要です。販売管理システムを導入することで、複数案件の見積・受注・原価情報を一元管理して、案件ごとの収益性を把握しやすくなります。
企業③ 給排水・衛生設備工事会社
給排水・衛生設備工事会社は、建物における給水設備、排水設備、衛生設備などの設置工事を主な業務としています。住宅、マンション、商業施設、公共施設など、さまざまな建物において工事が行われます。給排水・衛生設備工事では配管材料や設備機器など多くの資材を使用するため、資材の発注・仕入管理が重要となります。また、工事期間が比較的長期にわたる案件もあり、工事の進捗状況や原価状況を継続的に管理する必要があります。
販売管理システムが適している理由
給排水・衛生設備工事会社では、多種多様な資材の管理と長期案件の原価管理が求められます。販売管理システムを導入することで、資材の発注・仕入情報を案件と紐づけて管理し、工事期間を通じた原価状況の把握が可能になります。
企業④ プラント設備工事会社
プラント設備工事会社は、工場や大型施設における設備の設置工事や更新工事を主な業務としています。配管設備、機械設備、電気設備などの設置・改修工事を担当することが多く、大規模かつ長期にわたる工事案件を扱う点が特徴です。
プラント設備工事では多数の設備機器や資材を使用するほか、協力会社への外注作業が発生するケースも多くあります。また、大規模工事では工程管理や進捗管理が複雑になるため、資材費・外注費などの原価管理や工事進捗の情報を体系的に管理する必要があります。
販売管理システムが適している理由
大規模・長期案件を扱うプラント設備工事会社では、資材費・外注費を含む複雑な原価管理と工事進捗の一元管理が不可欠です。販売管理システムを導入することで、案件ごとの原価情報や進捗状況を管理して、収益性の把握と適切な工事運営につなげることができます。
設備工事業をサポートするクラウドERP『キャムマックス』

「キャムマックス」は、在庫・倉庫管理、販売管理、購買管理、財務会計までをシステム上に集約し、部門をまたいだリアルタイムのデータ共有を実現するERP(基幹業務システム)です。 設備工事業では、見積作成から受注、資材調達、工事施工、原価管理、請求および入金管理まで、複数の業務が密接に関連しながら進行します。
こうした業務を、表計算ソフトや個別システムで管理している場合、情報が分散し、部門間の情報共有や工事案件ごとの収支管理が難しくなるケースも少なくありません。 キャムマックスを導入することで、これらの業務をシステム上で一元管理でき、業務効率の向上と経営判断の精度向上を実現します。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。



