BtoB営業のDXに必要なツールを解説!課題解決して効率化
BtoB営業はこれまで訪問営業や電話対応、紙やExcelによる顧客・売上管理に依存するケースが多く、属人的になりやすい業務の一つです。
しかし、顧客のニーズが多様化し、競合がデジタル化を進める中で、従来のやり方では効率も成果も限界に達しつつあります。そこで注目されているのが営業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DX化を進めることで、営業プロセスの見える化や顧客管理の一元化、リアルタイムな情報共有が可能となり、企業全体の営業力を底上げできます。さらに、売上データを蓄積・分析することで戦略的な営業展開も可能になり、短期的な効率化だけでなく中長期的な成長基盤を築くことにつながります。
本記事では、BtoB営業にDXが必要な理由から導入時の課題、顧客管理・売上管理を強化する具体的なツール、さらに成功させるためのステップまでを解説します。
目次
BtoB営業におけるDXとは何か?
近年、営業活動におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業規模を問わず注目を集めています。特にBtoB営業では、複雑な取引や長期的な関係性構築が求められるため、従来の属人的な営業手法では限界が見え始めています。DXを推進することで、顧客管理や売上管理をシステムで一元化し、営業プロセスを標準化・効率化することが可能になります。また、データの活用により、感覚や経験に頼らない戦略的な営業活動が実現できる点も大きなメリットです。このセクションでは、まず営業DXの基本的な考え方と、単なるデジタル化との違いについて解説します。
営業DXの基本概念
営業DXとは、単に紙の資料をデジタル化したり、Excelからクラウドに移行したりすることにとどまりません。営業における情報やプロセスをデータとして蓄積・分析し、そこから得られる知見をもとに戦略を立てることがDXの本質です。たとえば、顧客の購買履歴や過去の商談データを活用すれば、次に必要となる提案内容を予測することができ、結果として成約率の向上につながります。これにより、経験の浅い営業担当でも一定の成果を出せるようになり、組織全体の営業力を底上げできるのです。
デジタル化と営業DXの違い
「デジタル化」と「DX」は似ている言葉ですが、その意味は大きく異なります。デジタル化とは、アナログ情報をデジタルに置き換えることを指し、効率化やミス防止が主な目的です。一方でDXは、デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルそのものを変革することを意味します。たとえば、顧客リストをExcelからCRMに移行するのはデジタル化ですが、そのデータを分析して新たな顧客獲得戦略を立案するのはDXの取り組みです。つまり、DXは単なるツール導入ではなく、営業の進め方そのものを進化させるプロセスといえます。
営業DXの基本概念
まずは営業DXについて解説していきます。
営業DXとは?
営業DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、営業プロセスをデジタル技術を駆使して改善し、効率的かつ成果を最大限に引き出す取り組みのことを指します。営業活動がスムーズかつ効果的に実施できる狙いがあり、顧客情報のデジタル化、営業業務の自動化、データ分析を通じた戦略の最適化などが含まれます。
BtoB営業とDX(デジタルトランスフォーメーション)との親和性
BtoB営業では、長期にわたる契約交渉が不可欠で、複数の顧客とのコミュニケーションが頻繁に発生します。
そのためには正確かつ詳細な情報の管理が欠かせません。
そこで、顧客情報をデジタル化しシステム管理することで、営業担当者が必要な情報に簡単にアクセスできるようにします。これにより営業の効率化が実現され、時間とリソースをより価値のある活動に割り当てることが可能となります。
なぜ今BtoB営業にDXが必要なのか
BtoB営業は取引金額が大きく、複数の関係者が意思決定に関わるため、営業プロセスが長期化する傾向にあります。その一方で、顧客ニーズの変化は加速しており、従来の訪問中心の営業スタイルや、個人の経験に依存した方法では対応が難しくなっています。特に新型コロナウイルス以降は、対面からオンラインへと営業の形態が大きく変化しました。こうした状況下で、中小企業が競合と渡り合うためには、DXを活用した効率的かつ柔軟な営業活動が欠かせません。このセクションでは、新しい営業スタイルへの対応と、属人的営業が抱える課題を解説します。
新しい営業スタイルへの対応(オンライン商談・非対面化)
リモートワークや非対面商談の普及により、オンラインで顧客と接点を持つことが一般的になりました。従来の訪問営業では移動時間や資料準備に多くの工数がかかっていましたが、オンライン商談ツールを利用すれば短時間で複数の顧客に対応できるため、効率が大幅に向上します。また、商談の記録をクラウドに保存することで、他の営業担当とも情報を共有しやすくなり、組織としての営業力を強化できます。こうしたデジタル化の基盤を整えることが、DX推進の第一歩となります。
属人的な営業の限界と課題
BtoB営業では、ベテラン社員が長年の経験や人脈を頼りに成果を上げるケースが多く見られます。しかし、このような営業スタイルは個人に依存するため、退職や異動の際に顧客情報が失われてしまうリスクがあります。また、営業活動が属人的だと、全体のパフォーマンスが個々のスキルに左右されやすく、組織として安定的な成果を出しにくいという問題があります。DXによって顧客データや商談履歴をシステムに蓄積し、誰でも参照・分析できる環境を整えれば、属人化のリスクを減らし、営業の再現性を高めることが可能になります。
顧客管理と売上管理を強化するDXツール
BtoB営業において成果を上げるためには、顧客情報や売上データを一元管理し、営業プロセスを効率化することが不可欠です。従来は名刺やExcelなどに情報をまとめていましたが、それでは情報が分散し、活用が難しいのが現実です。そこで有効なのがCRMやSFA、ERPなどのDXツールです。これらを活用することで、顧客との接点管理から売上の可視化までをスムーズに行え、営業活動全体を体系的に改善することができます。以下では、営業の各段階を支える代表的なツールを紹介します。
リード獲得に役立つツール(WEBサイト・SNS・広告)
新規顧客の開拓において、今やデジタルチャネルの活用は欠かせません。WEBサイトやSNSは、企業の認知度向上や情報発信の場として活用でき、さらにWEB広告を組み合わせることで効率的なリード獲得が可能になります。特にBtoB分野では、資料請求やセミナー申し込みといった行動データを蓄積し、見込み顧客のニーズを把握することで営業活動の質を高めることができます。
リード育成を支援するツール(MA・CRM)
リードを獲得した後は、適切なタイミングでアプローチを行うことが重要です。マーケティングオートメーション(MA)ツールは、メール配信やスコアリングによって顧客の興味度を測定し、育成をサポートします。またCRMは、顧客との接触履歴や商談状況を記録・共有することで、営業担当が一貫した対応を行えるようにします。これにより、見込み顧客を効率的に案件化し、商談へと結び付けることが可能です。
営業活動を効率化するツール(SFA・ERP)
営業プロセス全体を管理するSFA(Sales Force Automation)は、商談の進捗や売上予測を可視化し、マネジメント層が戦略的に営業活動をコントロールできるようにします。さらにERPを導入すれば、営業情報だけでなく在庫や会計、受発注といったバックオフィス業務ともデータが連携し、企業全体での最適な経営判断が可能になります。特に中小企業にとって、ERPは属人化を防ぎながら営業と管理部門を一体化させる有効な手段といえるでしょう。
DX化で変化する営業活動
情報取得方法の変化
営業活動における情報収集方法は、DXの進展によって大きく変わりつつあります。
かつては対面商談や紙ベースの資料を通じて情報を得るのが主流でしたが、今ではインターネットやデジタルツールを活用してリアルタイムで情報を収集できるようになりました。この進化により営業担当者は市場の動向や顧客のニーズをより速やかに正確に把握でき、効果的な営業戦略を立てることができるようになりました。
また、情報共有ツールを利用することでチーム全体で情報を簡単に共有でき、営業活動の効率向上が実現できます。
データを活用した予測の重要性
DXの進展に伴い、営業活動でもデータに基づいた分析は市場の動向や顧客の購買行動を予測し、戦略的な営業計画を立てる上で欠かせなくなってきています。
たとえば、CRMツールやデータ分析ツールを駆使することで、過去の取引データや顧客との対話履歴を分析し、将来の売上見込みや顧客のニーズを予測することが可能になり、営業担当者はより戦略的なアプローチを取り入れ、営業成績の向上を期待できます。
また、データの活用を通じてリソースを効果的に配置し、ROI(投資対効果)を最大化することができます。
対面商談からオンライン商談へのシフト
商談の形態も対面からオンラインに移行しています。この変化により、時間や場所に縛られずに商談が行えるため、営業効率の向上に大いに寄与しています。オンライン商談を成功させるためには、ビデオ会議ツールの選定、トークスクリプト、用意する資料・データが重要になります。
顧客とのリアルタイムなコミュニケーションを実現
DXの進化により、リアルタイムでのコミュニケーションがますます重要視されています。
顧客からの問い合わせに対してリードタイムをなるべく少なくするために、メールだけでなくチャットツール・ボットを活用し、円滑でリアルタイムなコミュニケーションを可能にしている企業が増えてきています。これにより顧客のニーズを正確に理解し、瞬時に適切な提案を行うことができます。
BtoB営業DXを進める上での課題
BtoB営業でいざDXを推進しようとなっても立ちはだかるのが以下の課題です。
DXの本質を理解していない
DXは、デジタル技術を駆使して企業のビジネスモデル、業務フロー、サービス提供方法を変えることで顧客により価値あるサービスや製品を提供することに繋がります。
ただし、システムを単に導入するだけでは期待通りの成果が得られないことがあります。DXのメリットの恩恵をうけるには、計画的に適切な戦略を考えてDXを進めるようにしないと、成果が得られない場合もあります。
組織文化の問題
DXを推進する際に、もうひとつの大きな課題は組織文化に関連しています。長らく伝統的なBtoB営業で成果を上げてきた企業では、新しいアプローチに転換することが難しいことがあるかもしれません。
そのため、DXを進めるためには組織全体が変革の必要性を認識し、顧客とのコミュニケーションスタイルや商談プロセスを見直しやデジタル技術を活用した効率的で効果的な営業を展開するなど、柔軟でオープンな組織文化を築くことが重要です。
DXを推進できる人材の不足
BtoB営業のDXを進めたいけれど、何をどう始めたらよいのかわからないという企業も多いです。元々社内にITに関係する部署が無い場合はもちろんですし、あったとしてもDXとなると経営にかかわる意思決定も重要となりますし、BtoB営業の実務に詳しいわけではないため簡単に任せることはできないでしょう。こうした場合、企業は社内外からDXを推進できる人材を確保し、この課題を克服する必要があります。
BtoB営業のDXによるメリット
課題の多いBtoB営業のDXですが、実現できれば以下のような大きなメリットがあります。
効率化と生産性向上
従来BtoBに限らず営業担当者は、直接顧客に会うための移動時間が長いという問題がありました。
DXが進められればオンラインで営業活動を行うことになるため、移動時間が大幅に減少し、その分機会が増えることになります。見積などを求められても、インターネット環境の元であればすぐに対応することができます。
また、顧客情報もシステムに入れておくことで、次はいつ、どの内容でアプローチすれば良いかなども把握することが容易になりますので、営業効率が格段とアップします。
ナレッジ共有
DXにより、BtoB営業におけるナレッジ共有が大幅に向上します。これまで個々の営業担当者が持っていた顧客情報やノウハウが企業内で積極的に共有され、個人に依存しない標準的なプロセスが確立されます。
これにより営業担当者の退職や異動に際しても、その貴重な知識や経験が失われることなく、他のチームメンバーが受け継ぐことができます。
また、ナレッジの共有と標準化により営業活動の品質が向上し、顧客満足度も向上します。経験に裏打ちされた貴重な知識やスキルの共有は、担当者だけでなく企業全体にとっても大きな利益となります。
営業プロセスの自動化と効率化
DXを活用することで、BtoB営業のプロセスを自動化し、より効率的にすることができます。
営業業務には多くの反復作業が含まれており、これらを自動化することで営業担当者の負担を軽減し、より価値の高い活動に時間を割く余裕が生まれます。
たとえば、顧客データの入力、商談のスケジューリング、見積もりの作成など、これまで手作業で行っていたタスクを自動化することで、営業プロセスの速度と正確性が向上します。
セールスプロセスの改善
DXを活用することで、勘と経験に依存していたセールスプロセスをデータドリブン(データを元にしたアクションや意思決定)へ変革することで、継続的な改善を図ることが可能になります。
データ分析ツールを使用することで、顧客の購買行動や商談の成約率など、セールスプロセスに関する様々なデータを可視化します。
これによりどの段階で商談が失われやすいか、どのようなアプローチが効果的かなど、セールスプロセスのボトルネックや改善点を明らかにし、戦略的な改善策を講じることができます。
BtoB営業のDXを成功させる方法
BtoB営業のDXを成功させるために取るべき方法は以下になります。
DXに対する理解を深める
最初にBtoB営業の部門に限らず、全社内でDXとは何か、どのように進めるべきかということを共有して協力体制を作る必要があります。
理解があいまいだったり協力体制ができていなかったりすると、いざDXを進めようにもなかなか進まない事態になってしまうからです。
営業チームの場合だと、DX化を進めることでこれまでかかっていた時間やコストが削減でき、売上アップに繋がる!といった一連の流れを落とし込むことができれば、よりDXに対して前向きに取り組んでもらえるのではないでしょうか。
DX推進チームを立ち上げる
BtoB営業のDXを進める際には、できればこれに加えて外部の専門家に参加してもらえばベストですが、社内のメンバーではマーケティング部門と営業部門の協力が必須となります。DX推進チーム内では、オンラインで顧客を獲得しクロージングに結びつける施策を考えていきます。主に役職者やリーダー的な存在の方が適任です。
自社にあったITツールを選び活用する
BtoB営業のDXを進める際にはITツールの導入が不可欠ですが、様々な種類のツールがあるため、ツールの選定は慎重に行わないといけません。ツールを失敗してしまうと、DXをしても効果が得られなかったと会社全体の士気に大きな影響を及ぼしてしまいます。
そこで下記にて、予算や目的に合わせて優先させる機能をピックアップしていきます。
効果的な営業DXの推進方法
営業DXを効果的に推進するためには、戦略的かつ計画的なアプローチが必要です。
・現状の営業プロセスを詳細に分析し、DXを活用してどのように改善できるかを検討。
・具体的な目標を設定し、それを達成するためのロードマップを作成。
短期的な成果だけに焦点を当てず、長期的なビジョンも忘れないように気を付けます。
また、新しいシステムの導入や業務フローの変更には抵抗が生じることがあるため、組織全体で変革の重要性を共有し、組織の理解と協力を得ることが重要です。
営業DXに取り組んだ企業の成功事例
東海東京証券:AIを使った個人向け営業戦略
東海東京証券は、DXを進める一環としてAIを活用したデータベースマーケティングを展開しています。
これにより、個人向け証券営業において重点顧客とのコンタクト率を90%まで向上させることに成功しました。
従来の営業方法では担当者の経験に依存していたため提案の内容やタイミングにばらつきがありましたが、マーケティング用データベースには金融商品の銘柄や保有数、残高、約定情報、営業担当のコンタクト履歴や入出金データ、顧客属性などが登録されています。これらの情報をSAP社の機械学習・予測分析システムであるSAP Predictive AnalyticsのAIによって分析し、該当月にどの顧客が商品を購入する確率が高いかをアウトプットしています。その結果、営業担当者がより効果的に業務を行えるようになりました。
第一生命保険:営業をオンラインで完結
第一生命は、新型コロナウイルスの影響を受けオンラインでの営業活動を強化しており、保険商品の非対面販売の導入に踏み切りました。
約40億円を投じて全国の営業職員にスマートフォンを配布し、保険商品の提案から契約までを全てオンラインで完結できる体制を整えています。
これにより顧客は対面でのやり取りをせずとも、スムーズに保険商品を選び契約することが可能になりました。
また、AIを活用した保険商品提案など積極的なDX化に力を入れています。
BtoB営業のDXはクラウドERP「キャムマックス」で解決
BtoB営業のDXを進める際には、顧客管理や売上管理といった基幹業務をどのように効率化するかが大きなポイントになります。ここで有効なのが、クラウドERP「キャムマックス」です。キャムマックスは中小企業でも導入しやすいシステムで、営業活動とバックオフィスを一元管理できる点が特徴です。属人化しやすい情報管理を防ぎ、組織全体でデータを活用できる環境を提供するため、営業力強化と業務効率化の両立を実現できます。
ERP「キャムマックス」の特徴と機能
キャムマックスは、販売・在庫・会計といった基幹システムを一体化したクラウドERPであり、営業情報も含めて企業活動全体をつなげられる仕組みを持っています。例えば、営業担当が入力した受注情報が自動的に在庫・購買・会計部門へ反映されるため、情報の二重入力や伝達ミスを防止できます。また、リアルタイムでのデータ可視化により、営業戦略の立案や経営判断が迅速に行えるのも大きな強みです。さらに、クラウド型で提供されるため、自社に専任のIT人材がいなくても安心して利用できる点も、中小企業にとって魅力的です。
中小企業がキャムマックスを導入するメリット
中小企業にとってシステム導入はコスト面や運用負担の不安がつきものですが、キャムマックスは必要な機能を低コストで利用できるため、無理のないDX推進が可能です。特に営業部門と管理部門のデータをつなぐことで、商談から受注、売上計上までの一連の流れを効率化でき、業務スピードと正確性が向上します。さらに、蓄積されたデータを活用して営業の改善策を導き出せるため、単なる業務効率化にとどまらず、企業の成長戦略を支える基盤として活用できるのです。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。