倉庫レイアウトの最適化 ~ロケーションの表示方法や効率性を高める工夫
近年では、EC市場の拡大や取扱商品の増加、人手不足などを背景に、限られた人員やスペースでより高い生産性が求められています。そのためには、倉庫内における商品の流れや作業動線を考慮したレイアウト設計が欠かせません。
倉庫レイアウトは、単に商品の保管スペースを確保するだけでなく、入庫から保管、ピッキング、梱包、出庫までの一連の物流業務をスムーズに進めるための基盤です。また、レイアウトを最大限に活かすには、商品の保管場所を正確に特定・管理するロケーション管理の仕組みも欠かせません。
本記事では、倉庫レイアウトを最適化する設計のポイントに加え、ロケーション管理について詳しく解説します。
倉庫レイアウトの最適化とは
倉庫レイアウトを検討する際は、次のような要素を総合的に考慮する必要があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
保管エリア | 商品を保管するラックや棚を配置するエリア |
入荷・出荷エリア | 荷受け・検品・出荷作業を行うエリア |
通路 | 作業者やフォークリフトが移動する通路 |
作業スペース | ピッキングや梱包、仕分けなどの作業を行うスペース |
これらの要素に対して、個別に配置を決めるのではなく、入荷から出荷までの一連の流れがスムーズにつながるよう、全体最適の視点で設計することが重要です。
得られる4つのメリット
倉庫レイアウト最適化による主なメリットは、次の4点に整理できます。
作業効率
移動距離や作業時間の短縮
在庫管理
在庫精度の向上、棚卸の効率化
業務品質
誤出荷や商品取り違えの防止
安全性
作業中の事故リスクの軽減
レイアウトが最適化されることで、人やモノの動きに無駄がなくなります。その結果、作業効率だけでなく、在庫管理の精度や誤出荷の防止、事故リスクの軽減につながります。
レイアウト不備による問題点
倉庫レイアウトが適切に設計されていない場合、業務にさまざまな支障をきたします。
ピッキング時間の増加
商品の配置が適切でない場合、現場スタッフは商品を探すために倉庫内を移動する時間が長くなります。特に、出荷頻度の高い商品を倉庫の奥に配置すると、ピッキング効率が大きく低下します。
作業動線の無駄
レイアウトが整理されていない倉庫では、入出庫やピッキングの際に同じ場所を何度も往復するなど、動線に無駄が生じます。また、入荷・保管・出荷エリアが適切に区分されていない場合、作業が干渉しやすく、待機時間や渋滞が発生することも少なくありません。
誤出荷・在庫差異
保管エリアと入出荷エリアの区分けが曖昧なレイアウトでは、商品ステータス(入荷済み・出荷準備済みなど)を把握しにくくなり、商品の取り違えによる誤出荷や在庫差異が起こりやすくなります。
安全面のリスク
倉庫では、作業スタッフと搬送機器が行き交うため、安全性を考慮したレイアウト設計が欠かせません。通路幅が十分に確保されていない場合、接触事故や荷崩れなどのリスクが高まります。
倉庫レイアウトを設計するポイント
ポイント① 入荷から出荷までの作業動線を整理する
作業動線を整理するには、入荷・検品・保管・ピッキング・梱包・出荷の各工程で、移動距離が最短になるようエリアの配置を検討することが重要です。
一筆書き動線を意識したレイアウト設計
一筆書き動線とは、商品の流れや現場スタッフの移動ができるだけ逆流しないよう、一方向に流れる動線を設計する考え方です。動線の交差を防げるため、作業効率が上がるだけでなく、安全性も高まります。
代表的な形として、以下の2種類が挙げられます。
項目 | 配置の考え方 | メリット |
|---|---|---|
I字型レイアウト | 入荷エリアと出荷エリアを建物の両端に分けて配置する | 商品が一直線に流れるため作業動線を単純化しやすく、大型倉庫にも対応可能。人とフォークリフトの動線も整理しやすい |
U字型レイアウト | 入荷エリアと出荷エリアを建物の同じ側にまとめ、保管場所をU字状に配置する | 限られたスペースでも効率的な作業動線を確保しやすく、ピッキングや入出荷作業を効率化しやすい |
いずれの形式を採用する場合も、建物の形状だけでなく、作業人数や使用する機材、取扱商品の特性なども考慮した上で、自社に適した動線を設計することが重要です。
ポイント② 出荷頻度に応じてエリアを分ける
商品の保管場所は、出荷頻度を考慮してエリアを分けることが重要です。すべての商品を同じ条件で保管すると、出荷頻度の高い商品が奥に配置されてしまう可能性があり、ピッキング効率の低下につながりかねません。
このような課題を改善する手法として、ABC分類が用いられます。
項目 | 商品区分 | 推奨されるエリア |
|---|---|---|
Aランク | 出荷頻度が高い商品 | 作業動線が最短になるエリア |
Bランク | 出荷頻度が中程度の商品 | Aランクよりやや離れたエリア |
Cランク | 出荷頻度が低い商品 | 出荷口から離れたエリア |
ABC分類とは、商品の出荷頻度や出荷量などを基準に、商品をA・B・Cのグループへ分類する管理手法です。出荷頻度に応じてエリアを分けることで、ピッキング時の歩行距離を短縮し、作業効率の向上が期待できます。
なお、Aランクをどこに配置するかは、出荷口からの近さに限らず、作業動線全体の中でもっとも移動が少なくなる場所という視点で検討することが大切です。
ロケーション管理について
ロケーション管理とは、倉庫内の保管場所(ロケーション)ごとに識別番号を設定し、商品の保管場所と在庫の情報を紐づける管理手法です。保管スペースの一つひとつに、住所のような役割を持つ識別番号を割り振り、どの商品がどこにあるかを特定できるようにする仕組みです。
商品の保管場所が明確になることで、現場スタッフは識別番号を確認するだけで目的の商品まで迷わず移動できるようになります。
倉庫レイアウトとの関係
レイアウトが「空間の配置」を決めるものであるのに対し、ロケーション管理は「区切られた保管場所ごとに商品の所在を管理」します。どちらか一方だけでは十分な効果は得られず、両方を組み合わせて初めて、倉庫全体の効率化が実現します。
ロケーション番号の付け方
① 棚基準
棚そのものに番号を割り振る付番方法です。ロケーション番号は、主に「列」「連」「段」の組み合わせで構成されます。

※棚基準のイメージ
図のように、奥行きを「列」、横方向の棚の並びを「連」、高さを「段」として、それぞれに番号を振っていきます。これに、倉庫全体を区切る「エリア」や、棚の中の収納スペースをさらに細かく示す「間口」を加えることで、より詳細な位置を特定できます。
例えば、「A-03-05-02-04」というロケーション番号は、「Aエリア・3列目・5連目・2段目・4番目の間口」を示します。
② 通路基準
通路を起点に構成する付番方法です。ロケーション番号は、主に「通路」「連」「段」の組み合わせで構成されます。

※通路基準のイメージ
図のように、通路ごとに番号を振り、その通路に沿って右側の棚※を偶数連、左側を奇数連として、奥に進むほど連の数字が大きくなるよう設定します。
※左右の概念が必要なため、順路を設定する必要があります。
これに「エリア」や「間口」を組み合わせます。
例えば、「A-01-03-04-02」というロケーション番号は、「Aエリア・1通路・奇数側3番目の棚(連)・下から4段目・左から2番目の間口」を示します。
棚基準・通路基準の選び方
通路基準は番号通りに通路を進めば目的の商品に確実にたどり着けるため、多くの現場で採用されています。一方、棚の配置がシンプルで、通路をまたぐ心配が少ない倉庫では、より直感的に把握しやすい棚基準が適しています。いずれも、自社の棚の配置や運用ルールと照らし合わせながら、適した方式を選ぶことが大切です。
ロケーションの運用方式
ロケーション管理では、商品の保管ルールも重要な要素です。代表的な保管方式として、以下の3つが挙げられます。
固定ロケーション
商品ごとに保管場所を固定する方式です。商品の所在を把握しやすく、出荷頻度の高い商品の管理やピッキング作業の効率化に適しています。一方で、空きスペースを柔軟に活用しにくく、保管効率はやや低下する傾向があります。
フリーロケーション
保管場所を固定せず、空いているスペースを活用する方式です。空きスペースを無駄なく活用できるため、保管効率の向上につながります。ただし、商品の所在を正確に把握するためには、専用の管理システムが必要となります。
ダブルトランザクション
物流倉庫などで用いられるケースが多い方式で、ストックエリアとピッキングエリアを分けて在庫を管理します。ストックエリアにはケースやパレットなどの大きな荷姿の在庫をフリーロケーションで保管して、ピッキングエリアでは個装のものを中心に固定ロケーションで管理します。
ロケーション表示をわかりやすくする工夫
ロケーション管理の効果を最大限に発揮するには、現場で迷わず運用できる環境を整えることも重要です。ここでは、現場でロケーション情報をわかりやすく伝えるためのポイントを紹介します。
色分けやゾーニングで視認性を高める
倉庫規模が大きくなるほど、ロケーション番号だけで目的地を判断することは難しくなります。そのため、エリアごとに色を割り当てたり、ゾーンを区切ったりすることで、遠くからでも目的の方向を視覚的に判断しやすくなります。
例えば、エリア名の表示に色を添えることで、番号を細かく読まなくても、色を頼りに大まかな方向をつかめます。こうした工夫により、初めて作業を行う現場スタッフでも目的の場所を判断しやすくなり、移動時間の短縮や作業効率の向上につながります。
区画線や案内表示で動線を明確にする
床に区画線や誘導矢印を引いて通路や作業エリアの境界を明示したり、通行区分やピクトグラムを使った案内サインを設置したりすることで、通路の入り口や分岐点でも迷わず進めるようになります。
また、フォークリフトと現場スタッフの動線が交差する場所には、ミラーの設置や注意喚起表示を設置することで、死角での接触事故を防ぐことにもつながります。こうした表示は、単に視認性を高めるだけでなく、倉庫内の安全性を確保する上でも欠かせない要素です。
棚札を遠くからでも確認できるサイズ・位置にする
文字サイズが小さい場合や商品の陰に隠れている場合は、保管場所を確認するために近づく必要があり、作業効率が低下する要因となります。こうした事態を避けるには、ラック上部や通路入口など、離れた場所からでも視線が届きやすい位置へ表示を設置するとともに、十分な文字サイズを確保することが重要です。
また、照明環境や視線の高さも考慮し、どの位置からでも確認しやすい表示を採用することが望まれます。
ピッキングリストや作業指示書を見直す
ピッキングリストや作業指示書は、現場スタッフが必要な情報を迅速かつ正確に確認できるよう設計することが重要です。 ロケーション番号や商品番号、数量など、作業に必要な情報のみをわかりやすく整理して、重要な項目は色や太字で強調表示します。また、文字サイズや余白を調整し、一目で必要な情報が把握できるレイアウトにすることも欠かせません。
特に、似た商品番号やロケーション番号が並ぶ場面では、読み間違いや確認漏れが起こりやすくなります。こうした工夫を積み重ねることで、ミスの防止だけでなく、確認時間の短縮にもつながります。
ロケーション管理もおまかせ ─クラウドERP「キャムマックス」で実現する在庫・倉庫管理
項目 | アナログ管理 | キャムマックス導入後 |
|---|---|---|
ロケーション番号 | 手書き・経験に頼った管理 | データベースで管理 |
在庫数の管理 | 手作業で記録・集計 | 入出庫時に自動反映 |
商品の所在 | 保管場所を目視で確認 | システム上で一目瞭然 |
棚卸 | 目視・手集計 | スキャンで即照合が可能 |
作業の属人化 | 経験者に依存 | 標準化された運用 |
従来のアナログなロケーション管理では、人による記録・確認・判断が前提でしたが、「キャムマックス」の在庫・倉庫管理機能を活用することで、属人化を排除した正確な作業を実現します。
- 在庫の場所・数量・履歴を常に可視化
- ヒューマンエラーの削減・作業の標準化
- 複数拠点や外部委託倉庫も一元管理
- ピッキング指示・補充指示もシステム化
キャムマックスでは、棚や商品単位でバーコード(QRコード)を発行し、読み取ることで情報の登録・更新を即座に行うことができます。
詳しくは、機能オプション『WMSモバイル』をご確認ください。
バーコードを使ったロケーション管理
キャムマックスを使ったロケーション管理の基本となるのが、バーコード(QRコード)を活用した仕組みです。
棚の位置と在庫情報を紐づけて、移動や入出庫を一元管理することが可能です。
運用イメージ
- 各棚にロケーション番号・バーコードを設置 (例:A-03-05-02-04)
- 在庫(商品)にもバーコードやQRコードを付与 (SKU別)
- 入出庫時に「ロケーション番号 → 在庫」の順でスキャン
- リアルタイムで在庫数を反映
※キャムマックスで管理できる情報には、商品名、商品コード、数量、ロケーション番号などがあります。
ピッキングの流れ
受注データをもとにピッキングリスト(出荷指示書)を作成します。現場スタッフはスマートフォンやタブレット端末で確認しながらピッキングを行います。
業務フロー
- 受注データからピッキングリストを作成
- 現場スタッフはタブレットでリストを確認
- 指示書に従ってロケーション番号→在庫の順でバーコードをスキャンしてピッキング
- ステータスを出荷にすることで自動的に在庫数を更新
ピッキングリストに該当しない商品をスキャンした場合はエラーを返すため、出荷ミスを大幅に削減できます。エリア設定しておけばピッキングルートも最適化され、作業時間が大幅に短縮します。
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