物流アウトソーシングとは?3PLの活用とERP連携について解説
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物流アウトソーシングとは?3PLの活用とERP連携について解説

物流アウトソーシングとは、入出荷や在庫管理などの業務を物流事業者へ委託する仕組みです。物流を自社で行う場合、倉庫や設備、人員などを自社で確保して、物流体制を維持する必要があります。

一方、物流アウトソーシングでは、物流事業者が持つ倉庫や人員、設備を活用できるため、自社でリソースを確保・管理する負担を軽減できます。こうした理由から、物流業務の効率化や安定化を目的に、物流アウトソーシングの導入が進んでいます。

本記事では、物流アウトソーシングの仕組みや3PLの基本から、事業者選定のポイント、システム連携まで詳しく解説します。

物流アウトソーシングの仕組み

物流事業者は、荷主企業から納品された商品の在庫管理〜出荷作業までを代行します。

① 入荷

メーカーや仕入先などから、物流事業者の倉庫へ商品が納品されます。

② 検品・保管・在庫管理

商品の数量や状態などを確認した上で、所定の場所に保管します。

③ 出荷指示

商品の出荷が決まると、荷主企業から物流事業者へ、商品や数量、配送先などの出荷指示が送られます。

④ ピッキング・検品・梱包

出荷指示に基づき、商品のピッキングや検品、梱包を行います。

⑤ 出荷・配送

配送事業者を通じて、指定された納品先へ配送します。

このように、物流アウトソーシングでは、荷主企業と物流事業者が出荷指示などの情報をやり取りしながら、入荷から出荷までの業務を進めます。

3PLとは

3PL(Third-Party Logistics)とは、荷主企業の物流を外部の事業者が担う事業形態です。物流アウトソーシングでは、主に「3PL事業者」へ物流業務を委託します。

3PL事業者が提供する主なサービス

項目

内容

保管

3PL事業者の物流拠点を利用して商品を保管

入出荷・在庫管理

入荷、検品、在庫管理、ピッキング、梱包、出荷などに対応

配送

配送事業者と連携して、指定された納品先まで商品を配送

システム管理

WMS※を活用した物流情報の管理

※WMS:Warehouse Management Systemの略で、倉庫内の在庫や入出荷、作業状況などを管理するシステム。

3PLのサービスは、業務範囲や料金体系によって提供形態が異なります。

定額・パッケージ型

月額の基本料金に加えて、保管スペースや入出荷件数などに応じた従量料金が発生する形式です。初めて物流アウトソーシングを利用する企業や、特殊な検品・流通加工が少なく、標準的な物流工程で対応できる企業に適しています。

カスタマイズ型

カスタマイズ型では、荷主企業の商品特性や物流要件に合わせて、業務内容や運用方法を個別に設計します。流通加工やロット・期限管理、システム連携など、標準的なサービスでは対応が難しい要件にも柔軟に対応できる点が特徴です。

物流アウトソーシングが注目されている背景

物流業務を担う人材の不足

物流業界では、倉庫作業や配送などを担う人材の確保が課題となっています。自社物流においても、必要な人員を継続的に確保して、安定した物流体制を維持することは容易ではありません。

特に、出荷量の変動が大きい企業では、繁忙期に合わせて人員を確保・配置しなければなりません。さらに、人件費が上昇する中、人材育成やシフト調整、作業品質の管理まで継続的に行う必要があります。

こうした人材確保や運用の課題から、アウトソーシングが選択肢のひとつとなっています。

EC市場の拡大に伴う販売チャネルの多様化

EC市場の拡大に加え、メーカーによるDtoCなど、販売チャネルも多様化しています。経済産業省の調査によると、2024年の国内物販系BtoC-EC市場規模は、前年比3.7%増の15兆2,194億円、EC化率も9.78%まで上昇しています。

販売チャネルの多様化に伴い、小口・多頻度の出荷への対応も必要となっています。

ECでは注文ごとに商品や数量、配送先が異なるため、ピッキングや検品、梱包などの作業も細分化します。こうした物流業務を効率的に処理する手段として、3PL事業者へのアウトソーシングも進んでいます。

出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査

物流アウトソーシングで委託できる業務

業務

内容

入荷・入庫

メーカーや仕入先などから届いた商品を受け入れ、数量などを確認した上で倉庫へ入庫

検品・棚入れ

商品の数量や状態、品番などを確認して、所定の保管場所へ格納

保管・在庫管理

商品を適切な場所・環境で保管し、在庫数を管理

帳票・送り状の発行

出荷指示に基づき、納品書や配送用の送り状など、出荷に必要な帳票を発行

ピッキング

出荷対象の商品を倉庫から取り出す

流通加工・梱包※

セット組みや同梱物の封入など、必要な流通加工を行った上で梱包

出荷・配送

梱包した商品を配送事業者へ引き渡し、指定された納品先へ配送

※流通加工などの対応範囲は事業者によって異なるため、委託する際は事前に確認しておく必要があります。

受注処理や顧客対応まで任せるフルフィルメントサービス

フルフィルメントサービスは、倉庫内の物流業務に加えて、受注処理や顧客対応など、販売に伴う業務まで担うサービスです。

業務

物流アウトソーシング

フルフィルメントサービス

受注処理

× 原則として対象外

⚪︎ 対応

入荷・保管・在庫管理

⚪︎ 対応

⚪︎ 対応

ピッキング・梱包・出荷

⚪︎ 対応

⚪︎ 対応

顧客対応・返品対応

× 原則として対象外

⚪︎ 対応

フルフィルメントサービスを提供する3PL事業者も多く、物流業務に加えて、受注処理や顧客対応まで委託範囲を広げることができます。

物流アウトソーシングで失敗しないためのポイント

ポイント① アウトソーシングする目的と委託範囲を明確にする

物流アウトソーシングを検討する際は、導入によって何を改善したいのかを明確にします。物流コストの見直し、誤出荷や在庫差異の削減、人材不足への対応、繁忙期の出荷体制の確保など、目的によって重視すべき条件は異なります。

その上で、入荷・保管・出荷までを委託するのか、流通加工や返品対応まで含めるのかなど、委託する業務を具体化します。目的と委託範囲を明確にすることで、自社の要件に合った3PL事業者を比較・選定しやすくなります。

ポイント② 料金体系とサービス内容を確認する

物流アウトソーシングでは、保管や入出荷などの料金とは別に、流通加工や返品対応など、標準のサービスに含まれない業務に追加料金が発生する場合があります。そのため、見積金額だけでなく、料金に含まれる業務の範囲や、追加料金が発生する条件も確認しておく必要があります。

また、料金だけで判断せず、倉庫の立地や拠点数、出荷締め時間、配送体制なども含め、自社の物流要件に合ったサービスを選ぶことが重要です。

ポイント③ 自社の商材や物量に対応できるか確認する

3PL事業者を選定する際は、自社と同種商品の取扱実績に加え、ロット・期限管理や流通加工など、商品特性に応じた対応の可否を確認します。また、繁忙期の出荷量や在庫量、SKU数なども事前に共有しておく必要があります。必要な保管スペースや人員は事業規模によって変わるため、将来的な事業拡大も見据え、物流体制の対応力まで含めて判断します。

ポイント④ 業務範囲と責任範囲を明確にする

物流アウトソーシングでは、委託する業務だけでなく、トラブルや例外が発生した場合の対応についても事前に決めておく必要があります。返品・交換や緊急出荷など、通常とは異なる対応については、3PL事業者へ委託する範囲や追加料金の条件を明確にします。

また、商品の破損・紛失、誤出荷、在庫差異などが発生した場合の対応に加え、責任の所在や損害の負担範囲も明確にしておくことが重要です。

物流アウトソーシングに欠かせないシステム連携

物流アウトソーシングでは、物流業務を3PL事業者へ委託する一方、受注や仕入などの業務は荷主企業側で管理するケースが一般的です。そのため、自社と3PL事業者のシステム間で、必要なデータを連携できる環境を整える必要があります。

自社システムと連携する仕組み

3PL事業者では、WMS(倉庫管理システム)を用いて、入出荷や在庫、ロケーション、作業実績などの物流データを管理しています。一方、荷主企業が利用するシステムは企業によって異なります。

ERP(基幹業務システム)で販売・購買・在庫などを管理している企業もあれば、販売管理システムや受注管理システムなどを利用している企業もあります。物流業務を委託する際は、荷主企業の自社システムと、3PL事業者のWMSを連携※して、出荷指示や出荷実績、在庫データなどをやり取りします。

自社システム

↓ 出荷指示

3PL事業者のWMS

↓ 出荷指示に基づきピッキング・検品・梱包・出荷

↓ 出荷実績・在庫データ

自社システム

※システム間の連携方法には、APIやEDI、CSVファイルなどがあります。

ERP連携による受注・在庫・出荷データの一元管理

ERPを利用している企業では、物流データを販売や購買などの基幹業務と合わせて管理することで、受注・在庫・出荷を含む業務全体の状況を把握できます。こうしたデータ連携において、ERPとWMSはそれぞれ異なる役割を担います。

システム

区分

主な役割

ERP

自社

販売・仕入・在庫・会計などの基幹業務を管理

WMS

3PL事業者

入出荷・在庫・倉庫内作業などの物流業務を管理

データの流れ

ERP→WMS:入荷予定、出荷指示、商品情報、納品先など

WMS→ERP:入荷実績、出荷実績、在庫データなど

複数の販売チャネルや物流拠点を持つ企業では、各チャネルの受注状況や各拠点の在庫・出荷状況をまとめて管理することが重要です。3PL事業者とのデータ連携によって、受注・在庫・出荷に関するデータを自社のERPで一元的に管理できます。

物流アウトソーシングに向いている主な商材

物流アウトソーシングを活用しやすい代表的な商材と、それぞれの特徴を紹介します。

商材① アパレル・ファッション

アパレル・ファッションは、カラーやサイズによってSKUが細分化されやすく、在庫管理やピッキングが複雑になりやすい商品です。さらに、シーズンの切り替えやセールなどによって出荷量が大きく変動するため、繁忙期を見据えた人員や作業スペースの確保も必要です。

こうした商品管理や繁閑差への対応を3PL事業者へ委託することで、自社で繁忙期に合わせた物流体制を維持することが可能です。

商材② 化粧品・コスメ

化粧品・コスメは、商品によってロットや使用期限などの管理が必要になるほか、セット組み、サンプルや販促物の封入、ギフト包装などが発生します。そのため、保管・出荷だけでなく、商品ごとの管理条件や流通加工まで正確に行える物流体制が必要です。こうした商品管理や流通加工を3PL事業者へ委託することで、キャンペーンやギフトなど、販売施策に合わせた個別対応も可能になります。

商材③ サプリメント・健康食品

サプリメント・健康食品では、賞味期限・ロットごとの在庫管理や出荷管理が求められます。また、EC・通販の定期購入では、契約内容や配送サイクルに応じて継続的に商品を出荷できる体制も求められます。3PL事業者へ委託することで、賞味期限やロットを管理しながら、先入先出(FIFO)を前提とした在庫・出荷管理や、定期購入に伴う継続的な出荷に対応できます。

商材④ アクセサリー・ジュエリー

アクセサリー・ジュエリーは、商品数が多くなると在庫管理やピッキングの負担が大きくなります。また、高額な商品では在庫差異や紛失による影響が大きいため、入出荷時の検品や在庫管理、倉庫内のセキュリティが求められます。こうした商品管理や入出荷を3PL事業者へ委託することで、高額商品に求められる管理水準を維持しやすくなります。

商材⑤ 家電・電子機器

家電・電子機器は、商品によってサイズや重量が異なり、保管や荷役に適した設備が必要です。また、季節によって需要が変動する商品もあり、繁忙期には保管スペースや人員の確保も求められます。

3PL事業者の倉庫や物流体制を活用することで、必要な物流リソースを自社で抱える負担を抑えながら、需要に合わせた物流体制を確保できます。

DtoC事業をサポートするクラウドERP『キャムマックス』

販売チャネルごとに分散する受注データ、注文数の増加に伴う在庫管理、そして物流体制の構築―。DtoC事業を継続的に運営していくには、こうした業務を横断的に支える仕組みが欠かせません。

クラウドERP「キャムマックス」は、在庫・倉庫管理、販売管理、購買管理、生産管理、財務会計といった基幹業務を一元管理し、現場の効率化と経営判断の迅速化を支援します。また、3PL事業者が管理する物流データを連携させることで、受注・在庫・出荷の状況をリアルタイムで把握できます。

主な機能と特徴

販売管理

楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどのECモールや、自社ECカートとのAPI連携により、各チャネルからの受注データを自動で取り込み管理します。電話・FAX注文も含め、チャネルを問わない一元管理を実現します。

在庫管理

複数チャネルの在庫情報をリアルタイムに反映して、売り越しや欠品を防ぎます。自社倉庫・外部委託倉庫を問わず、在庫の状況を統合的に把握できます。また、WMS連携により倉庫作業とのデータ連携にも対応しています。

財務会計

販売管理・購買管理・在庫管理のデータと連携しているため、売上計上から経費処理まで一気通貫で管理できます。転記入力の手間をなくし、経営データをリアルタイムに把握できます。

API連携

ECカート・ECモール・WMS・送り状システムなど、幅広い外部サービスとの連携に対応しています。DtoCの成長フェーズに応じて、既存システムと組み合わせた柔軟な運用が可能です。

この記事を書いた人

下川 貴一朗

株式会社キャム 代表取締役CEO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして株式会社キャムに参画。
その後、2021年9月より取締役COOに就任し、2026年6月より現職。

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