食品業の販売管理をもっと効率的に!システムで在庫・ロット・トレーサビリティ対応など一括管理しよう
食品業界では、消費期限やロット管理、トレーサビリティといった特殊な要件が求められるため、販売管理は非常に複雑になりがちです。エクセルや紙伝票などのアナログ管理では、情報の入力ミスや伝達漏れが発生しやすく、取引先からの信頼を損なうリスクも抱えています。さらに、HACCPや食品衛生法など法規制への対応も求められる中で、販売管理システムの導入は食品業界における重要な課題となっています。
本記事では、食品業界特有の商習慣や管理ニーズ、なぜアナログ管理では限界があるのか、そして食品業向け販売管理システムの機能やメリットを詳しく解説します。最後には、在庫・ロット・トレーサビリティ対応を一括で実現できるクラウドERP「キャムマックス」についてもご紹介します。
目次
食品業界の販売管理が抱える課題とは?
食品は消費期限・賞味期限や温度帯管理が伴うため、在庫・販売の意思決定が複雑になりやすく、手作業や属人化が続くと廃棄や欠品、伝票不整合などの損失が連鎖しやすいです。さらに、ロット追跡や規制対応の遅れは信頼低下や法的リスクにつながるため、正確でタイムリーな管理体制が必要です。
消費期限と賞味期限が在庫回転を難しくする
出荷優先順位を誤ると期限切れや値引きが増え、粗利が圧迫されます。期限情報をSKU単位で把握し、FEFOに基づく引当や出荷計画を運用できないと、現場の判断がばらつきやすくなります。
ロット追跡とリコール対応には即時性が求められる
不良発生時に該当ロットの仕入先・製造日・出荷先を即時に特定できないと、回収範囲が過大化し、コストと信用棄損が拡大します。入出庫の段階でロット紐付けを徹底する仕組みが欠かせません。
季節要因と需要変動が欠品と過剰在庫を同時に招く
夏冬や行楽・歳時期などの波を読めないと、一定商品の欠品と別商品の滞留が同時発生します。販売予測と補充規則を整え、在庫の適正在庫帯を維持する必要があります。
多様な取引条件と伝票様式が手作業の負荷を増大させる
得意先別の発注ロット・納品形態・伝票様式に人手で合わせると、入力ミスやリードタイム遅延が起きやすいです。条件自動適用と帳票自動生成での標準化が求められます。
食品業界特有の商習慣や管理ニーズ
そもそも食品業界には、他の業界には見られない特有の商習慣や管理ニーズがあります。以下に、具体的な例を挙げて説明します。
賞味期限管理
食品は消費期限や賞味期限が定められており、これを厳格に管理する必要があります。賞味期限が切れた商品は販売できないため、期限が近い商品を優先的に出荷する必要があります。
ロット管理(トレーサビリティ)
食品の製造ロットごとに原材料の調達などの生産履歴の管理から、製品の出荷先や在庫状況を追跡できるようにします。万が一、製品に問題が発生した場合、どのロットが影響を受けたかを特定することが可能になり迅速にリコールの対応ができます。
3分の1ルールと日付順納品
商品を製造してから小売店に納品するまでの期限(納品期限)が、賞味期間の3分の1以内であることを求める商習慣です。
これにより消費者に届く商品の賞味期間が十分に確保されるので、同一商品を納品する際に前回納品したものより誤って古い商品を納品することを防ぎます。
※3分の1という考え方は、製造者・販売者・消費者の三者間において、製造日から賞味期限までの期間を3分の1ずつ均等に分け合うという考え方に基づくものです。
取引先毎の異なる単価と条件
取引先やキャンペーンによって異なる単価を管理し、正確に請求書を発行します。また、取引先ごとに異なる納品条件や支払条件を管理する必要があります。
荷姿管理
商品の包装形態が多岐にわたるため、ケース単位、バラ単位、パレット単位などの荷姿別での在庫管理があります。また、製品の包装に必要なラベル情報(賞味期限、製造ロット、原材料表示など)を正確に管理し印字する必要があります。
なぜアナログ管理ではだめなのか?販売管理システムを導入する理由
食品業界では、エクセルや紙伝票などのアナログ管理が今も多く残っています。しかし、業務の複雑化や法規制強化が進む中で、アナログ運用では限界が見えてきています。特に消費期限やロット番号といった食品固有の要素は、手作業で管理するとどうしてもミスや遅延を招きやすく、経営リスクの要因となります。ここでは、なぜアナログ管理では不十分なのか、その理由を整理します。
情報の属人化で業務が止まるリスクがある
エクセルや紙ベースの管理は、担当者の知識や経験に依存しやすく、異動や退職が発生すると引き継ぎが難航します。結果として、誰か一人に業務が集中する「属人化」が起き、急な欠勤などで業務が滞る危険性があります。
入力・転記ミスが致命的なトラブルを生む
伝票や在庫データを手入力で管理すると、数字の打ち間違いや転記ミスが必ず発生します。食品業では一桁の間違いが欠品や誤配送につながり、顧客クレームや取引先からの信頼低下を招きかねません。
リアルタイムな情報共有ができない
アナログ管理では在庫や出荷状況の更新に時間がかかり、営業担当や現場スタッフが最新情報を共有できません。そのため、欠品している商品を販売してしまう、あるいは在庫が余っているのに追加発注してしまうといったロスが発生します。
法規制・品質保証への対応が追いつかない
食品業界ではHACCPや食品衛生法に基づいた記録管理が求められます。アナログ運用では膨大な記録を手作業で残さなければならず、対応に漏れや遅れが出やすいのが現実です。監査や取引先からの証明要求に迅速に応えられない場合、ビジネス継続にも影響が及びます。
食品業向け販売管理システムの主な機能
上記で解説した業界特有の商習慣や管理ニーズを満たす食品業向け販売管理システムの主要機能には、以下のようなものがあります。
販売管理機能
見積管理
見積書の作成と顧客別の管理を行い、効率的な見積プロセスを実現します。
標準化されたテンプレートを使用して迅速に見積書を作成し、過去の見積書を顧客ごとに整理しできることで、簡単に再利用も可能になるなど作業効率があがります。
受注管理
受注情報をシステムに登録し、在庫や生産計画と連携させる機能です。
顧客からの注文を迅速に入力し、注文書を自動生成します。これにより受注時に在庫状況を自動確認し、欠品を防止します。
請求管理
請求書の発行と未回収の管理を行い、キャッシュフローを改善します。
売上データに基づいて請求書を自動的に作成し、顧客ごとに支払期日を設定できるほか、API連携により振込確認処理の自動化や入金状況をリアルタイムで把握することが可能です。
売上管理
日次、月次、年次ごとに売上データを自動集計します。
また、商品別、顧客別、地域別などさまざまなセグメントで売上を可視化し、売上分析に役立てます。
在庫管理機能
リアルタイム管理
在庫の状況をリアルタイムで監視し、在庫量の変動に即座に対応できる機能です。
在庫が一定のレベルを下回ると自動的に通知が送られたり、在庫が少なくなると自動的に補充注文を発行します。ダッシュボード上で在庫状況を視覚的に表示し、リアルタイムに可視化します。
賞味期限管理
賞味期限を一括管理し、期限が迫った商品の優先的な出荷を支援します。
(FIFO:先入先出法の適用)また、賞味期限が切れた商品の出荷を防止します。
ロット管理
製造ロットごとに商品の追跡を可能にし、品質管理を強化します。
各ロットの製造日、使用した原材料、製品の配送先を追跡して、製品に問題が発生した場合、該当ロットを迅速に特定して回収できます。
トレーサビリティ機能
出荷追跡
製品ごとに追跡コードを付与し、出荷先、出荷日時、出荷内容を詳細に記録。出荷された製品(食品)の追跡をすることができます。
問題が発生した際、迅速にリコール対象商品を特定することも可能です。
生産管理
食品加工においては、製造ロットごとに原材料などの追跡も可能です。
製品に問題が発生した場合、どのロットが影響を受けたかを迅速に特定し、リコール対応が可能です。
原材料の調達から製品の出荷まで、一貫して履歴を追跡し原因の特定を可能にします。
購買管理機能
仕入れ管理
原材料や商品の仕入れを管理し、在庫と連携して最適な発注をおこないます。
発注書を作成してサプライヤーに送信するなど、仕入れた原材料や商品の詳細・履歴も保持し、仕入れコストなども可視化できます。
支払い管理
支払い予定をスケジュール化し、支払期日を管理します。支払いの承認プロセスを設定し不正を防止することもできます。
支払い状況を可視化し、キャッシュフローのバランスを保つことも可能です。
食品業向け販売管理システム導入のメリット
食品業界に販売管理システムを導入することで、日々の業務効率化にとどまらず、品質保証や法規制対応、経営判断の迅速化など幅広いメリットが得られます。ここでは代表的な利点を解説します。
業務効率化とコスト削減が実現できる
在庫確認や伝票処理、請求業務といった手作業が自動化され、担当者の作業時間を大幅に削減できます。結果として人件費や間接コストが抑えられ、より付加価値の高い業務にリソースを割けるようになります。
人的ミスを防ぎ正確性を高められる
期限やロット情報、取引条件をシステムで自動処理するため、数字の打ち間違いや伝票不備といった人的ミスを防止できます。正確なデータに基づいた出荷や請求が行えることで、取引先からの信頼も向上します。
顧客満足度を向上させられる
在庫状況や納期をリアルタイムに把握できることで、欠品や誤出荷を防ぎ、取引先や消費者に対して安定した供給を実現できます。納期遵守や品質保証が強化されることで、顧客満足度の向上にも直結します。
法規制や品質保証への対応が容易になる
HACCPや食品衛生法に準拠した記録を自動的に残せるため、監査や取引先からの要求に迅速に対応できます。規制遵守を徹底することで、企業としての信頼性を高めることにもつながります。
経営判断に活用できるデータが蓄積される
販売実績や在庫回転率、需要予測などのデータを活用することで、経営判断の精度を高められます。データに基づいた仕入・販売計画を立てることができ、無駄な在庫を減らしつつ利益率を向上させることが可能です。
おすすめの食品業向け販売管理システム
食品業界のニーズに対応する販売管理システムは数多くありますが、ここでは特に中小企業でも導入しやすく、在庫・ロット・トレーサビリティ対応に優れたシステムを中心に紹介します。
アラジンオフィス
食品業をはじめとする製造・卸業で広く利用されている国産の基幹システムです。販売管理だけでなく、在庫・購買・生産管理までカバーでき、特にロット管理や消費期限管理に強みがあります。オンプレ型だけでなくクラウド版も用意されており、規模に応じて柔軟に導入できます。
SMILE V 2nd Edition FOODMASTER
大企業から中堅・中小まで幅広く導入実績のあるERPパッケージです。食品業界向けのアドオンが豊富で、HACCP対応やトレーサビリティ管理を強化できる点が特徴です。多言語・多通貨対応も可能で、輸出入を含む食品取引にも対応しやすいシステムです。
GEN(ジェン)
食品業を含む流通業界向けのクラウド型販売管理システムです。直感的な操作画面と手頃な月額費用が魅力で、中小企業でも導入しやすいのが特徴です。在庫やロット管理をシンプルに効率化でき、スタートアップ的に導入したい企業に適しています。
クロスモール
複数のECモールや実店舗を運営している食品事業者に最適なシステムです。受注・在庫を一元管理でき、食品のEC販売において欠品防止や在庫過多のリスクを減らすことができます。クラウド型で低コストから導入できるため、成長中の事業者に向いています。
食品業の販売管理を効率化するなら「キャムマックス」がおすすめ!
食品業界の販売管理は複雑で、在庫・消費期限・ロット番号・トレーサビリティといった要素を同時に扱う必要があります。クラウドERP「キャムマックス」は、こうしたニーズを満たしつつ中小企業にも導入しやすいシステムです。
在庫・消費期限・ロットを一括管理できる
キャムマックスは在庫数だけでなく、消費期限やロット番号も紐付けて管理できるため、期限切れや出荷ミスを防ぎます。廃棄ロスの削減や品質保証の強化につながります。
トレーサビリティ機能でリスクを軽減できる
仕入から製造、出荷までをロット単位で追跡できるため、万が一リコールが発生しても対象商品の特定と回収を迅速に行えます。食品業界に欠かせないトレーサビリティ確保が容易です。
コストを抑えて導入しやすい
キャムマックスは初期費用・月額費用が明確に設定されており、中小企業でも安心して導入できます。クラウド型のため、自社にサーバーを置かずに利用でき、運用負担を軽減できます。
FAQ(よくある質問)
Q1. 食品業界特有の管理ニーズに対応する機能には何がありますか?
A:賞味期限管理やロット管理、3分の1ルールへの対応など、食品業界特有の課題を解決するための機能が備わっています。例えば、賞味期限が近い商品を優先的に出荷して廃棄ロスを削減する仕組みや、製品の製造履歴や出荷先などの追跡ができます。
Q2. 販売管理システムで在庫管理はどのように効率化されますか?
A:システムを導入する事で、在庫量が一定の基準を下回ると自動通知を送り適切なタイミングで補充発注できます。また賞味期限やロット情報を一元的に管理できるため、期限が近い商品を優先的に出荷できます。その他、人的コストや廃棄コストの削減にも繋がります。
Q3. トレーサビリティ機能ではどのような情報を追跡できますか?
A:各製品の製造ロット情報を追跡することが可能です。具体的には、使用された原材料の情報や製造日、出荷先や出荷日が記録されているため、万が一問題が発生した場合でも迅速に特定できます。
Q4. 3分の1ルールとは何ですか?
A:食品業界特有の商習慣であり、製造日から賞味期限までの期間を3分割して製造者・販売者・消費者の三者間において期間を3分の1ずつ均等に分け合うという考え方です。つまり、製造者は最初の3分の1以内に商品を小売店へ納品することが求められています。
Q5. 販売管理システムは他のシステムと連携できますか?
A:APIを使って連携できるものが多いです。例えば、物流システムと連携することで出荷情報を自動的に反映したり、倉庫管理システム(WMS)とデータを閲覧・共有して在庫を管理できます。
Q6. 販売管理システムの導入メリットは何ですか?
A:業務効率の向上、在庫管理の最適化、品質管理の強化といったさまざまなメリットが得られます。受注から請求までの業務を一元管理することで手作業によるミスを抑えたり、在庫状況をリアルタイムで把握して、適切な在庫補充や古い商品の優先的な出荷が行えます。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。