マルチオーダーピッキングとは?基本的な仕組みから導入・運用まで詳しく解説
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在庫管理

マルチオーダーピッキングとは?基本的な仕組みから導入・運用まで詳しく解説

マルチオーダーピッキングとは、複数のオーダーに含まれる商品をピッキングしながら、その場でオーダー別に仕分けるピッキング方式です。一度の巡回で複数のオーダーを処理できるため、倉庫内の移動を減らし、作業を効率化できます。

本記事では、マルチオーダーピッキングの特徴や他のピッキング方式との違い、導入を支援するツール・システムなどについて解説します。

マルチオーダーピッキングの特徴

マルチオーダーピッキングでは、一般的に複数の箱やオリコン(折りたたみコンテナ)をカートに載せ、それぞれに異なるオーダーを割り当てます。作業者は各オーダーに必要な商品をピッキングし、その場でオーダーごとに振り分けます。

  • 複数オーダーの一括処理

複数のオーダーをまとめて一度の巡回で処理する

  • ピッキングと仕分けの並行処理

商品を取り出した段階で、オーダーごとの箱やオリコンへ仕分ける

  • 作業動線の集約

オーダーごとの個別巡回を減らして、倉庫内の移動を集約する

このように、複数のオーダーを1つの単位として扱うことで、ピッキングから仕分けまでを一連の流れで進められます。

具体的な作業の流れ

ここでは、異なるロケーションに保管されている商品をピッキングし、3件のオーダーを同時に処理するケースを取り上げます。

注文内容は以下のとおりです。

オーダー

注文商品

A

商品①、商品②

B

商品①、商品③

C

商品②、商品④

作業者は、A・B・Cに対応する3つの箱をカートに載せてピッキングを開始します。

【手順1】商品①のピッキング:商品①を2個ピッキングして、AとBの箱へ1個ずつ投入

【手順2】商品②のピッキング:商品②を2個ピッキングして、AとCの箱へ1個ずつ投入

【手順3】商品③のピッキング:商品③を1個ピッキングして、Bの箱へ投入

【手順4】商品④のピッキング:商品④を1個ピッキングして、Cの箱へ投入


このように、3件のオーダーを一度の巡回で処理し、ピッキングとオーダー別の仕分けを並行して行います。

その他のピッキング方式

シングルピッキング

オーダーごとに必要な商品をピッキングして、順番に処理していく方式です。「摘み取り方式」とも呼ばれます。個別にピッキングを行うため、複数のオーダーに同じ商品が含まれる場合でも、その都度商品を取りにいく必要があります。結果として、出荷オーダー数が多いほど、倉庫内を巡回する回数も増えます。

トータルピッキング

複数のオーダーの商品を一括でピッキングした後、オーダーごとに仕分ける方式です。「種まき方式」とも呼ばれます。商品ごとに必要な数量を一度にピッキングするため、倉庫内の巡回回数を減らせます。ただし、ピッキング後に別途「仕分け」が発生するため、作業スペースの確保が必要です。

3つのピッキング方式を比較

それぞれ商品を集める単位や仕分けのタイミング、作業動線などに違いがあります。

項目

シングルピッキング

トータルピッキング

マルチオーダーピッキング

処理単位

1オーダー

複数オーダー

複数オーダー

商品の集め方

オーダーごとにピッキング

複数オーダーをまとめてピッキング

複数オーダーをまとめてピッキング

オーダー別の仕分け

不要

ピッキング後に実施

ピッキングと並行して実施

ピッキング方式を選定する際は、出荷件数やオーダー構成、商品の特性、倉庫内の作業環境などを踏まえることが重要です。

マルチオーダーピッキングのメリット

倉庫内の移動距離・時間の短縮

マルチオーダーピッキングでは、複数のオーダーを一度の巡回で処理することで、倉庫内の移動距離が短縮され、ピッキング全体の効率化につながります。特に、出荷オーダー数が多い現場では、巡回回数を抑えることで、ピッキングに伴う移動時間を削減できます。

仕分け工程の削減

独立した仕分け工程を設けないことで、作業時間やスペースを削減するとともに、工程間での商品の滞留を抑制します。特に、出荷量が多い現場では、各工程へ商品を円滑に流せるため、安定した出荷作業を維持しやすくなります。

作業効率の向上と省人化

移動や仕分けにかかる工数を削減することで、オーダー処理数の増加が見込めます。限られた人員でもより多くの出荷に対応できるため、作業効率の向上や省人化につながります。

マルチオーダーピッキングの注意点

注意点① 一度に処理するオーダー数が増えると作業が複雑になる

マルチオーダーピッキングでは、複数のオーダーを同時に扱うため、商品や数量に加え、投入先となる箱やオリコンを確認しながら作業を進める必要があります。

オーダー数が増えるほど確認すべき情報も多くなり、作業が複雑になるため、必ずしも作業効率が高まるとは限りません。ピッキングにかかる移動距離を短縮できても、投入先の確認や振り分けに時間を要すれば、効率化の効果が小さくなる場合があります。

適切なオーダー数は、1オーダーに対する商品数や商品の大きさ・重量、カートの積載量などを踏まえて設定することが重要です。

注意点② 運用規模によってはシステムや設備が必要になる

処理するオーダー数が少ない場合には、一般的な台車に複数の箱やオリコンを載せ、紙のピッキングリストなどを使用する方法もあります。

一方、出荷量や同時に処理するオーダー数が増えると、商品や数量、投入先などの管理も複雑になります。作業の正確性や処理能力を維持するには、ツールやシステムによる作業支援が必要となる場合があります。

こうした設備やシステムの導入には、初期費用に加え、運用や保守に伴うランニングコストも発生します。そのため、作業時間の短縮や処理能力の向上と、導入・運用にかかるコストの双方を踏まえて検討することが重要です。

マルチオーダーピッキングを支援するツール・システム

マルチピッキングカート

マルチピッキングカートは、作業指示や投入先を確認しながら複数オーダーを処理できるピッキングカートです。

カートに設置された箱やオリコンにそれぞれ異なるオーダーが割り当てられており、作業者はタブレットに表示された指示に沿ってピッキングを行います。

商品のバーコードを読み取って指示内容と照合した上で、指定された箱やオリコンへ振り分けることで、商品の取り違えや誤投入を防止できます。

※機種によっては重量検品にも対応しており、投入後の重量から「数量の過不足」を検知できます。

WMS

WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)は、倉庫内の在庫や入出荷、ロケーション、作業進捗などを管理するシステムです。マルチオーダーピッキングでは、WMSが主に次のようなデータや業務を管理します。

  • 出荷オーダー
  • 商品マスタ
  • 在庫数
  • ロケーション
  • 作業指示の作成
  • ピッキング実績・進捗の管理

出荷条件などに基づいて複数のオーダーをグループ化し、ピッキングに必要な作業指示を作成します。さらに、マルチピッキングカートなどの機器と連携することで、作業指示を機器に取り込み、作業後の実績や進捗をWMSへ反映できます。

※機能や対応範囲はケースごとに異なるため、使用する機器や既存システムとの連携方法について事前に確認する必要があります。

出荷業務の効率化を支援するクラウドERP「キャムマックス」

出荷業務の効率化を支援するクラウドERP「キャムマックス」

マルチオーダーピッキングを効率的に運用するには、ピッキング作業だけでなく、受注・在庫・出荷情報を正確に管理することも重要です。

クラウドERP「キャムマックス」は、販売管理や購買管理、財務会計に加え、在庫照会、在庫調整、入出荷、在庫移動、棚卸、外部WMS連携など、在庫・倉庫管理に必要な機能を備えています。

これらの機能を活用することで、受注から出荷までの業務を幅広く支援します。

キャムマックスの主な特徴

特徴① バーコード照合によりピッキングミスを防止

ハンディターミナルとの連携に加え、スマートフォンとバーコードリーダーを利用したモバイルピッキングにも対応しています。作業者は出荷指示に沿って商品をピッキングし、バーコードで商品や数量を照合することで、取り違えや数量間違いを防ぎ、出荷作業の精度を高めます。

特徴② 複数拠点の在庫状況を正確に把握

在庫照会では、自社倉庫や店舗、外部委託倉庫など、複数拠点の在庫を一元的に管理します。拠点や在庫状態などを指定して絞り込むことで、「どこに、何が、いくつあるのか」を正確に把握できます。

また、拠点間を移動している商品についても「移動中在庫」として管理できるため、実際には出荷できない商品を在庫として判断してしまうといったミスの防止にもつながります。

特徴③ 受注から出荷までの情報を一元管理

キャムマックスでは、受注情報から在庫、出荷、請求までの情報を一元的に管理します。受注から出荷までの情報をひとつのシステムで管理することで、データの不整合を抑え、正確な出荷業務を実現します。

特徴④ 外部WMSとの連携にも対応

WMSと受注・在庫・出荷情報を連携することで、倉庫での作業状況をキャムマックス側に反映できます。受注から出荷までのデータを一連の流れで管理できるため、3PLなどの外部倉庫を活用した物流体制にも適しています。

このように、キャムマックスは受注から在庫、ピッキング、出荷までの情報を一元管理し、出荷業務の効率化と作業精度の向上を支援します。

この記事を書いた人

下川 貴一朗

株式会社キャム 代表取締役CEO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして株式会社キャムに参画。
その後、2021年9月より取締役COOに就任し、2026年6月より現職。

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