ERPを使い倒して企業や事業の成長・改善ポイントを考えよう!

#ERP#総論・概論#経営管理#業務効率化#システム
ERPを使い倒して企業や事業の成長・改善ポイントを考えよう!

ERPは、企業の基幹業務(販売、購買、生産、在庫、財務会計等)を一元管理し、業務効率化や適時・適切な経営判断等に役立てるシステムです。昨今では安価で利用できるものも増え、ERPは大企業だけではなく、むしろ経営資源の絶対量に限りがある中小企業にこそすぐに始められるクラウドERPを利用し、経営に役立てるべきという考えも認知されてきました。 しかし、ERPを導入している多くの中小企業は、全社レベルの経営効率や意思決定に至るまでERPをフル活用できていないように思います。 今回は、せっかくERPを導入したのであればその利点を活かして、企業や事業が今後も成長していくポイントはどこにあるか?あるいはどこを改善すべきか?といった点について説明します。

なぜ「会計ソフト」ではなく「ERP」が良いのか?

一般的に、既存事業の再構築や新規事業を検討する際には、まず内部・外部環境分析を行い、自社の強み・弱み、機会・脅威となる外部の事象を把握した上で、強みや機会を活かした戦略を取るのか、弱みや脅威を克服・回避する戦略を取るのか等、様々なパターンを整理して基本戦略の方向性を検討します。内部(自社)の分析をする中では定性的な内容だけでなく、定量的な内容もしっかりと理解していく必要がありますが、定量的な分析の代表例が「財務分析」です。財務分析とは、

現在から過去までの数年間(3~5期分が一般的かと思います)の会社の業績、財政状況、資金繰り、つまり損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書といった財務諸表等を比較可能なように整理する。 成長率・利益率・回転率等といった財務指標を計算して推移・トレンドの変化を掴み、また業界平均等を勘案する。 会社の伸ばすべきポイントや改善すべきポイントを検討する。 ということです。

「会計ソフト」や「ERP」を使えば、過去数期分の財務諸表、財務指標がすぐに確認できますので、財務分析のおおよその目的は達成できるでしょう。 しかし、財務諸表は企業活動の集大成・最終結果であって、その過程には日々の販売活動、購買活動、生産活動、在庫・倉庫管理活動といった、企業活動にまつわるヒト・モノ・カネの膨大且つ複雑な取引データが存在するはずです。 財務分析は俯瞰的・網羅的な観点で分析する意味で重要ではありますが、自社の個々の活動に深く入り込み、イシュー(真因)を見つけるにはややざっくりとした分析になってしまいます。 最近は外部とのシステム連携(API連携)やカスタマイズ次第ということもあって、会計ソフトとERPの明確な垣根がなくなりつつありますが、一般的には会計ソフトは財務会計に特化したシステムであり、ERPはその名が示す通り財務会計だけでなく、 そこに行き着くまでの様々な業務を統合して一元管理するシステムです。経営は企業の方向性を示し、全体の管理・指導をしていく最重要レイヤーではありますが、 実際に個々の活動を行うのは現場の方々ですので、現場レベルでのイシューを見つけ、すぐに改善に結びつける意味でも、会計に特化したシステムではなく、基幹業務を統合・一元管理できるシステムを利用した方が良いでしょう。

ERPを使い倒してKGI・KSF・KPIを考えよう!

財務分析等の定量的な分析はあくまで過去から現在の実績に対する分析です。過去から現在の分析をした上で、これからどうなりたいのか?そのためには何をすべきか?といった未来のことを考えなければ何の意味もありません。 ではどうやって未来のことを考えていけば良いでしょうか。 それは「KGI」「KSF」「KPI」を考えることです。KGI・KSF・KPIとは、企業や事業の目的を達成する上で、プロセスごとに何をキーとするかを示す指標です。それぞれの意味は下表の通りです。

指標銘意味
KGI(Key Goal Indicator)重要目標達成指標と訳されます。 企業や事業として、最終的に達成させたい定量的な目標を設定します。売上高
KSF(Key Success Factor)重要成功要因と訳されます。KGIの達成のために、何がその成功要因となるのかを設定します。定量的な表現ではなく、定性的な表現が一般的です。顧客単価をアップ、顧客数をアップ
KPI(Key Performance Indicator)重要業績評価指標と訳されます。 KGI達成のために、何がどの程度まで必要かを定量的に示します。回転率、購買率、オプション数(率)、新規顧客数、リピート顧客数

KGI・KSF・KPIは階層構造で整理すると分かりやすいでしょう。上表ではKGIの代表例である売上高からKSFとKPIを含めて例示しておりますが、売上でなくとも、マーケティング活動におけるKGIはCV(コンバージョン)数になるでしょうし、採用活動におけるKGIは採用数になるでしょう。 企業全体のKGIはほぼ売上高や営業利益等の指標に集約されると思いますが、全体のKGIを理解しつつ、ご自身が所属する組織・部門におけるKGI・KSF・KPIとは何か?を考えることが大事です。

さて、以上がKGI・KSF・KPIについての説明ですが、ここまで説明すれば、なぜ会計ソフトではなくERPが良いのかお分かりいただけるかと思います(繰り返しになりますが、会計ソフトだからといってダメというわけではなく、あくまで財務会計を含む基幹業務が統合・一元管理されたシステムの方が便利という話です)。ERPには財務会計に集約されるまでの一連の取引データが紐づいていますから、KGI・KSF・KPIの検討にはもってこいです。ERPを導入しても利用するのは取引データの入出力だけという状態ならばとても勿体ないことです。大事なのは取引データを使って今後どう改善していくか?将来どういう在り姿でいたいか?を考えることですから、是非ERPを使い倒してほしいと思います。

ただし、一口にERPといっても様々な製品・サービスが世に溢れていますから、自社のビジネスモデルにフィットした管理機能が備わっていることはもちろん、可能であればカスタマイズしなくても標準機能やAPI連携で事足りるERPを選定したいものです。全社的な戦略は、経営陣、幹部クラス、管理部門の方々が考えることが一般的ですが、それがしっかりと現場部門に浸透し、経営と現場が同じ目標に向かって活動していくためにも、ERPを使い倒して全社・部門別のKGI・KSF・KPIを考えてほしいと思います。

まとめ

ERPに限らずシステムは導入したからといって何か良くなるわけではありません。システムは所詮道具に過ぎず、道具を使って成し遂げたい目標をどう実現させていくかを考えることが大事です。経営陣だけでなく現場も含めて、道具であるERPを使い倒して自分達の在りたい姿に少しでも近づけるように考え続けることが、巡り巡って社員、取引先、ひいては社会の幸せにつながるものと考えます。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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