[ウェビナー後日談]中小企業向けERPの設計思想

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[ウェビナー後日談]中小企業向けERPの設計思想

11月9日に開催したウェビナー「中小企業にとっての次世代ERPとは?」では、EDI(データ)マッピング、クラウド帳票、スマホスキャン(フィンガースキャナ×スマホ)という既存のERPの枠にとらわれないソリューションを紹介しましたが、個別のソリューションをご紹介する前に当社が考える中小企業向けERPの在り方について簡単に触れさせていただきました。今回のコラムでは、ERP導入の難しさ、それでもなおERPが必要な理由、そして当社が考える中小企業向けERPの在り方、すなわち当社ERPの「設計思想」について詳しく説明したいと思います。

ERPの導入ハードルの高さはどこからくるのか?

少し前のデータになりますが、中小企業庁の資料(以下、同庁資料)※によると、中小企業がIT(以下、システム)を使っている割合は全業種ベースで6割弱、その内3分の2が給与、経理業務の内部管理業務向けに導入しています。ここからERP等の基幹業務統合システムを使用している割合は全業種ベースで2割程度。依然としてERPの導入が進んでいないことがうかがえます。 また、同庁資料では中小企業がシステム投資を行わない理由として以下を挙げております。

  • システムを導入できる人材がいない
  • 導入効果が分からない、評価できない
  • コストが負担できない
  • 業務内容にあったシステムがない
  • 社員がシステムを使いこなせない
  • 適切なアドバイザー等がいない
  • 個人情報漏えいの恐れがある
  • 技術・ノウハウ流出の恐れがある

特にERPは様々なシステムの中でもカバーする業務範囲が広範かつ複雑になるため、導入に踏み切れない中小企業が一層多いものと推察します。1990年代半ばから2000年代初頭に大企業を中心に起こった「ERPブーム」はERPの導入は自社の業務に合わせて大規模なカスタマイズを行うケースが主流でした。大企業の広範かつ複雑な業務を一元的に管理することが目的だったためです。現在はオンプレミス型からクラウド型の移行が進み、大企業だけでなく中堅・中小企業にもERPが必要であるとの考えが浸透しつつあります。しかし、「ERPといえばカスタマイズ」が当然の意識として残っており、ヒト・モノ・カネといった経営資源に限りのある中小企業に厳しいものがあります。中小企業にERPが普及するには、こうした導入ハードルの高さを解消が必要だと考えます。

※出所:中小企業庁 2017年3月「中小企業・小規模事業者のIT利用の状況及び課題について」P.3より

どうして中小企業にこそERPが必要なのか?

ERPは大企業のためだけのシステムではなく、むしろ中小企業にこそ必要と考えます。その理由として外部環境の急速な変化が挙げられます。厳しい環境下で中小企業は環境に適応し、競合他社との競争に打ち勝ち、サステナブルな事業体とならねばなりません。彼らが有する経営資源や企業体力は大企業以上に限定的であることもERPの必要性の理由として挙げられます。

戦後、ゼロから復興を遂げ経済大国となった日本。高度成長期ではモノを作れば作るだけ売れましたので、企業はこうした外部環境の恩恵を多分に享受し、急速に成長・発展することができました。 しかし現在は状況が全く異なります。モノやサービスが世に溢れ、テクノロジーが急速に進化し、超高齢化社会を迎え、そしてコロナウイルスのような未知の疾病等、唐突に襲い掛かる諸問題が頻発する時代です。こうした時代においては「良いモノやサービスを作れば作るだけ売れるだろう」とか「今まで通りのやり方で問題ないだろう」とか「現状維持でいいよ」等という甘い考えは通用しないことは想像に難くありません。周囲の環境が短期間の内に目まぐるしく変化しているのにその変化をキャッチせず、今の経営ビジョンや経営戦略が潮流に合っているのかをチェックせず、ただ今まで通りに漫然と事業活動を展開していては、現状維持どころか衰退の一途をたどるばかりです。

この認識を持っている競合他社は、既存マーケットのシェアを高める、或いは新たなマーケットを創造しイニシアティブを獲り、サステナブルなビジネスモデル・事業体へと自ら変革すべく、今この瞬間も変化を見極め粛々と活動していることでしょう。活動とは、目の肥えた顧客を満足させるべく、モノやサービス、果ては「コト」や「体験」を満足のいくものとして提供して顧客体験を向上させること、また多様な価値観・考えを持った個々の従業員の働き方にフィットするようテレワーク・フレックスタイム等、労働環境を改善する取り組みをすること、業務面ではシステム化・ペーパーレス化等の改善を図ることで労働生産性を高める、といった内容です。大企業においてもこうした活動は必要であることは言うまでもありませんが、大企業に比して経営資源に限りのある中小企業においてはその経営資源を有効活用してこうした活動に専念するために、企業の基幹的な業務を統合的に管理する仕組み、すなわちERPの導入が必要なのです。

中小企業向けERPに大切な設計思想とは何か?

中小企業にとって、ERPの導入には高いハードルがあること、されど外部環境の急速な変化に対応すべく限定的な経営資源を有効活用するにはやはりERPは必要であることを説明しましたが、こうしたことを踏まえて中小企業向けERPに大切な設計思想とは何か?を考えると、おのずと解を見出すことができるのではないでしょうか。当社が考える解はベンダー側、クライアント側のそれぞれに分けて下記のように整理します。

1. ベンダー側が考えるべき、或いは提供すべきERP

  • システムを導入できる人材が社内いなくとも導入・利用できるシンプルさ、サポートの充実
  • カスタマイズを必要としない機能や連携の充実性
  • 明瞭且つリーズナブルな価格

2. クライアント側が考えるべき点

  • ERP導入の目的・目標
  • 現状の理解
  • 業務にシステムを合わせるのではなく、システムに業務を合わせるという発想の転換(BPRのベストプラクティスがそのままのERPを使うことであるという理解)
  • コストやセキュリティ等の許容範囲を明確化

ERPに限ったことではありませんが、システム・サービスとはあくまでも何らかの目的・目標を達成するための道具・手段に過ぎず、道具・手段の効力を最大限に発揮するためには提供者と使用者の相互理解が不可欠です。提供者は使用者の問題・課題・リスクといったハードルを理解し、これらを解消する要素をシステム・サービスに落とし込む努力が必要ですし、使用者は提供者が提供したシステム・サービスの裏にある設計思想を理解し、また自らの現状を顧み変革する思い切った行動が必要です。こうした相互の努力によってはじめてERP導入のハードルは下がり、導入後に十二分に効力を発揮し、中小企業がより付加価値の高い活動に専念することができ、その結果中小企業、その顧客・取引先、そこで働く従業員、そして地域・社会の皆がハッピーになれる…ということではないでしょうか。

まとめ

ERPは大変便利なシステムですが、通常便利を享受までに様々な関門があり入口で諦めてしまう中小企業がとても多いと感じております。 当社のクラウドERP「キャムマックス」はそうした中小企業にこそ知ってほしい・使ってほしいとの思いで開発されました。 卸売業・小売業では店舗・EC・卸(BtoB取引)といった複数の販売形態をとっていますが、「キャムマックス」であればカスタマイズをすることなく簡単な準備と設定でこれらを一元管理できます。 今後ますます機能や連携を充実し、サポート体制も強化していきますので、業務効率や管理の面で課題・問題をお持ちであれば、是非一度お問い合せ下さい。

この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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