小売業のDXを加速!業務効率化と売上アップを実現する方法やツールをご紹介
近年、小売業界ではデジタル化の波が急速に広がり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっています。
人手不足や業務の属人化、在庫ロスなどの課題を抱える中で、効率化と売上アップを同時に実現するためには、デジタルツールの活用が欠かせません。特にPOSレジ、OMS、WMS、ERPなどのシステムは、販売から在庫、顧客管理までを一元化し、リアルタイムで正確な情報を得ることを可能にします。
本記事では、小売業がDX化を進めるメリットや必要なシステム、導入の成功ポイントをわかりやすく解説します。
目次
小売業のDX化が直面するよくある課題
DX(デジタルトランスフォーメーション)は小売業の競争力を高める有効な手段ですが、導入段階ではさまざまな壁に直面します。
ここでは、特に多くの企業が抱える代表的な課題と、その背景を解説します。
導入コストや運用コストの負担
クラウドやPOS、在庫管理システムなどのDXツールは、長期的にはコスト削減につながりますが、初期費用や月額利用料への抵抗感は根強くあります。特に中小規模の小売店では、短期的な収益圧迫を懸念し、導入判断が遅れるケースも少なくありません。
社内人材のITスキル不足
新しいシステムを使いこなすためには、ある程度のITリテラシーが必要です。しかし、小売現場では専任のIT担当者が不在なことも多く、社員教育や運用サポートが課題になります。これにより、せっかく導入したツールが活用されず、宝の持ち腐れになってしまう例もあります。
既存システムや業務フローとの不整合
古くから使っている販売管理や会計システムとの連携が難しい場合、データ移行や業務プロセスの見直しが必要です。この作業に時間とコストがかかり、現場負担が増加することがDX推進のブレーキになります。
現場スタッフの抵抗感や心理的ハードル
新しいツールや業務フローに対して「慣れた方法のほうが安心」という意識が根強く、導入初期には現場からの反発が起こることもあります。特に接客や販売の現場では、操作習得に時間がかかると業務効率が一時的に低下するため、慎重な運用計画が必要です。
小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
経済産業省のデジタルガバナンス・コード2.0によると、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。
小売業界では現在実店舗だけでなくオンラインショップを取り入れる動きが加速していることから、「データとデジタル技術の活用」は必須となります。
この実店舗とオンラインショップの顧客データベースを統合してマーケティングを行うという概念をOMO(Online Merges with Offline)と呼び、小売業のDXで最も重要な位置づけであると言えます。
小売でDXが重要な理由
デジタル技術を活用することで、在庫管理が効率的に行えるようになります。RFIDタグやIoT技術を利用することで、在庫の状況を可視化し過剰在庫や品切れのリスクを低減することができます。
さらに在庫管理システムなどを導入することで、人手のかかる作業を効率化しミスを減少させることができます。
また、スマートフォンの普及によりオンラインショップを理由するユーザーが増えてきており、顧客はいつでもどこでも商品情報を入手し、購入を検討するようになってきていますので、従来の店舗だけの販売方法では売上を維持していくのは難しくなってきます。
そこで顧客管理はもちろん、在庫管理や販売管理などDX化を進めることで、社内の工数を減らしつつ、顧客との接触を増やし、より個人に合わせたサービスを提供することが重要となります。
推進されるOMO戦略
「OMO戦略」とは、オンラインとオフラインの境界をなくし、両方の良さを活かした新しい小売りの形を目指すものです。たとえば、オンラインで商品を検索・予約し、実店舗で試着や購入をするという顧客の購買行動をスムーズにサポートします。
また、店舗での購入データをオンラインのマーケティングに活用することで、顧客一人ひとりに合わせた情報提供やサービスが可能となります。
競争環境の変化とデジタル技術の活用
デジタル技術の進化により、小売業界の競争環境も大きく変わろうとしています。新しい企業が市場に続々と参入する中、デジタル技術を活用して業務効率を上げるだけでなく、新しい価値を提供することが求められています。
たとえば、AIやビッグデータを利用した顧客分析、VRやARを活用した新しいショッピング体験の提供など、デジタル技術を駆使した取り組みが進められています。
小売業がDX化するとうまれるメリット
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入は、単なる業務のデジタル化にとどまらず、小売業のビジネスモデルや顧客体験を大きく変革します。ここでは、DX化によって得られる代表的な5つのメリットを解説します。
業務効率化と人的負担の軽減
在庫管理、受発注、販売データ集計など、手作業で行っていた業務を自動化することで、作業時間を大幅に短縮できます。
人員不足に悩む小売業にとって、少人数での店舗運営を支える大きな武器になります。
データに基づく正確な経営判断
POSや販売管理システムから得られるリアルタイムデータを活用し、売れ筋商品の分析や需要予測が可能になります。
これにより、在庫の最適化や販促戦略の改善がスピーディに行えます。
顧客体験の向上
顧客データの一元管理により、購買履歴や嗜好に応じたパーソナライズされた接客や販促が可能になります。
結果として顧客満足度やリピート率の向上につながります。
コスト削減と利益率向上
適正在庫の維持や無駄な発注の削減により、在庫ロスや保管コストを削減できます。
また、業務効率化による人件費削減も利益率の改善に直結します。
競争力の強化
DX化により市場変化や顧客ニーズに迅速に対応できる体制が整い、同業他社との差別化を実現します。
新しい販売チャネルやサービス展開にも柔軟に対応可能です。
小売業DXの事例
経済産業省によるDX推進施策として2022年から始まったのが「DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定)」です。
これは、先立って実施されていたDX銘柄やDX認定制度等の対象として大企業が多くなってしまうことから、中堅・中小企業でも参考にしやすい事例を公表し、DX取り組みの活性化を図る施策です。
2022年に選定された企業の中に小売業はありませんでしたが、小売業でも取り入れることができるDXの取り組みを持つ場合もあるかもしれませんので、参照することをおすすめします。
AI技術を活用するコンビニエンスストアの取り組み
近年、コンビニエンスストア業界ではAI技術の導入が進められています。特に、商品の需要予測や在庫管理にAIを活用することで、品切れや過剰在庫を大幅に削減する取り組みが行われています。
また、AIを用いたチャットボット(ローソンの「あきこちゃん」など)を導入し、顧客からの問い合わせ対応や商品情報の提供を自動化することで、効率的な顧客サービスを実現しています。
参考:ローソンのチャットボットは日々10万人が利用 炎上を防ぐ舞台裏:日経クロストレンド
セルフレジの導入とその効果
セルフレジの導入は、小売業界における大きなイノベーションの一つとなっています。顧客は商品を自分でスキャンし支払いを行うことで、レジ待ちの時間を削減することができます。
これにより、店舗の混雑を緩和し顧客のショッピング体験を向上させるとともに、労働コストの削減や業務効率の向上も実現しています。
参考:良品計画、国内「無印良品」の6割にセルフレジ - 日本経済新聞
AR技術を取り入れた店舗体験の向上
AR技術を活用することで、従来の店舗体験を一新する取り組みが進められています。スマートフォンや専用のデバイスを使用して、商品の詳細情報や関連商品の紹介、使用例などの情報をリアルタイムで提供することで顧客の購買意欲を刺激しています。
また、店舗内の商品配置やプロモーションの効果をAR技術を用いてシミュレーションすることで、より効果的な店舗運営を実現しています。
参考:VRやARで変わる購買体験 デパート、モデルハウス… 眼鏡の「バーチャル試着」も<まちビズ最前線>:東京新聞 TOKYO Web
小売業DXにおすすめのツール
小売業DXの課題となるシステムの中でもおすすめのツールをご紹介します。
POSレジ
小売業でもネットショップが無く実店舗だけで運営している場合は特に、POSレジの導入がおすすめです。POSレジは、バーコードなどで商品を読み取り自動的に会計システムへデータを送ってくれるだけでなく、在庫の入荷についてもDXが可能です。手作業で在庫を数えて管理している小売業であれば、POSレジを導入することで時間も人件費も大きく削減できるでしょう。
また、同じ小売業でも実店舗以外にネットショップを運営している場合に、両方のデータを統合させて活用できるので便利です。
OMS
OMSとは、Oder Management System(オーダーマネジメントシステム)の略で、商品の受注から発送までを一括管理できるシステムを表しています。小売業では、販売管理、在庫管理、注文管理などがそれぞれ手作業で行われていて、さらに業務がわかれているとデータの照合や共有が難しくなります。
OMSならアナログからDXも可能な上、まとめて管理できます。
WMS
WMS(Warehouse Management System)もOMSと似たような言葉ですが、OMSが出荷までの部分を担うのに対し、WMSは倉庫内の在庫や物流を管理します。
同じ小売業でも通販を運営しているような場合は、自社に倉庫を持たず自社のシステムとWMSを連携させて使っているケースが多いですが、実店舗しか持たない場合でもWMSは倉庫の管理をDXするのに最適なシステムです。
ERP
ERPとは、もともとEnterprise Resource Planning(企業資源計画)の略ですが、統合基幹業務システムを表す言葉としても使われます。
企業内の人・モノ・金といった資源を効率的に活用するため、データを一か所に集めて管理することができるのが特徴です。
まだDXが全く進んでいないという小売業者はもちろんのこと、社内に様々なシステムがあって使いにくいと感じている場合でも、販売管理や在庫管理から会計まで一つのシステムで対応できるのでおすすめです。
小売業のDXならクラウドERP「キャムマックス」がおすすめ
小売業のDXをどのように進めたらよいのかわからないという企業が多い中、おすすめしたいのはキャムマックスです。
キャムマックスは、このようなDXの進め方がわからないという中小企業のために開発されたシステムなので、至れり尽くせりの機能が使いやすいのが特徴です。
おすすめツールとしてご紹介したPOSレジ、OMS、WMSとの連携はもちろんのこと、経費精算や財務会計などが全てひとまとめに管理できるようになっています。
また、実店舗だけでなくオンラインショップなど複数の拠点を連携させることが可能なため、規模が大きくなってきて手作業では間に合わない場合にもおすすめです。
小売業市場レポートが参考になる
小売業もオンラインストアやキャッシュレス決済などDX化が進んでいます。
コロナ禍より以前と現状とはどのような進化があったのかを資料にまとめています。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。