木材・建材卸売業向け販売管理システムとは?販売・仕入・在庫を一元管理する仕組み
木材・建材卸売業は、建設や住宅産業のサプライチェーンを支える重要な役割を担っています。しかし、その業務は一般的な卸売業と比べて非常に複雑です。品番と数量だけで管理が完結する業種とは異なり、材種・寸法・加工状態によって品質や価格が変わるため、より細かな単位での商品管理が求められます。また、建設現場への直接納品や得意先ごとに異なる取引条件への対応など、流通と情報処理の両面で柔軟な運用が求められます。
こうした業務を正確かつスムーズに進めるには「販売管理システム」の導入が不可欠です。
目次
木材・建材卸売業の特徴
材種・寸法・規格ごとの細かな商品管理
木材や建材は、材種・寸法・規格ごとに区分けし、管理する必要があります。例えば柱材は、以下の組み合わせにより細かく分類されます。
- 材種 (杉・檜など)
- 仕様 (無垢材・集成材など)
- 寸法 (厚み・幅・長さ)
- 等級・品質区分
建設現場ごとに求められる寸法や規格が異なるため、さまざまな仕様を施した木材が倉庫内に混在します。そのため、属性ごとに管理できなければ、出荷時に誤納や欠品が起こりやすくなります。
現場への直接納品と配送調整
木材・建材卸売業では、建築現場や工事現場への直接納品が基本となります。工事の進行状況に応じて搬入タイミングや条件が変わるため、配送調整が業務の大きなウェイトを占めます。
現場納品では、以下のような調整が日常的に発生します。
- 搬入時間の指定 (朝一納品、午後指定など)
- 搬入経路や車両の制限
- ユニック車(クレーン付きトラック)の手配
- 分納や追加納品への対応
さらに、請求先と納品先が異なるケースも多く見られます。同じ得意先でも、案件ごとに納品先や搬入条件、時間帯も都度異なります。こうした現場対応を紙伝票や電話、FAXで処理するには限界があり、受注情報と配送情報を正確に紐付けて管理する仕組みが求められます。
材積計算と複雑な単価体系
木材では「材積 (㎥)」が取引基準となります。1本あたりの材積(厚み×幅×長さ※)に本数をかけて総材積を算出します。
さらに、以下のような要素を踏まえて単価を決定します。
- 加工費や梱包費などのコスト
- 等級や規格による単価の違い
- 固定単価、都度見積、得意先別単価といった価格体系
こうした計算を手作業や表計算ソフトで行なっていると、計算ミスや転記ミスが発生しやすく、見積精度や利益率に影響します。正確な価格設定を実現するには、材積計算の自動化や得意先・規格別の単価履歴管理が必要です。
※丸太の場合は、末口2乗法(末口直径 × 末口直径 × 長さ)で算出します。
得意先ごとに異なる取引条件
得意先は、工務店、ゼネコン、設計事務所、大手ハウスメーカーなど多岐にわたり、それぞれに応じた取引条件が存在します。
具体的には、次のような違いがあります。
- 請求締日:月末締め、20日締め、現場別締めなど
- 支払条件:現金、掛売、手形など
- 納品方法:現場搬入、倉庫引取、委託配送など
- 単価:個別契約、案件ごとのスポット価格、数量割引の有無
- 請求書発行:得意先一括、現場別、担当者別など
例えば、大手ハウスメーカーに対しては全現場の請求を一括処理する一方で、中小工務店とは現場ごとに個別請求を行うといった対応が求められます。また、特定の得意先には単価体系や与信枠が特別に設定されており、こうした条件を正確に処理するには、ルール化された仕組みが必要です。これらの条件は契約書として明文化されていないことも多く、現場担当者や経理担当者の経験則に依存しているのが現状です。
木材・建材卸売業向け販売管理システムとは?
販売管理システムでは、見積作成から入金消込までを、ひとつの取引データとして紐づけて管理します。
- 見積管理:得意先ごとの条件に応じた見積書を作成・管理
- 受発注管理:取引ごとの受注内容や発注データを正確に処理
- 在庫管理:入出荷に連動した在庫数量の自動更新
- 請求・入金管理:取引先ごとの請求書発行や入金消込を効率化
- 売上・利益管理:日次・月次の売上や粗利を可視化
- 顧客・取引先管理:基本情報や取引条件、取引履歴を一元管理
これらの機能をベースに、木材・建材卸売業特有の商慣習にも対応できるよう設計されているのが大きな特徴です。
販売業務を支える機能
①見積作成
材種・寸法・加工条件を組み合わせた商品マスタと、得意先(または案件)別の単価設定を一元的に管理します。
主な機能は以下の通りです。
- 商品マスタに基づく単価の自動計算
- 得意先ごとの契約単価や見積履歴の参照
- 見積書のPDF出力や自動メール送信
- 見積から受注・請求への自動連携
また、加工を伴うセミオーダー品では、裁断残や歩留まりを考慮した原価計算も可能です。単価履歴をもとに精度の高い見積を即座に作成できるため、見積業務の標準化が進み、担当者による価格のバラつきが解消されます。
②受注処理
引当状況や入荷予定を踏まえた在庫の可用性を把握した上で、納期調整を行います。これにより、納期遅延による現場トラブルを防ぎます。
主な機能は以下の通りです。
- 寸法・ロット別の在庫管理
- 在庫不足時の発注書自動作成
- 現場別の受注履歴管理
- 一部納品・分納への対応
在庫確認から納期調整、発注までをワンストップで処理できるため、納期遅延や出荷ミスのリスクを大幅に軽減できます。また、工事現場の進捗に応じた分納や納期変更、複数倉庫に分散した在庫状況を踏まえた柔軟な対応も可能です。
③出荷・納品
受注データに基づいて出荷処理を行うことで、誤出荷や誤納品を防止します。システムによる照合で、目視確認だけでは見落としがちなミスも検知できます。
主な機能は以下の通りです。
- 受注データから出荷指示書・納品書を作成
- 出荷実績に基づく売上計上
- ロット別の出荷履歴を管理
- 納品書の再発行
出荷実績が請求管理に自動反映されるため、物流実績と売上実績の乖離を防ぎ、棚卸精度や原価管理の信頼性を高めます。また、ロット別の履歴管理によりトレーサビリティも確保され、現場からの問合わせにも迅速に対応できます。
④請求・入金
出荷実績や売上データに基づき、得意先ごとの締日条件に沿った請求処理が行えます。月末・月初に集中しやすい請求業務も、自動処理により効率化が可能です。
主な機能は以下の通りです。
- 得意先ごとの締日・請求条件の設定
- 出荷・売上実績に基づく請求データの自動作成
- FBデータの取り込みによる入金消込
- 未入金・差額の自動検出
請求・債権管理の精度が向上することで、未入金や差額を早期に発見でき、売掛金の回収遅延予防につながります。システム化により、請求漏れや入金確認ミスといった財務リスクを大幅に削減できます。
仕入業務を支える機能
①発注処理
受注残や引当状況、入荷予定などを踏まえた発注判断が可能です。これにより、過剰な仕入による余剰在庫や欠品を防ぐことができます。主な機能は以下の通りです。
- 受注データと在庫状況に応じた発注リストの作成
- 下限在庫数の設定 (発注アラート)
- 過去の発注履歴や仕入単価の参照
- 発注残管理と納期遅延の把握
複数拠点に分散された在庫と受注データを一元化することで、全社的な視点での発注判断が可能になります。また、仕入先ごとのリードタイムや取引条件を踏まえた仕入管理により、計画的かつタイムリーな調達を実現します。
②入荷検収
入荷時に発注データと納品書を照合した上で、システムにロット番号を登録します。これにより、トレーサビリティと在庫精度を確保できます。
主な機能は以下の通りです。
- 発注データを参照した入荷処理
- 納品書との照合による検収管理
- ロット単位での商品管理
- ハンディターミナルよる入荷検品の効率化
ロット番号は商品マスタと連動し、以降の出荷処理や在庫移動、棚卸にも紐付けて管理します。すべての工程をシステム上で行えるため、記録漏れや転記ミスを防ぎ、帳簿在庫と実在庫のズレを防止します。
③支払管理
入荷実績をもとに仕入計上を行い、仕入先ごとの条件に沿って支払データを作成します。
主な機能は以下の通りです。
- 仕入先ごとの締日・支払条件管理
- FBデータの作成 (銀行振込用)
- 支払データとの照合による消込処理
- 未払金・支払予定の可視化
入荷・仕入・支払のデータが連動するため、買掛金を正確に管理でき、支払漏れや二重支払のリスクを防止します。また、支払履歴は発注条件の見直しや、仕入先の選定にも活用できます。
在庫・倉庫管理でできること
在庫の可視化と精度向上
材種・寸法・規格・ロット単位での在庫管理が行えます入荷、出荷、移動といった実績に基づいて在庫情報がリアルタイムで管理・更新されるため、常に最新の在庫状況を把握できます。また、受注残や引当状況を考慮することで、実際に販売可能な在庫数が明確になります。
ロケーション管理と倉庫業務の効率化
在庫を保管している倉庫のロケーション(棚番号・区画)を明確に管理します。出荷指示や入荷処理の際に、作業担当者が画面上でロケーション情報を確認できるため、ピッキング効率が向上し、誤出荷を防ぎます。倉庫業務の標準化が進むことで、作業品質の安定化と業務効率の向上を同時に実現します。
倉庫間移動と直送対応
拠点間移送を正確に管理することで、複数倉庫に点在する在庫を効率的に運用し、欠品リスクを軽減できます。また、直送のように自社倉庫を経由しない取引でも、売上計上、仕入計上、請求・支払といった処理が行え、会計処理との整合性を保ちます。
施工業者向け販売管理システムとの違い
木材・建材卸売業向けの販売管理システムは、受発注・在庫・請求といった卸売業務に特化しています。一方、施工業者(工務店や建設会社)向けには「工事管理機能」が搭載されています。
案件ごとの実行予算・外注費・労務費・材料費を一元管理し、材料費と施工費を含めた原価管理や工程管理が行えます。業種によって求められる機能が異なるため、自社の業務に合ったシステムを選ぶことが重要です。
木材・建材卸売業の販売管理や在庫・倉庫管理もおまかせ!クラウドERP『キャムマックス』

クラウドERP「キャムマックス」は、販売管理や在庫・倉庫管理を中心に、購買管理、生産管理、財務会計までを一元管理することで、部門間の連携をスムーズに行いますまた、倉庫管理システム(WMS)とのデータ連携に対応しており、外部委託倉庫も自社倉庫と同様に管理が可能です。社内外を横断した情報共有により、供給ミスや二重出荷のリスクを減らし、スピードと正確性を両立した業務運用を支援します。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。



