
繊維業向け販売管理システムとは?受注から出荷までを一元管理する仕組み
繊維業は、原料の調達から生産、在庫、出荷、請求まで、幅広い業務が発生します。また、業界特有の商慣習や管理項目も多く、業務が複雑になりやすいという特徴があります。こうした業務を紙や表計算ソフトで管理していると、情報の分散や集計の手間が生じやすくなります。これらの課題を解決する手段のひとつが、「繊維業向け販売管理システム」の導入です。
本記事では、繊維業における販売管理の基本から、システムの主な機能や導入メリットについて詳しく解説します。
INDEX
繊維業における販売管理とは?
繊維業における販売管理では、受注情報を起点として、原料の調達、生産、出荷、売上、請求までの業務を一元的に管理する必要があります。また、取引先から原料を預かり、加工だけを請け負う「賃加工(受託加工)」も繊維業界では広く見られます。どちらの場合も、受注から出荷までの進捗を把握しながら、売上計上や請求業務を行います。
繊維業における販売管理では、主に次のような業務を管理します。
管理項目 | 内容 |
|---|---|
受注・契約管理 | 受注、納期、取引条件 |
発注・仕入管理 | 原料の発注、仕入進捗 |
在庫管理 | 原料・仕掛品・製品の在庫状況 |
生産管理 | 生産指示書の作成、進捗管理 |
加工賃管理 | 加工実績、加工賃の請求 |
売上・利益管理 | 売上実績、利益率 |
請求・入金管理 | 請求書発行、入金処理 |
特に、紡績、撚糸、織布、編立、染色など、それぞれの工程を専門とするメーカーでは、自工程の遅れが取引先の生産計画や納期に影響します。そのため、進捗状況をリアルタイムに把握し、遅延が発生した際にも迅速に対応できる仕組みが求められます。
よくある業務課題
情報が部門ごとに分散し、転記作業が発生する
繊維業では、受注から原料調達、生産、出荷までの業務が複数の部門にまたがって進みます。しかし、部門ごとに異なるシステムやソフトを利用している場合、同じ内容を何度も転記する作業が発生します。
その結果、入力ミスや更新漏れが生じやすくなるだけでなく、部門ごとに情報の整合性が取れず、受注状況や生産状況を正確に把握しにくくなります。
紙・表計算ソフトによる生産管理ではラグが生じる
繊維業では、生産実績をもとに在庫や出荷予定を管理するため、生産状況をタイムリーに把握することが重要です。しかし、生産実績を紙や表計算ソフトで管理している場合、現場の状況をリアルタイムで反映することが難しく、生産進捗はもちろん、原料在庫・仕掛品・製品の在庫数が実態と一致しなくなります。
その結果、状況に応じた出荷予定の見直しや納期調整が難しくなります。
管理単位が異なり、在庫管理が複雑になる
繊維業では、原料から製品まで、それぞれに適した単位で在庫を管理する必要があります。原料は「kg」、製品は「m」や「反※」といったように、工程によって管理単位が異なることも珍しくありません。
※反:生地をロール状に巻いた管理単位。生地の種類によって長さが異なる。
そのため、在庫数量の換算や集計が複雑になり、手動による管理では入力ミスや計算ミスが発生しやすくなります。
繊維業向け販売管理システムについて
繊維業向け販売管理システムは、業界特有の商慣習や管理項目に対応し、受注から出荷、売上、請求までの業務を一元管理できるシステムです。
ここでは、主な機能について紹介します。
機能① 受注・契約管理
受注・契約管理は、受注内容や納期、契約条件などを一元管理する機能です。登録した受注データは、生産管理などの後続業務でも活用できるため、業務全体の効率化につながります。また、受注残や納期を適切に管理することで、受注ごとの進捗を把握できます。
主な機能
- 受注情報の登録・管理
- 契約条件の管理
- 納期管理
- 受注残管理
機能② 発注・仕入管理
発注・仕入管理は、原料の調達から仕入実績までを管理する機能です。受注情報や生産計画、在庫状況をもとに、必要な原料の発注および入荷状況を管理します。また、一括発注だけでなく分納にも対応し、未入荷分も含めて発注残を把握できます。
主な機能
- 原料の発注管理
- 仕入実績の管理
- 発注残管理
機能③ 在庫管理
在庫管理では、原料・仕掛品・製品などの在庫を反番(ロット)単位で管理します。kg・m・反といった複数の単位を併用管理でき、単位ごとの換算にも対応します。また、受託加工を行う企業では「預り原料」を自社在庫と区別して管理することが可能です。
主な機能
- 複数単位・単位換算の対応
- 原料・仕掛品・製品在庫の管理
- 自社 / 預りなどの区分管理
機能④ 生産管理
生産管理機能では、受注データに基づき生産計画を立案します。必要な原料の所要量を算出し、生産指示書を発行することで、生産に必要な情報を一元管理できます。また、配台管理システム※との連携も可能です。
※配台管理システム:織機などの設備ごとに、作業割当を管理するための専用システム。
さらに、現場から収集した生産実績を取り込むことで、原価管理や生産進捗を把握します。
主な機能
- 生産計画の立案・所要量の算出
- 生産指示書の発行
- 配台管理システムとの連携
- 原価管理・生産進捗の把握
機能⑤ 加工賃管理
受託加工を行う企業向けに、加工内容や加工数量に応じた加工賃を算出・集計する機能です。算出した加工賃は請求データとして活用できるため、手作業による集計負荷を軽減するとともに、請求業務の効率化や計算ミスの防止につながります。
主な機能
- 加工賃の自動集計
- 加工実績の管理
- 取引先・案件別の管理
機能⑥ 売上・利益管理
出荷実績や生産実績、原価をもとに売上・利益を算出する機能です。製品別・取引先別・期間別に利益を把握できるため、製品や取引先ごとの採算性を分析し、販売単価の見直しなどに活用できます。
主な機能
- 売上実績の集計
- ロットごとの原価算出
- 製品・取引先別の利益把握
機能⑦ 請求・入金管理
請求・入金管理は、売上データに基づき請求業務から入金確認、売掛金までを一元的に管理します。取引先ごとの締日や請求条件に応じて請求書を発行できるほか、入金消込や売掛金残高の管理にも対応しており、債権管理の効率化につながります。
主な機能
- 請求書の作成
- 入金消込
- 売掛金管理
生産実績データを活用してできること
販売管理システムに生産実績を取り込むことで、原価や生産進捗の管理が可能です。ここでは、現場の実績データの活用例について解説します。
ロット別の原価管理
生産実績を取り込むことで、原料の使用実績や仕入データなどをもとに、ロット別の原価を管理できます。特に、繊維業では原料価格の変動や、加工による目減り・目上がりの影響により、同じ製品でもロットごとに原価が変動します。ロット単位で原価を管理することで、原価変動の要因を分析しやすくなります。
仕掛品の在庫把握
完成品だけでなく、生産途中の仕掛品についても在庫の状況を把握できます。繊維業では、原料を投入してから製品として完成するまでの間に、仕掛品が発生します。生産実績が登録されるたびに、原料在庫・仕掛品・完成品の在庫数が自動的に反映されるため、区分ごとの管理が可能です。
これにより、必要な原料の追加発注や生産計画の見直しも、リアルタイムに判断できます。
生産進捗の可視化
取り込んだ生産実績をもとに、指示書ごとに投入数量、生産数量、完成数量、不良数量などの実績を管理できます。これらの実績データに基づき、進捗率や未完成数量、完成予定数量を把握できます。また、システムで一元管理することで、部門間の情報共有がスムーズになり、情報の齟齬を防ぐとともに、属人化の解消につながります。
販売管理システムを導入するメリット
原料調達から製品出荷までの一元管理
販売管理システムでは、生産計画に基づく原料の手配から、生産実績、在庫、出荷実績までを一元管理します。工程ごとの転記や入力ミスを防ぎながら、受注から出荷までの進捗を一連の流れで管理できます。
また、原料投入から完成品までのトレーサビリティをロット単位で確保できるため、品質トラブル発生時の原因調査や対象製品の特定をスムーズに行えます。
納期管理・生産計画の精度向上
販売管理システムでは、生産指示書ごとの予定・実績を照らし合わせることで、案件ごとの進捗を正確に把握できます。計画と実績の差異もリアルタイムで確認できるため、受注状況に応じた柔軟な生産計画を立てやすくなります。結果として、取引先からの信頼獲得にもつながります。
複数拠点をまたいだ生産・在庫管理の最適化
販売管理システムでは、工場ごとの生産・在庫・出荷実績を一元管理できます。各拠点の情報を把握できるため、生産調整や在庫融通を行いやすくなります。
また、中国やタイ、インドネシアなど海外に生産拠点を持つ企業においても、国内拠点と同じ精度でデータを管理できます。拠点間の管理レベルを均一に保ち、全社的なガバナンスの強化にもつながります。
繊維業をサポートするクラウドERP『キャムマックス』
生産実績データを活用した原価算出、受託加工における加工賃の管理、ロット単位でのトレーサビリティの確保―。繊維業には、こうした複雑な業務要件に対応したシステムが求められます。
クラウドERP「キャムマックス」は、繊維業に必要な販売管理機能をはじめ、生産管理、在庫・倉庫管理、財務会計といった基幹業務を一元管理し、現場の効率化と経営判断の迅速化を支援します。
主な機能と特徴
在庫・倉庫管理
原料・仕掛品・製品の在庫をロット単位で管理します。また、受託加工で預かった原料を自社在庫と区別して管理することも可能です。
販売管理
受注から売上・請求までを一気通貫で管理します。取引先ごとに異なる締日や請求条件、受託加工における加工賃の管理にも対応します。
購買管理
生産計画や在庫状況をもとに、原料の発注業務を支援します。一括発注だけでなく分納にも対応し、発注残を継続的に管理します。
生産管理
受注データに基づき生産計画を立案して、必要な原料の所要量を算出します。また、生産実績を取り込み、原価管理や生産進捗を管理します。
財務会計
売上・請求データと財務会計を連携することで、経理業務の転記ミスをなくし、正確な財務情報をリアルタイムで管理します。
API・CSV連携
既存の外部システムとのAPI・CSV連携にも対応し、外部システムと組み合わせた柔軟な運用を実現します。
この記事を書いた人

株式会社キャム 代表取締役CEO
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして株式会社キャムに参画。
その後、2021年9月より取締役COOに就任し、2026年6月より現職。






