未入金の原因は債権管理にあり?入金消込を効率化してトラブルを防ぐ方法とは
「請求書を出したのに入金がない」「担当者の確認ミスで未回収が発覚
こうした債権管理のトラブルは、経理担当者にとって身近なものかもしれません。特に中小企業では、限られた人員とアナログ管理に頼っているケースが多く、請求書のだし忘れ、入金があったかの確認などが煩雑になってしまい会社のキャッシュフローに大きな影響をもたらす可能性があります。
本記事では、未入金が起こる原因を探りながら入金消込を効率化する方法や、債権管理を強化するために役立つ仕組みについて詳しく解説します。債権管理の見直しは、キャッシュフローの安定とトラブル防止の第一歩です。
目次
未入金トラブルが発生する背景とは?
企業にとって「売上が立ったのに入金されない」という事態は、資金繰りに直結する深刻な問題です。特に中小企業では、債権管理の仕組みが整っていないことが原因であることが少なくありません。
例えば、請求ミスや入金確認の遅れや担当者ごとの管理方法の違いなど要因はさまざまです。こうした問題は「支払いが遅れるのは相手の都合」と思われがちですが、実は社内管理の不備が原因であることも多く未然に防ぐ体制づくりが重要です。
なぜ未入金が起こるのか?よくあるケースとその仕組み
未入金が起こる主な原因には、請求書の送付ミス、取引条件の認識違い、与信管理の甘さなどがあります。また、月末締め・翌月末払いなどの支払条件を相手先が守らない場合でも、こちらで適切に追跡できていなければ、気づかないまま資金回収が遅れてしまいます。
特に紙の請求書やFAXなど、アナログな運用をしている企業では、記録の抜けや確認漏れが起きやすくなります。
経理現場で見落とされがちな債権管理の盲点
経理担当者は日々多くの請求・入金処理に追われており、債権の状況を一覧で管理する仕組みがないと、未入金に気づくまでに時間がかかることがあります。
また、顧客ごとに支払条件や請求フローが異なる場合は、担当者の経験や勘に頼った対応になりやすくミスや属人化のリスクが高まります。債権管理の基本は「見える化」にあり、リアルタイムで状況を把握できる体制が求められます。
債権管理の重要性
債権管理で一番重要なのは、期日までに取引先から入金をして頂くということです。
何かの理由により取引先が入金をしてくれないとなると、売掛金の規模にもよりますが、自社の資金繰りに直結して影響が出てしまうこともあります。
また売上があがっている安心感からつい債権管理を疎かにしてしまい、利益が出ているのに債権回収が出来ず黒字倒産という最悪なパターンもあります。
それくらい債権管理は経営への影響度が大きい業務なのです。
会社が健全に経営を続けていくためには、期日通りに売掛金を回収すること、与信に問題がありそうな企業との取引はしないことなど、債権管理業務の与信チェックは超重要事項なのです。
債権と債務の違い
簡単に説明すると、債権は企業が受け取るべきお金のことであり、債務は企業が支払うべきお金のことを指します。
「債権」とは、企業が提供した商品やサービスに対するお金を受け取る権利を指します。
これは通常、商品やサービスの提供後に発生します。
一方で、「債務」とは企業が他の人や会社に対して支払わなければならないお金のことで、これは通常、商品やサービスを受け取った後に生じます。
未入金トラブルを防ぐ「債権管理業務」とは?
債権管理とは、売上に対してまだ入金されていない金額(売掛金)を適切に把握・管理し、確実な回収へとつなげるための一連の業務です。企業のキャッシュフローを健全に保つために欠かせない業務であり、特に掛け取引が中心となるBtoB企業にとっては重要度が高い分野といえます。
債権管理が不十分だと、未回収債権が増えて資金繰りが悪化する恐れがあります。黒字倒産と呼ばれるように、利益が出ていても手元資金が不足して倒産に至るケースもあります。
こうしたリスクを避けるには、債権の発生から回収までを可視化し、タイムリーに状況を把握・対応できる体制づくりが不可欠です。
債権管理業務の課題・難しさ
債権管理業務を円滑に行うには、情報管理能力の高い人材が求められます。
しかしながら大事な部門だとわかっていても、経営者からするとそこに多くの人件費をかけることができない事情があり、会社としても難しい判断になでしょう。
日常的に売掛金と入金を結びつける作業を行っていくので、複数拠点展開をしていたり取引先が多いと担当者が多忙になり、確認ミスも起きやすくなります。
その結果、未入金の取引先が出ても気づくことができず、数ヵ月間未入金のままになってしまうという状態が発生してしまいます。
債権管理の基本的な流れ
債権管理は、取引前の「与信管理」から始まり、商品やサービスを提供後の「請求書発行」、そして「入金確認」「入金消込」「督促」などへと進んでいきます。
各ステップでの確認や記録が曖昧になると、未入金が発生しやすくなるため全体の流れを通して管理する視点が必要です。
与信管理・与信チェック
まずは、契約前に取引先の与信を確認します。
調べ方としては帝国データバンクやTSRなどを利用し、その上で取引金額の上限を設定致します。
取引条件を満たさない場合は、前金での取引をお願いする場合などもあります。
債権管理表を作成
取引が決まった後は、その取引先の企業情報、契約内容をまとめます。
売掛金元帳ともいい、請求先に対して請求日がいつなのかなどの請求漏れなどを防ぐ為に用います。これには売上明細なども記載します。
請求書の作成・発送
上記の管理表を元に請求書の作成、発送を行います。
入金の確認、未入金の場合
取引先が期日までに入金しているかどうかの確認を行います。入金していれば消込を行い、未入金であれば催促を行います。
そして、取引先の対応次第では書面やメールで催促状を送ります。それでも反応がない場合は、もう一段階強い督促状を送ります。
未入金を防ぐために有効な管理方法をご紹介
未入金トラブルを減らすには、日々の請求・入金状況をタイムリーに把握し、管理体制を見直すことが第一歩です。
多くの中小企業がExcelやスプレッドシートで債権管理を行っていますが、取引が増えるほどミスや遅延が起こりやすくなります。今では、企業の規模や業種に合わせて選べる管理手段が多様化しており、それぞれの特徴を理解したうえで導入を検討することが重要です。
Excelやスプレッドシートによる管理の限界
Excelやスプレッドシートでの管理方法は、手軽で柔軟性が高い一方、誤入力や数式ミスが起きやすく、複数人で同時に管理する場合にはバージョン管理が煩雑になり、情報の食い違いが発生することもあります。
また、取引先が増えるほど管理項目が複雑になり、見落としや更新漏れが頻発する傾向にあります。
債権管理ができるシステム導入のメリット
債権管理が可能なシステムを導入することで、請求情報と入金状況を自動で連携・照合し、リアルタイムに債権のステータスを把握できます。
入金予定日を過ぎた債権に対して自動アラートを出す機能や、督促状の自動作成などにより、トラブルを未然に防ぐことができます。さらに、データが一元管理されることで、属人化を防ぎ、組織全体での情報共有もスムーズになります。
代表的なものであれば、会計ソフトやERPシステムになります。
債権管理ができるシステムを利用するメリットや特徴
債権管理業務の効率化
ERPシステムや会計ソフトを活用した債権管理は、データを一元化することで可視化ができ、未回収リスクを大幅に削減できます。
主に、売掛金の追跡、請求書の自動生成、入金の監視(アラート)といった機能があります。
さらに、リアルタイムに情報が確認できるので、未回収の債権があればアラートで知ることができ即座に対処できます。このように、システム化することで債権管理の業務が効率化され、企業の財務健全性を維持するのに貢献します。
ERPシステムなら幅広い企業ニーズに合った機能を提供
企業の特定のニーズに合わせたシステムを選択することも重要です。
例えば、国際取引を行う企業は、多通貨対応の債権管理機能が必要です。また、仕入管理や在庫管理と連動した一元管理をしたいなど、企業ニーズはさまざまです。
ERPシステムの場合は、このような企業の規模、業界、取引の複雑さに応じてシステム内の特定の機能をカスタマイズすることが可能です。
適切な機能を選ぶことにより、債権管理プロセスだけでなく企業の資産状況を把握し管理するのにも役立ちます。
イレギュラーな入金にも対応
クレジットカードの期限切れや入金額の誤り、あるいは取引先の入金忘れなどさまざまな理由でイレギュラーな入金が発生する可能性があります。こうした場合、銀行振込・クレジットカード・口座振替・コンビニ決済など、多様な決済手段に対応しているシステムがおすすめです。
また、登録情報から入金名義や金額が一致しない場合(また入金確認が取れない場合)には自動消込機能が正常に動作しませんが、イレギュラーな入金を受け付け手動による消込を一度行えば、システムが自動的に学習し以後スムーズに対応できるといったものあります。
キャムマックスなら効率的な債権管理で未入金が防げる!
未入金を防ぐために債権管理業務は非常に重要なものですが、一口に債権管理といっても業務内容は多岐にわたり、高い情報管理能力が求められます。
そんな債権管理はITを活用するのが業務効率化のカギです。
具体的な方法としては、エクセルやGoogleスプレッドシートで表を作って管理するほか、会計システムやERPシステムを導入する方法があります。
なかでも、ERPシステムにはさまざまな機能があり、社内全体の業務効率化に活用できるためおすすめです。
クラウドERP「キャムマックス」では、会計ソフトの機能同様の請求書の作成などはもちろん、請求先ごとに抽出や集計が簡単に行えます。
購買管理機能が付いているので、請求先と同様に支払先ごとの抽出や集計が可能です。
さらに、さまざまな決済サービスとも連携しており、その中には代金を立替払いし未入金の保証まで行っているサービスもあります。
これによって未入金リスクをゼロにし、キャッシュフローを改善することもできます。
債権管理についてよくある質問
債権と債務の違いは?
簡単に説明すると、債権は企業が受け取るべきお金のことであり、債務は企業が支払うべきお金のことを指します。
「債権」とは、企業が提供した商品やサービスに対するお金を受け取る権利を指します。これは通常、商品やサービスの提供後に発生します。
一方で、「債務」とは企業が他の人や会社に対して支払わなければならないお金のことで、これは通常、商品やサービスを受け取った後に生じます。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。