一元管理システムとは?ECサイト運営の業務効率が一気に改善
企業にとって、情報は経営に関わる重要な資源です。情報を一元管理することで、プロセスの合理化や業務の効率化を図ることができます。
今回は、情報の一元管理の意味と重要性を探るとともに、すぐに実践できる方法をご紹介します。
一元管理とは?
「一元管理」の言葉の意味を辞書で調べると、「一か所でまとめて管理すること」となっています。ビジネスの場では、「ソフトやシステムなどを使って統一的に管理すること」と言い換えられます。それならば、「一括管理」と同じでは?という疑問が出てくるかもしれませんが、「一元管理」はバラバラの状態にあったものを一か所にまとめるイメージ、「一括管理」は各部署で管理していたものをまとめて管理するイメージで、違いがあります。
一元管理システムとは?
一元管理システムとは、複数の業務やシステムを一つに統合し一括で管理するシステムのことを指します。
例えば、複数のECサイトや店舗で販売している商品の在庫管理や受注管理を一元的に行うことができます。
近年、ネットショップなどのECビジネスの急速な発展により、多数の業務やシステムを一つの場所で統合して管理する必要性が高まったことで、一元管理システムの需要が増えてきています。
ERPとは?
近年一元管理は、英語のEnterprise Resources Planningの頭文字をとった「ERPシステム」と呼ばれ、耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このERPという言葉は、1990年代にアメリカのコネチカット州にあるITコンサルタント会社が作り出したものですが、日本語では統合基幹業務システムとも呼ばれます。
このERPは、ヒト、モノ、カネといった経営資源の有効活用を目指す概念のことで、この概念に基づき作られたシステムが、今日までに世界中に広がったわけです。
一元管理システムのメリット
一元管理システムのメリットは多数あるのですが、大きくまとめると以下の3つになります。
- 業務の効率アップ
- リアルタイムのデータ活用
- 未来予測が可能
一元管理システムの導入最大のメリットは、何と言っても時間とコストの削減です。
今まで別々に作成していたデータを一か所にまとめることができ、しかも連携しており、さらに、リアルタイムで共有できるため、時間差なく確認することができます。
一つの注文に紐づいた内容が瞬時に確認できるため、各部署を回る必要もなくなりますし、計算時やデータ照合の際のミス、担当者ごとのバラつきなども無くなり、時間短縮となります。
また、一元管理だと、従来であれば商品の受注を受けた後、出荷作業までの間に発生していた様々な作業が自動で行われるため、人件費が削減できます。
日々データが蓄積されていくことで、売上予測をはじめとする未来の状況についても知ることができるため、前もって準備をすることも可能です。
一元管理システムのデメリット
一元管理システムの導入により、様々なコストが削減できる半面、システム自体の費用もデメリットとして考える必要があります。
多くの業種で使用できるシステムが増えてきてはいますが、各企業に合わせた細かなカスタマイズは難しいという点もデメリットと言えるでしょう。
また、使い方は簡単とは言え、会計を始めとし、営業秘密などが含まれる大事なシステムですから、セキュリティについてもしっかり対策する必要があります。
ECサイトに便利な一元管理システムの主な機能
一元管理システムには、在庫管理や受注管理などの基本的な機能に加え、顧客管理や売上管理、発注管理などの高度な機能も含まれています。
また、クラウド型やオンプレミス型などの種類をはじめ、オープンソースのフリーソフトウェアを利用したり自社専用として開発するスクラッチや汎用性のあるパッケージタイプなどがあります。
それぞれに特徴がありますので、自社のネットショップ運営に合ったものを選択する必要があります。
それでは一元管理システムの主な機能についてご紹介します。
在庫管理機能
販売しているチャネルの全商品の在庫情報を一元管理。欠品のリスクを減らすことができます。
受注管理機能
全チャネルの注文情報を一元管理し、受注処理を効率化することができます。
商品管理機能
商品登録や価格設定の変更をすると全チャネルに反映するので、商品管理を効率的に行うことができます。
売上管理機能
全チャネルからの売上情報を一元管理し、売上の分析や精算処理を効率化することができます。
メール管理機能
全チャネルからの注文や問い合わせに対するメールの管理を一元化し、迅速かつ適切な対応を行うことができます。
物流管理機能
配送業者との連携や発送情報を一元管理し、配送プロセスを効率化することができます。
リアルタイムで管理状況がわかる
一元管理システムには、売上や在庫のリアルタイムな管理・把握ができるというメリットもあります。
例えば、ECサイトから注文が入ると、在庫数が自動的に更新され、在庫数が足りなくなった場合は自動的に発注依頼がされるようになっています。
このようなリアルタイムな在庫管理は、在庫切れや売り過ぎなどのトラブルを未然に防ぐことができ、顧客満足度の向上につながることが期待できます。
中小企業向けに導入実績のある一元管理システム
中小企業にとって業務効率化やコスト削減を実現するために、一元管理システムの導入は大きなメリットがあります。
以下では、中小企業向けに導入実績のある一元管理システムをご紹介します。
CROSS MALL
「CROSS MALL」は、複数のネットショップを運営する際に必要となる業務を一元管理できるASPソフト。具体的には、商品登録、在庫管理、受注管理、発注、仕入れなどの業務を統合的に行うことができます。
商品ページの一括登録機能も備えており複数のサイトに同時に商品情報を登録することができます。
また、「BASE」との受注・在庫・商品連携にも対応。価格は初期費用は無料、月額費用5,000円から利用でき利用するサイトの数や機能によって異なる料金プランが用意されています。
ネットショップ管理者の目線から見ると、CROSS MALLは複数のショップの管理を一元化できるため業務の効率化が図れます。
また、商品ページの一括登録機能があるため複数のサイトで同じ商品を販売する場合でも、商品情報の登録作業を簡略できます。
さらに、利用料金も比較的低めのため小規模なネットショップでも利用しやすいと言えます。
TEMPOSTAR
「TEMPOSTAR」は、複数のECモールや自社ネットショップの受注・在庫・商品を一元管理することができる一元管理システムです。
主な機能としては、「受注管理」「商品管理」「在庫管理」があり、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピング、ヤフオク!などの複数モールから自社ネットショップまで一元管理することが可能です。
在庫管理機能には自動連携機能があり、5分間隔で在庫数の調整が可能です。
また、店舗運営の業務を大幅に効率化できることが利点の一つで初期費用が0円、月額費用基本料金10,000円〜で利用できるためコストパフォーマンスにも優れています。
TEMPOSTARの外部連携機能については、柔軟なシステムカスタマイズができ運用に合わせたシステムが構築できることが特徴的な管理システムです。
以上のように、TEMPOSTARは複数のECモールや自社ネットショップの受注・在庫・商品を一元管理することができ、自動連携機能やコストパフォーマンスの高さに定評があります。
GoQSystem
「GoQSystem」は、ネットショップ・ECサイトの通販業務を一元管理するクラウド型システムです。
受注業務、商品登録、在庫連携、出荷業務、売上・収支管理などの機能があり、ネットショップ管理者にとって通販業務の効率化やコスト削減につながります。また、ECモールやカートなど各種プラットフォームと連携。複数のネットショップを一括で管理できるため、作業効率の向上が可能です。
在庫管理機能では在庫数管理、入出庫処理、欠品アラート、予約在庫管理などの機能が、そして受注管理機能には注文受注管理、顧客管理、受注自動メール通知機能、住所・配送先の複数登録、受注データCSV出力などがあります。売上・収支管理機能には決済管理、銀行振込管理、税金管理など細かい項目を完備しています。
その他、ヤマト運輸のピック&デリバリーとの出荷連携や、クラウドPOSレジのスマレジとの在庫連携にも対応しています。
Webアプリケーションとして提供されておりますので、スマートフォンでも利用可能となっておりネットショップ管理者にとって有用なツールとなっています。
アシスト店長
「アシスト店長」は、受注管理・在庫管理・顧客管理などのEC運営に必要な機能を一元管理できるシステムです。
複数のECモール出店時にも対応しており、大手ECモールや複数のカートと連動して受注の自動化が可能。
CRM機能が実装されており、サンクス・発送完了・フォローメールの自動送信、顧客状況を管理・分析してメールを差し込み送信できるなど顧客リピーター化を推進するための機能も充実しています。
料金プランは、利用したい機能ごとに設定がされており初期費用0円、月に400件までなら月額10,000円、それ以降は件数が増えるごとに加算される仕組みとなっています。
助ネコ
「助ネコ」は、複数のネットショップやECサイト、モール(通販サイト)と実店舗の受注管理、在庫管理、商品登録を一元管理できるクラウド型の一元管理システムです。
初期設定が最短10分という簡単な操作性 で、見た目にもわかりやすい管理画面を備えています。
受注情報を修正することができる機能や、オンオフの設定ができる機能を備えた「ベーシック版」「Plus」「Premium」の3つのプランがあり、自店舗の使い勝手に合わせて選択することができます。
また、在庫数を自動連携することができ、楽天、Yahoo!、Amazon、Qoo10など複数のネットショップで使用している商品コードがバラバラでも問題ありません。
さらに期間限定利用ができる高速化オプションにより、繁忙期の在庫切れ商品に注文が入ってしまうリスクを回避することができます。
現在「助ネコ」では30日間の無料プランを提供中です。
利用したい機能ごとに料金プランが異なるため、システム導入を検討する際には各プランを検討することがポイントです。
タテンポガイド
「タテンポガイド」は、ネットショップやECサイトの受注や在庫、顧客などを一括管理できます。
複数ECサイトの運用を改善・効率化するために導入されることが多く、各種モールや独自仕様にも対応しています。
「受注管理」「在庫管理」「商品登録」など様々な機能が備わっており、ネットショップの運営を効率化することができます。
受注管理機能では、受注情報の「一元管理」「自動受注処理」「顧客情報管理」などが可能です。
在庫管理機能では、複数のECモールで同じ商品を販売している場合に受注状況を自動的に取得し、在庫数の自動更新を商品ごとに行えます。
初期費用がかからず3カ月の無料体験に対応しているため、じっくり検討できるのも魅力的です。
また、メール共有・管理機能を備えており、スタッフのコミュニケーションの改善にも役立ちます。
クラウドERPシステム『キャムマックス』ならECサイト運営に必要な在庫管理や受注管理や出荷管理も一元管理
キャムマックスはECサイト管理にあったら便利な「倉庫管理」「在庫管理」「販売管理」が搭載されたクラウド型ERPシステムです。クラウド型なので、インターネットさえあればどんな端末でも利用することができ、リアルタイムで在庫状況は販売状況が把握できます。
また、Shopifyやメイクショップやカラーミーショップなどのカートシステムや、楽天、Yahoo!ショッピング、AmazonなどのECモール、POSレジ、WMSなどとAPI連携が可能ですので一つの管理画面で全てを管理することが可能です。
一元管理システムの選び方について
いくつもある一元管理システムの中でどの製品を選べばよいか迷うところです。そこでどういった部分に注目して選択すればよいかをご紹介していきます。
導入する前に考慮すべきポイント
導入前に考慮すべきポイントとして、以下が挙げられます。
自社の業務内容に適した機能があるかどうかを確認する
一元管理システムには、受注管理や在庫管理、出荷処理、顧客管理などの機能があります。自社の業務内容に合わせて必要な機能を確認しましょう。
予算内で導入可能かどうかも確認する
初期費用や月額費用だけでなく、カスタマイズやメンテナンスにかかる費用も含めて検討しましょう。
導入後の使い勝手やカスタマイズ性については、デモや無料トライアルを利用して実際に操作して確認する
システムの場合、ホームページや資料請求しただけではわからない部分があります。
そこでいきなり製品を購入するのではなくトライアルを申込したり、デモ環境を準備していただくことで実際に操作し、操作性であったり、機能が足りない部分などがわかりますので本契約する前にかならずクリアにしておきましょう。
セキュリティやバックアップ体制についても確認
顧客情報や取引履歴など重要な情報を扱うため、しっかりとしたセキュリティ対策が必要です。
以上のポイントを踏まえて、自社に最適な一元管理システムを選びましょう。
選定のポイントや比較検討方法
一元管理システムを選定する際には、以下のポイントを抑えて比較検討を行うことも大切です。
機能性
一元管理システムには、在庫管理や受注管理、売上管理など、様々な機能があります。自社の業務に合わせた必要な機能が含まれているかを確認し、必要な機能が追加できるかを確認しましょう。
操作性
システムの使いやすさも重要です。導入前にデモやトライアルを行い、ユーザビリティが高いかどうかを確認することが大切です。
セキュリティ
重要な情報やデータを扱う一元管理システムにおいては、セキュリティにも十分に注意する必要があります。適切なセキュリティ対策が取られているかどうか確認しましょう。
コスト
導入費用やランニングコストなど、コスト面も比較検討する必要があります。選定したシステムが予算内であるかどうかを確認しましょう。
導入後のサポート体制
一元管理システムの導入後にトラブルや不具合が発生した場合や、システムのアップデートや改善のためのサポートがあるかどうかも確認しておくことが大切です。
以上のポイントを比較検討し、自社に最適な一元管理システムを選定しましょう。
また、複数のシステムを比較する際には、各システムの機能やコストをまとめた比較表を作成することで、より見やすくわかりやすい比較ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はECサイトや実店舗を複数運営するために導入した方が良い一元管理システムの意味や機能、おすすめの製品についてご紹介させて頂きました。
まだ商品点数、出荷数も少ないのであれば一元管理システムは不要ですが、すでに商品点数が数百件になっていて出荷量も増えてきているのであればシステムを導入した方が作業効率があがるのでお勧めです。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。