中小企業でDX化が進まない理由とは?課題と進め方をご紹介
中小企業でもDX化に対する関心が高まりつつありますが、なかなか進んでいないのが現状です。なぜ中小企業でDX化が進まないのか、どうしたら進むのかということをまとめました。中小企業DX化の始めの一歩につなげてください。
中小企業のDX化が進まない理由
中小企業でDX化が進まない理由が一概に全ての中小企業に当てはまるわけではありませんが、以下にいくつか挙げてみます。
認識不足
まず経営者が「DX」という言葉の持つ意味を聞いたことはあっても詳しくは知らない、中小企業なので必要性を感じていないといった問題があります。
実際、令和5年3月に独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)によって行われた「中小企業のDX推進に関するアンケート」では、DX について理解している(「理解している」「ある程度理解している」)企業は約4割にとどまる結果となっています。
人材不足
さらに、いざDX化を進めたいと思っても、中小企業にはDXやITに詳しい人材がいないという現状が多いことがわかっています。
こちらも中小機構の「中小企業のDX推進に関するアンケート」の中で、「DX に取り組むに当たっての課題」の上位が「DX に関わる人材が足りない(31.1%)」、「IT に関わる人材が足りない(24.9%)」となっていることから、中小企業のDX化が進まない大きな原因となっています。
資金不足
人材の次に不足すると考えられているのが資金です。DX化を進めるためには、デジタル機器や社内のインターネット設備のアップデートが必要となることから、そうした資金を捻出できないと考える中小企業が多いです。
中小企業のDX化の必要性
このように中小企業のDX化には多くの課題があると言われていますが、それでもなお進めなければならない必要性は何でしょうか。
2018年に経済産業省によって公表された「DX レポート」では、DX の必要性について以下のように記載されています。
”あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)をスピーディに進めていくことが求められている。”
「これは大企業の話」ととらえてしまい、自社には関係ないと考える中小企業の経営者もいますが、中小企業こそがDX化を進めなければ今後の競争で勝ち残っていくことはできないと言われています。
中小企業のDX化の進め方
中小企業でDX化を進めるための具体的な方法を経済産業省の「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き(本体)」から見ていきます。
意思決定
将来どのような企業を目指すのか長期的なスパンで経営ビジョンを見据え、DX推進チームなどを設定します。
もちろん主導は経営者によるものでなければなりませんが、中小企業で経営者や役員だけでは技術的な課題解決が難しいという場合には、適宜外部のコンサルといった人材を登用することも必要となります。
意識改革
意思決定で方向性が決まれば、あとは全社の意識改革です。中小企業の場合は逆に規模が小さいことから、全社でのDX化に取り組みやすいと言えるでしょう。
全社員やスタッフにDX化の今後の方針や流れを理解してもらう必要があるため、身近な業務から徐々に取り組んでいくという流れが適しています。
推進
従来の業務プロセスを見直し改革を行っていきますが、それには全社の既存データ収集が大切なポイントになります。
どの部分を見直してDX化を行えば業務効率化につながるのか、しっかり確認した上で進めていきます。
拡大
顧客ニーズに柔軟に対応できる状態を作ることがDXの醍醐味とも言えます。
DX化は一度行って終わりというものではなく、社会の変化に合わせて継続して行っていく取り組みになるため、ここからまた新たな意思決定につなげていくようにすることが望ましいです。
中小企業のDX化の事例
DX化は大企業がやることと考えている経営者も多い中、すでに取り組んでいる中小企業の事例を経済産業省の「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き(本体)」より抜粋して紹介します。
株式会社ヒバラコーポレーション(茨城県東海村)
株式会社ヒバラコーポレーションは、1967年設立の工業塗装会社です。
まず人材不足を解決するために、業務を効率化させて今いる人材で対応できるようにスキャナーやプリンターを導入し、伝票などをデジタル化しました。
その後も技術のデータ化と生産管理のIT化により、継承が困難であった職人の技術を数値化し、本人以外の技能者が再現することを可能としています。
また、あらゆるデータを可視化することで、コストダウン、誤発注・誤入力の防止、管理に携わる時間の削減を達成してきました。
株式会社竹屋旅館(静岡県静岡市)
静岡にある株式会社竹屋旅館では、人手不足や清掃業務委託費高騰という問題を解決するため、デジタル技術を使った清掃業務の内製化を行いました。
業務を数値化して成果指標の設定を行うことで清掃時間を減らすことができ、結果として
接客の質も上がり、お客様満足度(クチコミ)の評価点数も上昇しました。
また、宿泊客のアメニティグッズの消費具合をデータで可視化することでコスト削減を図っています。
東洋電装株式会社(広島県広島市)
広島にある東洋電装株式会社は、制御盤製造及び技術サービス業を営む企業です。
まず小ロット品の生産性を上げるため、製造工程を分析して工程の標準化に取り組むことにしました。その際、社長をトップとするプロジェクトチームを設置し、職人の意見も聞きながらプロジェクトを進めました。
各作業をデジタル化しデータを収集・見える化することで、時間が掛かる作業を抽出・分析し、プロセス、人員配置、工程を最適に組み替えました。これにより作業時間の短縮やコストの削減が実現しています。
中小企業DX化のための補助金制度
中小企業のDX化で課題となる資金不足を解決するため、国や地方公共団体から様々な補助金制度が発表されています。その中から主なものをご紹介します。
IT補助金2022
2023年度の詳細が発表されていませんので、2022年度のものを参照して抜粋します。
IT補助金は、企業の業務効率化・売上アップをサポートする目的で始められた事業で、ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は左記に加えハードウェア購入費が対象となっています。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
通称ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
中でも通常枠は「革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援」、デジタル枠は「DXに資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援」となっています。
中小企業のDX化ソリューションにはキャムマックス
中小企業がDX化を進める中で大切なのはどのツールやシステムを構築するかということになります。
キャムマックスは、中小企業のために開発されたERPシステムのため、生産・販売から在庫管理、会計まであらゆる業務を効率化するのに最適です。
システムというとコストを心配される中小企業が多いですが、キャムマックスは月額費用7万円から利用できますし、クラウド型なので高額な設備機器を必要としません。
DX化を進めたいとお考えの中小企業様はぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。