
EC物流とは?業務内容から課題、改善方法までわかりやすく解説
EC物流とは、ECサイトやECモールなどで販売した商品を、購入者へ届けるための一連の物流業務を指します。商品の入荷や保管、出荷、配送に加え、返品・交換への対応まで、幅広い業務が含まれます。
EC市場の拡大に伴って物流量も増加しており、効率的な物流体制の構築がより重要になっています。
本記事では、EC物流の特徴や基本的な流れ、主な課題を整理した上で、EC物流を改善する方法について解説します。
INDEX
EC物流の業務範囲
EC物流の主な業務は、以下のとおりです。
工程 | 内容 |
|---|---|
① 入荷・検品 | 仕入先から届いた商品の受け入れと、品番・数量・状態の確認 |
② 保管・在庫管理 | 商品の保管と、在庫数量・ロケーションの管理 |
③ 受注・出荷指示 | 注文情報の確認と、倉庫への出荷指示 |
④ ピッキング・出荷検品 | 出荷指示に基づく商品のピッキングと、品番・数量などの確認 |
⑤ 流通加工・梱包 | 必要に応じたラッピングや同梱物の封入、配送に向けた梱包 |
⑥ 出荷・配送 | 配送事業者への引き渡し |
⑦ 返品・交換対応 | 返送商品の受け入れや状態確認、交換品の再出荷など |
EC事業では、商品を「売る」仕組みだけでなく、購入者へ「届ける」ための物流体制を整える必要があります。物流と聞くと配送をイメージしやすいですが、実際には商品の入荷や保管、出荷に必要な作業なども含まれます。
EC物流が重要視されている背景
EC物流が重要視されている背景には、市場の拡大があります。経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円で、前年の24.8兆円から5.1%増加しました。
また、BtoC取引のEC化率も9.8%で、前年から0.4ポイント上昇しています。
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」
EC取引が拡大するなか、増加する物流量に対応できる体制づくりが求められます。
EC物流の特徴
多品種・小ロットの物流が中心となる
EC物流では、注文ごとの出荷数量が少ない一方で、取り扱うSKU(Stock Keeping Unit:在庫管理上の最小単位)は多くなる傾向があります。そのため、多数のSKUを管理しながら、注文内容に応じた商品を正確にピッキングする必要があります。
店舗や企業などへの納品では、一定数量の商品をまとめて出荷するケースが多いのに対し、ECでは購入者から入る注文ごとに商品を出荷します。こうした違いから、EC物流では多品種・小ロットになりやすくなります。
短納期・当日出荷などスピードが求められる
ECサイトでは、当日出荷や翌日配送など、短納期への対応が重視されます。そのためEC物流では、受注から出荷までのリードタイムを短縮する必要があります。ただし、リードタイムの短縮を優先して誤出荷などが増えてしまえば、物流品質の低下につながります。そのため、EC物流では出荷までの時間を短縮しつつ、正確性を維持することが求められます。
ラッピングや同梱物などの個別対応が多い
EC物流では、注文内容や販売施策に応じて、個別の流通加工が必要になる場合があります。
具体的には、ギフトラッピングやメッセージカードの封入、チラシやサンプルなどの同梱が挙げられます。こうした流通加工は注文ごとに内容が異なるため、指定された内容に沿って出荷準備を進める必要があります。
EC物流の基本的な流れ
EC物流では、商品を入荷してから購入者へ届けるまで、複数の工程を経ます。
一般的な流れは、以下のとおりです。
入荷・検品 → 保管・在庫管理 → 受注・出荷指示 → ピッキング・出荷検品 → 流通加工・梱包 → 出荷・配送
※商品到着後に返品・交換が発生した場合は、返送された商品の受け入れや交換品の発送などにも対応します。
以下では、各工程について解説します。
① 入荷・検品
入荷・検品では、仕入先から届いた商品を受け入れ、検品作業を行います。発注内容と納品内容を照合して、品番や数量の相違、商品の破損・汚損などがないかを確認します。
主な作業内容
- 品番・数量の確認
- 破損・汚損などの商品状態の確認
- 入荷実績の記録
② 保管・在庫管理
保管・在庫管理では、入荷した商品の在庫数量とロケーションを管理します。入出荷に応じて在庫数量を管理するほか、定期的な棚卸を実施します。
主な作業内容
- 商品・SKUごとの在庫数の把握
- ロケーションの管理
- 棚卸・在庫差異の確認
③ 受注・出荷指示
受注・出荷指示では、出荷する商品や数量、配送先、配送方法などを注文内容に基づいて確定し、倉庫へ出荷指示を出します。
主な作業内容
- 商品、数量、配送先、配送方法などの注文内容の確認
- ラッピング・同梱物などの個別指定の確認
- 倉庫への出荷指示
④ ピッキング・出荷検品
出荷指示に基づき対象商品をピッキングします。出荷検品では、品番や数量を照合するとともに、破損や汚損などの商品状態を確認します。
サイズやカラーなどのバリエーションが多い商品では、類似するSKUの取り違えにも注意が必要です。
主な作業内容
- 出荷指示に基づく商品のピッキング
- 破損・汚損などの商品状態の確認
⑤ 流通加工・梱包
注文内容に応じてラッピングやセット組み、同梱物の封入などの流通加工を施し、配送に向けて商品を梱包します。梱包後は送り状を貼付し、出荷の準備を整えます。
主な作業内容
- ラッピング・セット組み・同梱物の封入
- 商品の梱包
- 送り状の貼付
⑥ 出荷・配送
梱包した商品を配送事業者へ引き渡し、指定された配送先へ配送します。また、購入者へ発送完了を通知する際には、追跡番号など、配送状況の確認に必要な情報を案内します。
主な作業内容
- 荷物と配送情報の照合
- 配送事業者への荷物引き渡し
- 購入者への発送完了通知
- 追跡番号などの案内
⑦ 返品・交換対応
返品・交換が発生した場合は、返送された商品を受け入れ、商品の状態を確認します。再販売できるものは在庫へ戻し、必要に応じて交換品を再出荷します。
主な作業内容
- 返送商品の受け入れ
- 返品商品の状態確認
- 交換品の再出荷
EC物流が抱える主な課題
EC事業の規模が拡大し、取扱商品や出荷件数が増えると、倉庫内の作業量や管理する在庫も増加します。特に、自社で倉庫を運営する場合は、限られた人員や設備、保管スペースで増加する物量に対応しなければなりません。
ここでは、EC物流が抱える主な課題について解説します。
倉庫作業の属人化と人手不足
EC物流では、出荷件数が増えるほど、ピッキングや検品、梱包などの倉庫作業も増加します。十分な人員を確保できなければ、作業者の負担が大きくなり、安定した出荷体制を維持することが難しくなります。また、作業手順や判断基準が標準化されていない場合、業務が特定の担当者の経験や知識に依存しやすくなります。
その結果、担当者によって作業速度や品質にばらつきが生じ、物流品質の安定を妨げる要因となります。
物流コストの上昇
EC物流では、人件費や倉庫の賃料、段ボールや緩衝材などの梱包資材費、配送事業者へ支払う運賃など、さまざまな物流コストが発生します。こうしたコストの上昇は、EC事業の利益率にも影響します。物流品質を維持しながら、業務の効率化などによって物流コストを抑えることが課題となります。
在庫管理の複雑化
EC事業では、取扱商品やSKUが増えるほど、在庫管理も複雑になります。また、複数のECモールで商品を販売している場合は、チャネルごとの注文や在庫状況を把握し、それぞれの在庫を適切に管理する必要があります。
このほか、複数の倉庫や物流拠点に在庫を保有している場合は、拠点をまたいだ在庫管理が求められます。
繁忙期における業務負荷の増大
出荷量は年間を通じて一定とは限りません。セールやキャンペーン、季節イベントなどによって注文が集中すると、短期間で出荷量が大きく増加します。繁忙期には、通常より多くの出荷を処理するため、人員の増強や作業体制の見直しが必要です。その際、臨時スタッフなど経験の浅い作業者が増えることで、作業品質にばらつきが生じやすくなります。
EC物流を改善する方法
EC物流の課題を改善するには、現在の業務や物流体制を見直し、課題に応じた対策を講じる必要があります。以下では、EC物流を改善する主な方法について解説します。
WMSなどで受注・在庫・出荷情報を一元管理する
EC物流では、受注や在庫、出荷に関するさまざまな情報を扱います。
こうした情報の管理にはWMS (Warehouse Management System:倉庫管理システム) などのシステムが活用されており、システム間を連携させることで情報を一元的に管理できます。
システム | 役割 | 主に管理する情報 |
|---|---|---|
WMS | 倉庫内業務の管理 | 入荷、在庫数、ロケーション、ピッキング、検品、出荷など |
OMS | 複数チャネルからの受注を管理 | 注文情報(商品・数量・配送先・配送方法など) |
ERP | 企業全体の基幹業務を一元管理 | 販売、購買、在庫、会計など |
例えば、OMS (Order Management System:注文管理システム) の受注情報をもとに出荷指示を作成し、WMSへ連携してピッキングや検品、出荷を行います。また、ERP (Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム) では、販売や購買、在庫、入出荷などを一元的に管理できるため、ERPを中心としてWMSやOMSを連携させる方法もあります。
倉庫内作業では、こうしたシステムとバーコードスキャナーを組み合わせることで、検品やピッキングなどを効率化できます。
各システムについて
詳しくは、上記のページをご覧ください。
自動倉庫・物流ロボットで倉庫作業を省力化する
搬送や棚入れ、ピッキングなどの倉庫作業は、自動倉庫や物流ロボットの活用によって省力化できます。
設備・機器 | 概要 | 主な対象作業 |
|---|---|---|
自動倉庫 | 商品の保管や出し入れを自動化する保管設備 | 商品の格納・保管・搬出など |
物流ロボット | 倉庫内を移動し、商品や棚などを搬送するロボット | 商品・ケース・棚などの搬送 |
倉庫の規模やレイアウト、取扱商品の大きさ・重量、出荷量などによって、適した設備は異なります。現在の作業量や作業にかかる人員、必要な処理能力を踏まえ、設備投資に見合う省力化効果が得られるかを検討します。
物流業務をアウトソーシングする
自社で物流体制を構築・維持することが難しい場合は、物流業務を3PL (Third Party Logistics) 事業者へアウトソーシングする方法があります。
3PL事業者が提供する主なサービス
項目 | 内容 |
|---|---|
倉庫・保管 | 物流拠点の提供と商品の保管 |
倉庫オペレーション | 入荷・検品、在庫管理、ピッキング、流通加工、梱包・出荷などの作業 |
配送 | 配送事業者との連携や出荷商品の配送 |
物流システム | WMSによる在庫・入出荷情報の管理 |
返品対応 | 返送商品の受け入れや検品、交換品の出荷など |
3PL事業者が保有する倉庫や人員、設備、システムなどを利用できるため、自社で物流体制を構築・維持する負担を軽減できます。一方、対応可能な商品や流通加工、出荷量などは3PL事業者によって異なります。
料金体系や業務範囲、自社独自の梱包・加工への対応可否なども踏まえ、委託先を選定する必要があります。
※3PLについて、詳しくは「物流アウトソーシングとは?3PLの活用とERP連携について解説」の記事をご覧ください。
まとめ―EC物流の仕組みを理解し、自社に適した物流体制を構築しよう
自社に適した物流体制を構築するには、取扱商品の特性やSKU数、出荷量、繁閑差、物流コストなどを踏まえ、現在の物流業務にどのような課題があるかを整理する必要があります。
その上で、自社で継続する業務、システムや設備によって効率化する業務、外部へ委託する業務を検討し、費用対効果を踏まえて物流体制を構築することが重要ですまた、取扱商品や出荷量などは事業の成長によって変化します。
現在の状況だけで判断せず、今後の事業規模も見据えながら、物流体制を継続的に見直していくことが求められます。
EC事業を支えるクラウドERP『キャムマックス』

EC事業では、受注・在庫・出荷など、販売から物流までの情報を正確に管理する必要があります。事業規模が拡大するほど、こうした情報を個別に管理するのではなく、一元的に把握できる仕組みが求められます。
クラウドERP「キャムマックス」は、販売管理、購買管理、在庫・倉庫管理、生産管理、財務会計などの基幹業務を一元管理できるERPシステムです。ECモールや自社ECカート、WMSなどの外部システムと連携し、販売から物流、会計までの業務を横断して管理します。また、自社倉庫だけでなく、3PL事業者へ物流業務を委託している場合も、物流データを連携することで、自社側で在庫や入出荷の状況を把握できます。
主な機能と特徴
機能 | 特徴 |
|---|---|
販売管理 | ECモールや自社ECカートなどから受注データを取り込み、複数チャネルの注文情報を一元管理 |
在庫・倉庫管理 | 自社倉庫や外部委託倉庫の在庫情報を管理し、販売・入出荷に伴う在庫数の変動を反映 |
財務会計 | 販売・購買などのデータと連携して、売上や仕入などの会計情報を管理 |
外部システム連携 | ECカート、ECモール、WMS、送り状システムなどの外部サービスと連携 |
事業の成長に伴い物流体制を刷新する際は、倉庫や3PLとの連携も含めた基幹業務システムの整備が不可欠です。EC物流を含む基幹業務の見直しをお考えの企業さまは、ぜひ『キャムマックス』の導入をご検討ください。
この記事を書いた人

株式会社キャム 代表取締役CEO
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして株式会社キャムに参画。
その後、2021年9月より取締役COOに就任し、2026年6月より現職。



