健康食品の在庫管理におすすめの方法は?システムで課題を解決
健康に対する興味関心が高まっている現代において、健康食品市場は急成長しています。
そんな中、健康食品を扱う企業にとって在庫管理は品質維持や法規制遵守の観点からも非常に重要な業務です。しかし、手作業や従来の方法では限界があり、ヒューマンエラーや在庫ロス、法令違反のリスクがつきまといます。
「賞味期限の管理が難しく、気づいたら期限切れの商品が発生してしまう」
「手作業で在庫を管理しているがヒューマンエラーが多く、誤出荷や在庫数のズレが頻発する」
「ECサイトと実店舗の在庫を統一管理できておらず、どこにどれだけ在庫があるのか把握しづらい」
こうした問題を放置すると、食品ロスの増加、業務の非効率化、さらには法令違反のリスクにつながり企業の信頼を損なう可能性もあります。
本記事では健康食品の在庫管理における課題と、それを解決するための具体的な方法をわかりやすく解説します。
目次
健康食品とは?
「健康食品」という言葉に対する明確な定義はなく、日常の食品の中で栄養価が高く健康に良い影響を与える食品を指すことが多いですが、厚生労働大臣が承認する「医薬品」とは明確な線引きがなされているのが特徴です。
一般的に、健康食品と呼ばれる食品には保健機能食品と呼ばれる3種類(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)と、「いわゆる健康食品」と呼ばれる栄養補助食品が含まれています。
いずれも、医薬品と誤解されるような表記は法律で禁じられています。
特定保健用食品
健康食品の中でも、国の審査に合格して消費者庁長官の許可を受けると特定保健用食品マーク(トクホマーク)を表示することができるのが「特定保健用食品」です。
特定保健用食品は、特定の身体の機能を改善・維持する効果を謳う食品で、摂取することで健康が期待できます。
トクホマークとともに、疾病を低減させる目的(例:おなかの調子を整えます)があることをパッケージなどに表示することができます。
栄養機能食品
栄養機能食品は、既に科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含んでいれば、栄養成分の機能(例:ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です)を表示することができる健康食品で、国の審査は不要です。
食生活で不足しがちなビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類の栄養素を含む食品で、あくまで不足分を補う役割を持ちます。
機能性表示食品
特定保健用食品のように消費者庁長官の許可を受けたものではなく、あくまで事業者の責任において機能性を表示した健康食品です。
許可は受けていませんが、販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報を消費者庁長官へ届け出る必要があり、届け出られた情報は消費者庁のWEBサイトで公開されます。
疾病の低減をのぞいて、健康増進といった目的を表示することができます。(例:本品には◇◇が含まれるので、△△の機能があります。)
栄養補助食品
栄養機能食品と非常によく似た健康食品として栄養補助食品がありますが、上記3種類の保健機能食品とは異なり、「いわゆる健康食品」とも呼ばれています。
栄養機能食品のように不足しがちな栄養素を補う目的で摂取されることに関しては同じなのですが、機能性を表示できないという違いがあります。
審査や認可、届け出などが不要ですが、科学的な根拠もそこまで明確化されていないという点から機能性を表示できない決まりになっています。
健康食品通販でよくある課題
健康食品を通信販売で扱う場合によく課題となっているのは以下の事項です。
法規制の厳格化
消費者の健康への関心が高まる昨今、オンラインショップで健康食品を扱いたいという企業も増えていますが、食品を扱う際の法律は多数存在し、年々厳格化しています。
健康食品を販売するにあたっては、以下のような法律を順守する必要がありますし、法改正があればしっかり対応する必要があります。
- 食品衛生法
- 食品表示法
- 健康増進法
- 医薬品医療機器等法
- 景品表示法
- 特定商取引法
特に健康増進法の「誇大表示の禁止」では、科学的な根拠が無いのに効果があると期待させる広告を厳しく禁止しています。
また、医薬品医療機器等法(通称:薬機法)でも、医薬品と紛らわしい効能を表示した広告は禁止されています。
オンラインで健康食品を販売する場合には、広告なしに新規顧客獲得が難しいことから、これらの法律に抵触しないように訴求することが難しいと言われています。
品質管理の難しさ
健康食品は、食品衛生法で食の安全を守るため、賞味期限などが決められています。
期限管理が含まれると、在庫管理は途端に難しくなります。特に手動で在庫管理している場合には、人的ミスなどが発生しやすくなるため、十分な注意が必要です。
在庫の適正量を維持できない
健康食品に限ったことではありませんが、どれくらいの需要があるのか、どれくらい仕入れたらよいのかということを予測することは難しいです。
在庫の適正量を維持できなければ、機会損失や食品ロスの問題につながります。
定期購入に対応しきれない
健康食品販売を成功させるには、リピーターを増やすのがベストですが、せっかくリピートしようと考えている顧客がいても、定期購入に対応できなければ逃すことになります。
顧客が増えればそれだけ自動化が必要になるでしょう。
健康食品に必須の在庫管理と保管方法
健康食品を扱う場合には、必ず必要な在庫管理の業務があります。
温度管理
健康食品の品質を維持するには、温度管理が非常に重要です。
特に、温度に敏感な成分を含む商品や、高温で品質が損なわれやすい製品について、一定の温度範囲を保つことは品質維持のカギとなります。
温度条件が不適切な場合、製品の効果が損なわれるだけでなく消費者の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
効果的な温度管理を実現するためには、温度制御が可能な保管設備の導入が必要です。
これには、冷蔵・冷凍設備や温度調節可能な倉庫が含まれます。
また、温度記録器を使用して保管環境の温度を常時監視し、異常があった場合には迅速に対応できる体制を整えることが重要です。
賞味期限管理
健康食品の賞味期限の管理は、安全な製品を提供する上で非常に重要です。
賞味期限が切れた製品の販売や消費は、品質の低下や健康にリスクをもたらす可能性があります。
賞味期限管理を徹底することで消費者からの信頼を保ち、ブランドの評判を守ることにつながります。
賞味期限の管理を効率的に行うためには、在庫管理システムを活用して、製品ごとの賞味期限を正確に追跡する方法をおすすめします。
また、新鮮な在庫が先に出荷されるように、先入れ先出し(FIFO)の原則を適用します。
さらに、賞味期限が近づいている製品については、割引などを実施することで早めに捌くなど判断をすることが必要です。
トレーサビリティ
食の安全を守る上で重要とされるのがトレーサビリティです。
トレーサビリティとは、健康食品をロットごとに管理し、製品がどこから来てどのような経路を辿って消費者に届けられるのかを明確にします。
そうすることで、もし品質の問題や消費者の健康への懸念が生じた場合、原因を速やかに特定し、適切な対応策を講じることができるようになります。
トレーサビリティを実現するためには、製品の各段階での情報を詳細に記録し、それらの情報を一元的に管理するシステムが必要です。
バーコードやRFIDタグを使用して製品を追跡し、製造から販売に至るまでの全過程を記録します。
これにより、製品の安全性と透明性が向上し消費者の信頼を得ることができます。
健康食品の在庫管理を効率化!おすすめのシステムと運用方法
このように健康食品の在庫管理には特有の難しさがあるため、課題の解決策としては以下をおすすめします。
物流会社などのアウトソーシングを利用する
健康食品の在庫管理において、物流会社などのアウトソーシングを利用することは多くのメリットをもたらします。
たとえば、在庫管理、出荷、配送などのプロセスを効率化するノウハウを持っており商品の保管や取り扱いにおけるリスクを最小限に抑えることがができます。
また、人材を募集して教育する手間もなくなるので事業者はマーケティングや製品開発など、他の重要な業務にリソースを集中させることが可能になります。
アウトソーシングが可能な物流会社を選ぶ際には、その会社が健康食品の特性に理解があり、適切な保管・輸送方法を提供できるかどうかを確認しましょう。
倉庫管理システム(WMS)を利用する
自社に倉庫がある場合、WMS(Warehouse Management System)を導入することも検討すべき方法です。
WMSは倉庫内の出入庫から温度管理など、さまざまな業務を一元管理できるシステムであり、健康食品以外のさまざまな商品を扱う企業におすすめです。
正確な在庫のトラッキング、自動化された在庫の補充、出荷プロセスの最適化により、在庫の過剰または不足を防ぎ保管コストを削減と顧客満足度の向上を実現します。
在庫管理システムを利用する
倉庫の管理は専門業者に任せて自社では在庫の管理だけを行うという方法もあります。
賞味期限管理やトレーサビリティ機能が付いた在庫管理システムなら、健康食品の安全性も損なうことがありません。
EC・通販での在庫管理にも最適なシステムを導入しよう
項目 | 在庫管理システム | 手作業での管理 |
---|---|---|
在庫数の把握 | 自動でリアルタイム更新され、正確な管理が可能 | 目視での記録に依存、ミスが発生しやすく確認に時間がかかる |
賞味期限管理 | システムが期限を自動管理、期限が近付くとアラートを通知 | 手動・目視のチェックが必要、期限切れ商品が発生しやすい |
トレーサビリティ | ロット番号を記録、一元管理しているため問題発生時も迅速に対応可能 | 広範囲の場合、ロットごとの把握に時間がかかる |
業務負担 | 作業のサポートや自動化により、人的負担を軽減 | 管理担当者の負担が大きい |
ヒューマンエラー | システムがチェックするためミスが減少 | 数量の誤入力や誤出荷が発生しやすい |
コスト | 最適な在庫管理が可能になり、コスト削減につながる | 人件費やロス率によるコスト高 |
最適な在庫管理システムを選定する際には、健康食品の特性に適しているかを確認することが重要です。
賞味期限や特定の保管条件を考慮した在庫管理機能、ユーザーフレンドリーなインターフェース、他のビジネスツールとの統合が可能であることが望ましいです。
同時に、リアルタイムでの在庫トラッキング、自動化された在庫の補充、効率的な出荷プロセスの最適化などにより、在庫の過剰や品切れを防ぎ保管コストの削減と顧客満足度の向上を実現できます。
また、実店舗販売とオンライン販売を統合し一元管理された在庫管理システムを活用することで、市場の変化に迅速に対応できビジネスの成長を促進できます。
キャムマックスは健康食品の在庫管理が可能なクラウドERPシステム
キャムマックスは、中小企業のために開発されたERPシステムです。
ERPシステムは、企業内のあらゆる業務をひとまとめに管理できるシステムで、莫大な費用が掛かると誤解されがちですが、キャムマックスは月額費用で比較的手軽に利用できるのが特徴です。
このキャムマックスには、健康食品を扱う企業にぴったりの在庫管理機能が搭載されており、賞味期限管理やトレーサビリティもしっかりできて安心です。
在庫管理以外にも販売管理や財務会計など健康食品を販売するのにはこれ1台で対応可能です。
健康食品の在庫管理にお困りの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
FAQ(よくある質問)
Q1. 健康食品の在庫管理で特に気をつけるべきポイントは何ですか?
A:健康食品の在庫管理では、賞味期限の管理、温度・湿度の管理、トレーサビリティの確保が特に重要です。
Q2. 健康食品の在庫管理を手作業で行うとどのようなリスクがありますか?
A:手作業で在庫管理を行うと、ヒューマンエラーが発生しやすくなり誤出荷や在庫数の誤認識といった問題が起こる可能性があります。また、賞味期限の管理が不十分になることで、期限切れの商品が混入するリスクも高まります。
Q3. 在庫管理システムを導入すると、どのようなメリットがありますか?
A:在庫管理システムを導入することで、リアルタイムでの在庫管理が可能になり在庫の過剰や欠品を防ぐことができます。また、賞味期限管理機能により期限切れ商品を防いで、適切なタイミングで販売促進を行うことができます。
Q4. 健康食品の通販を行う際、法規制にはどのように対応すればよいですか?
A:健康食品の通販では、食品衛生法や食品表示法、薬機法(旧・薬事法)、景品表示法など、複数の法律を遵守する必要があります。特に、食品表示法では製品の成分や賞味期限を適切に表記しなければならず、薬機法では医薬品と誤解されるような表現が禁止されています。
Q5. ECサイトと実店舗の在庫を統合管理できますか?
A:在庫管理システムを導入すれば、ECサイトと実店舗の在庫を一元管理することが可能です。具体的にはオンラインショップでの販売データと、POSシステムと連動した実店舗での販売データを在庫管理システムに取り込むことにより総在庫数を把握します。
Q6. どの在庫管理システムを選べばよいですか?
A:在庫管理システムを選ぶ際には、賞味期限管理やリアルタイムで在庫状況を把握できる機能、トレーサビリティ機能が備わっているかを確認しましょう。導入後のサポート体制が整っているかも非常に重要です。
Q7. キャムマックスを導入すると、どんな課題が解決できますか?
A:キャムマックスを導入することで、基本的な健康食品の在庫管理はもちろん、ECと実店舗の在庫を一元管理することで在庫切れや過剰在庫のリスクを減らすことができます。また、販売管理や会計管理も一元化できるため業務全体を効率化します。
この記事を書いた人
下川 貴一朗
証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。