エクセルを使って時短で処理できる「売上管理」 システム・アプリとの比較
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エクセルを使って時短で処理できる「売上管理」 システム・アプリとの比較

売上管理表とは日々発生する売上情報を入力し、商品ごとの売上高や部門ごとの商品販売数といった売上データを管理する表です。
いざ売上管理を始めようと思っても、コストや手間を考えると二の足を踏んでしまう企業もあるでしょう。
こちらの記事では、そんな企業は最初の一歩としてエクセルで売上管理を始めてみることをおすすめします。

売上管理表とは?


売上管理表とは日々発生する売上情報を入力し、商品ごとの売上高や部門ごとの商品販売数といった売上データを管理する表です。


決算などとは異なり、売上管理は企業の内部でのみ使われるデータであるため、記載する項目や記載のルールなどは企業によって異なります。

また、売上データを管理する方法も様々あり、紙ベースでの管理や、エクセルや専用のソフトウェアを用いる場合もあります。


売上管理を行う目的


売上管理を行う目的は売上データを元に販売戦略や商品開発、営業戦略など事業にまつわる様々な施策を考えるためです。

日々の売上データを元に今後の売上の予測や市場の変動や顧客の需要を理解し、製品やサービスの改善、マーケティング戦略の調整、予算計画の最適化などを行うことができます。



売上管理で管理するデータ


売上管理表は売上金額だけを把握するだけでは意味がありません。

顧客、商品、販売地域など、さまざまな観点からデータを分析することが必要であり、マーケティングや事業戦略を考える上で役立つ情報をまとめる必要があります。


具体的なデータ要素として、以下の情報が挙げられます。


  • 売上額: 商品やサービスごとの売上金額
  • 顧客情報: 顧客名、連絡先情報、過去の購買履歴
  • 商品情報: 商品名、価格、在庫数
  • 日付情報: 売上日や注文日などの時間軸データ


これらのデータを分析することで、どの商品がよく売れているか、どの顧客層が最も利益をもたらしているか、季節やイベントによる売上の変動など、多角的な視点から事業のパフォーマンスを評価することが可能になります。


エクセルを活用した効率的なデータ入力と整理方法


エクセルを活用し効率的なデータ入力と整理には、以下のポイントが重要になります。


・テンプレートの使用

データ入力を一貫性のあるものにするために、テンプレートを活用しましょう。


・自動化

エクセルの関数やマクロを使って、データの計算や整理を自動化します。


・帳簿の定期的な更新

売上データを適切な頻度で更新し、最新情報を反映させます。これにはデータ更新の自動化や効率化とも深く関係しています。


そのほか、データ整理にはカテゴリ分けや時系列での整理、重要な指標に基づく分類などが有用です。

エクセルのピボットテーブルやフィルタリング機能を使って、大量のデータから必要な情報をスムーズに抽出し、分析に役立てることができます。

売上管理をエクセルで行う



いざ売上管理を始めようと思っても、コストや手間を考えると二の足を踏んでしまう企業もあるでしょう。


そんな企業は最初の一歩としてエクセルで売上管理を始めてみることをおすすめします。

ご存じの通りエクセルには集計機能やデータの抽出機能が備わっておりますので、売上管理表としての役割を果たすことが可能です。


ここからはエクセルを用いた売上管理の方法をお伝えしますので、今から売上管理を始めてみたいという企業は参考にしてください。


エクセルを使った売上集計表の作り方


売上集計表では、主に以下の基本項目が必要になります。


  • 販売日
  • 取引番号
  • 取引先名
  • 商品番号
  • 商品名
  • 販売価格
  • 数量
  • 原価
  • 売上金額(販売価格×数量)
  • 粗利(売上金額-原価)


集計を効率的に行うために以下の関数を使用します。


  • SUM関数合計値を計算します。
  • SUMIF / SUMIFS関数:特定の条件に一致するデータの合計を計算します。
  • COUNTIF / COUNTIFS関数:特定の条件を満たすデータの数をカウントします。
  • AVERAGE関数:平均値を求めます。
  • RANK関数:データの順位を付けます。
  • VLOOKUP関数:特定の値を検索し、関連する情報を返します。
  • IF関数:条件に基づいて異なる値を返します。


では、基本項目や関数について、より詳しく解説していきます。


売上管理の必要項目

売上管理表を作るうえでどんなデータを入力するのかを最初に考えましょう。


売上管理の目標は更なる売上向上をさせることですので、事業を成長させるために意味のあるデータを入力する必要があります。


入力したデータを後から修正することは非常に手間がかかるため、最初の項目設定はとても重要です。


売上高

売上高の入力はどんな企業でも必須項目となります。

売上高のデータ自体は請求書などから調べられますが、売上高を顧客や商品といった項目とかけ合わせて分析する必要がありますので、売上管理表にも売上高を記載しておきましょう。


また、請求の場合は顧客に対して複数の商品をまとめて請求することもありますが、売上管理は商品別に分類してデータ分析を行いますので、契約ごとに売上高を記載してください。


目標進捗

売上管理表は目標の管理に使うことも可能です。


営業社員が受注したタイミングで直接売上管理表にデータを入力すれば、リアルタイムに現在の売上を把握できます。

そのため、部門や個人ごとの目標数値も記載しておくことで、目標進捗を随時確認して、目標未達の可能性がある部門や社員に対して早期の支援が行えます。


前月比・前年比

売上管理表に前月や前年と比べての売上高の増減が分かる項目を作っておくことで、目標となる1つの指標を作ることができます。


基準となる数値があることで、営業社員の売上増減が、外部要因なのか個人の要因なのかといった分析に役立つでしょう。


原価

売上管理表に原価を記載しておくと、利益率も瞬時に把握できるため非常に便利です。


例えば頻繁に商品の原価が変わるものを扱っている会社であれば、購買部門が商品別に原価を入力することで月ごと、年ごとの原価率を正確に把握できますので、仕入れコストの削減方法を検討する材料にもなります。


マスターデータを作成する

売上管理表は基本的には会社全体の売上データをまとめるものですので、複数の社員が入力を行います。

そのため、入力項目やルールを統一しなければデータを整理するために多くの時間が取られる可能性があります。


頻繁に入力される項目はマスターデータを作成して決められた項目から選択できるようにすれば、社員の入力負荷の軽減と誤ったデータ入力を防止することができます。


ここではマスターデータで作成しておくべき項目について解説します。


取引先

取引先をマスターデータとして管理しておくことで、入力の手間をかなり省くことができます。


取引先の項目は株式会社の省略や、後株と前株の誤りなど、誤入力が多くなる傾向にあります。

しかし、マスターデータとして取引先のリストを作成しておき、あらかじめ用意された選択肢から選ぶ方式にすれば、誤入力の防止に繋がります。


商品

商品の項目もマスターデータにしておくと入力の効率化に繋がります。

企業によっては取扱商品の数が膨大であったり、型番などの細かな違いが存在する場合もあるでしょう。

商品も誤入力が多くなりやすい項目ですので、マスターデータを作成することでミスを防ぎ業務効率化に繋げてください。


商品のマスターデータは販売金額や仕入金額、商品番号などの項目を設けるのが一般的です。


使う関数



エクセルで売上管理表を作成する際には、関数を利用すると集計や分析の際のデータ抽出に便利です。


ここでは売上管理表の作成に活用できる関数をご紹介します。普段の業務でも利用するような基本的な関数を中心に解説しますので、売上管理表の作成経験が無い方もご安心ください。


IF関数


IF関数の書き方:IF(論理式, TRUE値, FALSE値)


IF関数は指定した条件に応じた結果を表示させる関数です。

IF関数を用いることで、「売上実績が売上目標を超えたら達成と表示させる」といったことができるため、目標達成者の把握がしやすくなります。



COUNTIF関数


COUNTIF関数の書き方:COUNTIF(範囲, 条件)


COUNTIF関数は指定した条件を満たす値がいくつあるかを表示させる関数です。

例えば、特定の商品がいくつ売れたのかを知りたい時に、COUNTIF関数を用いることでその商品の販売数を売上管理表に表示させることができます。

複数の商品の合計販売数が知りたい場合には、COUNTIFS関数という複数の条件を指定できる関数を活用しましょう。



SUMIF関数


SUMIF関数の書き方:SUMIF(範囲, 条件, [合計範囲])


特定の商品や営業社員の売上合計金額などを知りたいときに便利なのがSUMIF関数です。

指定した条件に当てはまる数値の合計金額を表示させる関数ですので、商品別や社員別はもちろん、取引業界別の販売金額の合計などもすぐに分かります。


COUNTIF関数と同様に、SUMIFS関数も存在していますので、複数条件を指定して合計値を出すことも可能です。



AVERAGE関数


AVERABE関数の書き方:AVERAGE(値1, [値2, …])

AVERAGEIF関数の書き方:AVERAGEIF(条件範囲, 条件, [平均範囲])


社員別の平均受注金額や、顧客の規模別の平均売上などを把握したい時には、AVERAGE関数を使いましょう。

AVERAGE関数は選択した範囲内の平均数値を表示させる関数ですので、あらかじめ従業員別や顧客の規模別にソートをしておくことで上記のような活用が可能です。

また、AVERAGEIF関数を使えば指定した条件に当てはまる数値の平均値を表示できるため大変便利です。



VLOOKUP関数


VLOOKUP関数の書き方:VLOOKUP(検索キー, 範囲, 指数, [並べ替え済みかどうか])


VLOOKUP関数を活用すると、入力業務を大きく効率化できます。

VLOOKUP関数は1つのセルが入力された際に、あらかじめ作成していた表から対応するセルを同じ列に表示させることができます。


これを利用すると、取引先の企業名を選ぶだけで、自動的にマスターデータから従業員数や業界などの情報を抽出して、管理表に記載することができます。



売上管理をエクセルで行うメリット



エクセルで売上管理を行うメリットは主に以下の2点です。


導入コストを安く済ませられる


エクセルは既にライセンスを持っている企業がほとんどかと思いますので、初期費用をかけずに始めることができます。

専用のソフトウェアを購入する場合と比べて、コストはかなり抑えることが可能です。


社員がすぐに使い始めることができる


エクセルは普段から業務で利用することが多いソフトであるため、売上管理表の運用も比較的スムーズに軌道に乗せることができるでしょう。

操作面で苦労することが少ないため、入力項目さえシンプルにしておけば導入のハードルは低いといえます。


売上管理をエクセルで行うデメリット



一方でエクセルでの売上管理は以下のようなデメリットも存在します。


複数人での編集を行いにくい


売上管理表は売上データをリアルタイムで更新するために、複数人でいつでもデータの入力が行えると便利ですが、エクセルを複数人で同時編集するにはマイクロ365のライセンス購入が必要となり、メリットであるコストの低さを打ち消してしまいます。

また、データ入力中に同じ列で重複して入力してしまう可能性があるなど、誤入力も懸念されます。


データが増えると動作が重くなる


エクセルで売上管理する場合は基本的には全てのデータを1つのシートで管理することになるため、データ量が増えると動作が重くなり、入力や分析に時間がかかってしまいます。

更に売上を上げることを目的としているにも関わらず業務効率が落ちてしまっては、本末転倒ということにもなりかねません。

無料で使える売上管理テンプレート


インターネットで検索をすると無料でダウンロードできるエクセルのテンプレートを配布しているサイトがあります。

下記のサイトも踏まえて、自社に合った売上管理表を作成しましょう。


多彩なテンプレートを取り扱う『テンプレートBANK』


売上管理に関連する多種多様なテンプレート集『テンプレートBANK』


社員別、取引先別、商品別など、様々な指標に基づいた売上管理テンプレートがあり、売上目標(予算)と実績を比較するタイプのテンプレートなどもダウンロード可能です。

エクセルで編集可能であり、営業部内での共有や人事考課資料としても利用できます。


店舗向けテンプレートも豊富な『bizocean(ビズオーシャン)』


飲食店や小規模店舗向けの売上管理テンプレートを多数提供しているサイト。『bizocean(ビズオーシャン)』


従業員の勤務管理や月別売上管理表、会計日記帳や商品別実績集計表など、店舗運営に必要な様々なテンプレートが無料でダウンロードできます。

小規模小売店や飲食店などのニーズに合わせて設計されており、簡単に編集して使用することが可能です。


集計表テンプレートまで揃う『文例書式テンプレート集』


日常やビジネスで使える多様な無料テンプレートを提供中。『文例書式テンプレート集』


ここでは、月次販売実績管理表や売上管理票をはじめ、月次資金繰り表テンプレートや、縦棒グラフ、バブルチャートを使ったエクセルテンプレートが利用可能。

特に小規模なビジネスや個人事業主にとって、簡単にカスタマイズできるテンプレートは日々の業務を効率化するのに役立ちます。

エクセル以外で売上管理をする方法



売上管理を行う方法はエクセルだけではありません。

最近では売上管理を行うための専用ソフトも多く登場していますので、最後にエクセル以外で売上管理する方法をご紹介します。


システムで売上管理する方法


売上管理を行うためのシステムを導入することで、売上管理業務の効率化と分析精度の向上を図ることが可能です。

データの自動集計、分析、レポート作成などを一元管理できるため、時間と労力を大幅に削減します。


入力補助機能や1クリックで登録した条件でのデータ抽出などを行えるものもあるため、業務効率化に繋がります。


また、多くの売上管理システムクラウドベースで提供されており、リアルタイムでのデータアクセスや更新が可能で、これらのシステムはCRM(顧客関係管理)やERP(企業資源計画)システムと統合され、売上データを顧客情報や在庫管理と連携させることができます。


一方で、システム導入にかかる費用やスムーズに運用ができるまで時間がかかる点はエクセルと比較した際のデメリットと言えるでしょう。


アプリで売上管理する方法


スマートフォンやタブレットを使用するビジネスシーンも増える中、アプリを利用した売上管理も人気を集めています。


リアルタイムで管理される売上データは、外出や移動などの隙間時間に確認ができる上、使いやすいものが多く、基本的な売上の追跡から複雑なデータ分析まで行えます。

また、チーム間でのデータ共有なども手軽に行えます。


一方で、アプリの中には従量課金制でデータが増えるごとに料金が高くなるものや、オプション料金を支払わなければ機能が制限されているものも存在するため、規模が拡大した際にはデメリットも存在します。

まとめ


売上管理は事業拡大の大きな武器となりますので、これから着手する企業は本記事を参考に取り組んでください。

エクセルであれば導入のハードルも低いため、まずはエクセルから始めるのも良いでしょう。


しかし、売上管理を一から行うにしても何から手を付けて良いか分からないという企業は、売上管理システムのベンダーから導入支援を受けながら進めていくことも有効です。

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この記事を書いた人

ライター
株式会社キャム 取締役COO

下川 貴一朗

証券会社、外資・内資系コンサルティングファーム、プライベート・エクイティ・ファンドを経て、2020年10月より取締役CFOとして参画。 マーケティング・営業活動強化のため新たにマーケティング部門を設立し、自ら責任者として精力的に活動している。

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